ฅ3. 島猫○の場合
ー/ーオイラは猫だ。名前は………ええと、なんだったかな。まあ、いいでしょ、思い出したら教えるよ。
人間は名前にこだわるらしいけどさ、オイラたち猫の世界では、そんなもの要らないんだよ。だって、嗅げば分かるじゃんか。だからこう、あんまり意識してないんだよねえ。呼ぶ人間も少ないしね。
あー、言ってなかったっけ…オイラのいるとこ。えっとねえ…なんて言えばいいの、周辺全部、塩っ辛い水なの。で、人間が棲んでなくはないんだけど、猫の方がずっと多いっていう…そういうとこ。だから、猫同士で分かってればそれでいいのさあ。
匂いって便利だよ。アイツ魚食ったなーとか、アイツの子供生まれたなーとか、いろいろ分かる。ぜんぶ匂いに出るからごまかせないし、間違えないよ。人間って頭いいんでしょ?なんで使わないのか分かんないなあ。
島に棲んでる人間か、外から来た人間かも分かるよ。匂いが違うもんね。で、面白いから眺めてると、そういう外からの人間って、オイラたちをよく間違えてるんだよ。「あ、さっきの猫だー!」ってさ。
人間は見たものしか信じないから、そういうの分かんないらしいねえ。不思議だねえ。
違う違う、君らがさっき見たやつは、そっちのイカを食ったやつだって具合……は?イカ食ったの?何やってんの?あーもう、フラフラしてんじゃん。こっち来い。
ฅ
……ったく、アレ食べると、オイラたち大変なんだよ。人間たち、自分が食って美味しいからってオイラたちにも美味しいとは限らないからな、覚えといて。
…なんの話してたっけ?覚えてないや。覚えてないってことはどうでもいいことだったんだね。じゃあ、いいね。
ฅ
今日は天気がいいねえ。こんな日は、寝るに限るよ。岩の上で、ざざーんざざーんって音を聞きながら、背中もお腹もぽっかぽかでさ。で、目が覚めてるときに、たまーに魚がぴょんと跳ねてきたら、ぱしっと捕まえて、食べるの。いいでしょ。…行っていい?ダメですか、そうですか。
じゃあ、もうちょっと付き合うよ、君ものんびりしてるんだねえ。特に外から来る人間はさ、アレなにかに追われてるの?すっごくセカセカしてるよねえ。ここ、そんな広くもないのに、あっち行ってこっち行って…ってさ。
で、オイラたちを見つけるたびに言うんだよ。「あ、猫だー!」って。そりゃそうでしょ、猫だもの。
…なんだっけ?あー、オイラたちの生き方の話ね。
といってもねえ、大したことないよ。朝、目が覚めたら伸びをして、テキトーに歩いて、お腹すいてたら何か探して、眠くなったら寝るってだけさあ。
あの塩っ辛い水って不思議でさあ、ある時行ったら水がたっぷりあったのに、後からもう一回行くと、その時は水が無かったりするんだ。水が無いときに行くと、魚とか、なんか固いやつが落ちてたりして、そしたらラッキーだね。塩っ辛い匂いの濃さが変わるから、だいたいは分かるけど、正確なところは分かんない。でも、たぶん一日に二回くらいあるよ。
珍しく、これは人間も同じこと考えてるんじゃないかな?島に棲んでるオスたちが、匂いが濃い時に…アレよ、外から来る人間たちが乗るのと同じやつを動かして、そのうち戻ってくると魚をいっぱい持ってるんだ。寄って行ったら、大体もらえる。いいでしょ。
あー、そうそう。あの塩っ辛い水さ、夜にいっぱいになってると、光ってることがあるんだ。不思議だよねえ。ぺちぺち叩いてみると、もっと光るの。人間のちっこいのも、同じことしてるし…まあ、意外と同じところは同じなのかもしれないね。
ฅ
まあそんな感じで、毎日ちょっとずつ違ってて、けっこう楽しいもんだよ。オイラたちはこの、塩っ辛い水に囲まれたところにいて、そこの表情に合わせて、テキトーに生きるんだ。
外の人間は、それをスローライフって呼ぶそうだ。オイラたちは普通に生きてるだけだけどねえ。セカセカしたって水が速く無くなったりしないんだから、しょうがないじゃん。
人間は、そんなオイラたちに憧れてるところがあるんだってね。カミサマが言ってた。
……いや、信じてるのかって…何言ってるのさ、いるじゃん。人間たちが建てたらしい、古い建物がちょっと小高いところにあって、そこにさ。
島の人間も外の人間も、そこに会いに行ってるでしょ。で、アイツを人間たちはカミサマって呼んでるんでしょ。
まあ、何もないところで手をパンッって叩いて何かやってるのは不思議だけど、もしかして人間たちって、アイツのこと見えてないの?不便だね。
カミサマって全然喋んないんだけどさ、以前に言ってたよ。
人間たちは目に見えたものしか信じないけど、見えないものを信じたくもあるんだ…って。あるいは、見えてないけど見えてることにして、安心してるんだ…って。よく分かんないけど。
ฅ
さーて、そろそろいいかい。岩もいい感じにあったまった頃だろうし、寝に行こう。ま、アンタもここにいるうちくらいテキトーにやってればいいんじゃない。
…は?名前を思い出したかって?…ああ、そんなことも言ったね。覚えてないってことはどうでもいいことなんだよ。それでいいでしょ。
みんなのリアクション
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オイラは猫だ。名前は………ええと、なんだったかな。まあ、いいでしょ、思い出したら教えるよ。
人間は名前にこだわるらしいけどさ、オイラたち猫の世界では、そんなもの要らないんだよ。だって、嗅げば分かるじゃんか。だからこう、あんまり意識してないんだよねえ。呼ぶ人間も少ないしね。
人間は名前にこだわるらしいけどさ、オイラたち猫の世界では、そんなもの要らないんだよ。だって、嗅げば分かるじゃんか。だからこう、あんまり意識してないんだよねえ。呼ぶ人間も少ないしね。
あー、言ってなかったっけ…オイラのいるとこ。えっとねえ…なんて言えばいいの、周辺全部、塩っ辛い水なの。で、人間が棲んでなくはないんだけど、猫の方がずっと多いっていう…そういうとこ。だから、猫同士で分かってればそれでいいのさあ。
匂いって便利だよ。アイツ魚食ったなーとか、アイツの子供生まれたなーとか、いろいろ分かる。ぜんぶ匂いに出るからごまかせないし、間違えないよ。人間って頭いいんでしょ?なんで使わないのか分かんないなあ。
島に棲んでる人間か、外から来た人間かも分かるよ。匂いが違うもんね。で、面白いから眺めてると、そういう外からの人間って、オイラたちをよく間違えてるんだよ。「あ、さっきの猫だー!」ってさ。
人間は見たものしか信じないから、そういうの分かんないらしいねえ。不思議だねえ。
違う違う、君らがさっき見たやつは、そっちのイカを食ったやつだって具合……は?イカ食ったの?何やってんの?あーもう、フラフラしてんじゃん。こっち来い。
人間は見たものしか信じないから、そういうの分かんないらしいねえ。不思議だねえ。
違う違う、君らがさっき見たやつは、そっちのイカを食ったやつだって具合……は?イカ食ったの?何やってんの?あーもう、フラフラしてんじゃん。こっち来い。
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……ったく、アレ食べると、オイラたち大変なんだよ。人間たち、自分が食って美味しいからってオイラたちにも美味しいとは限らないからな、覚えといて。
…なんの話してたっけ?覚えてないや。覚えてないってことはどうでもいいことだったんだね。じゃあ、いいね。
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今日は天気がいいねえ。こんな日は、寝るに限るよ。岩の上で、ざざーんざざーんって音を聞きながら、背中もお腹もぽっかぽかでさ。で、目が覚めてるときに、たまーに魚がぴょんと跳ねてきたら、ぱしっと捕まえて、食べるの。いいでしょ。…行っていい?ダメですか、そうですか。
じゃあ、もうちょっと付き合うよ、君ものんびりしてるんだねえ。特に外から来る人間はさ、アレなにかに追われてるの?すっごくセカセカしてるよねえ。ここ、そんな広くもないのに、あっち行ってこっち行って…ってさ。
で、オイラたちを見つけるたびに言うんだよ。「あ、猫だー!」って。そりゃそうでしょ、猫だもの。
で、オイラたちを見つけるたびに言うんだよ。「あ、猫だー!」って。そりゃそうでしょ、猫だもの。
…なんだっけ?あー、オイラたちの生き方の話ね。
といってもねえ、大したことないよ。朝、目が覚めたら伸びをして、テキトーに歩いて、お腹すいてたら何か探して、眠くなったら寝るってだけさあ。
といってもねえ、大したことないよ。朝、目が覚めたら伸びをして、テキトーに歩いて、お腹すいてたら何か探して、眠くなったら寝るってだけさあ。
あの塩っ辛い水って不思議でさあ、ある時行ったら水がたっぷりあったのに、後からもう一回行くと、その時は水が無かったりするんだ。水が無いときに行くと、魚とか、なんか固いやつが落ちてたりして、そしたらラッキーだね。塩っ辛い匂いの濃さが変わるから、だいたいは分かるけど、正確なところは分かんない。でも、たぶん一日に二回くらいあるよ。
珍しく、これは人間も同じこと考えてるんじゃないかな?島に棲んでるオスたちが、匂いが濃い時に…アレよ、外から来る人間たちが乗るのと同じやつを動かして、そのうち戻ってくると魚をいっぱい持ってるんだ。寄って行ったら、大体もらえる。いいでしょ。
あー、そうそう。あの塩っ辛い水さ、夜にいっぱいになってると、光ってることがあるんだ。不思議だよねえ。ぺちぺち叩いてみると、もっと光るの。人間のちっこいのも、同じことしてるし…まあ、意外と同じところは同じなのかもしれないね。
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まあそんな感じで、毎日ちょっとずつ違ってて、けっこう楽しいもんだよ。オイラたちはこの、塩っ辛い水に囲まれたところにいて、そこの表情に合わせて、テキトーに生きるんだ。
外の人間は、それをスローライフって呼ぶそうだ。オイラたちは普通に生きてるだけだけどねえ。セカセカしたって水が速く無くなったりしないんだから、しょうがないじゃん。
人間は、そんなオイラたちに憧れてるところがあるんだってね。カミサマが言ってた。
……いや、信じてるのかって…何言ってるのさ、いるじゃん。人間たちが建てたらしい、古い建物がちょっと小高いところにあって、そこにさ。
島の人間も外の人間も、そこに会いに行ってるでしょ。で、アイツを人間たちはカミサマって呼んでるんでしょ。
まあ、何もないところで手をパンッって叩いて何かやってるのは不思議だけど、もしかして人間たちって、アイツのこと見えてないの?不便だね。
……いや、信じてるのかって…何言ってるのさ、いるじゃん。人間たちが建てたらしい、古い建物がちょっと小高いところにあって、そこにさ。
島の人間も外の人間も、そこに会いに行ってるでしょ。で、アイツを人間たちはカミサマって呼んでるんでしょ。
まあ、何もないところで手をパンッって叩いて何かやってるのは不思議だけど、もしかして人間たちって、アイツのこと見えてないの?不便だね。
カミサマって全然喋んないんだけどさ、|以前《まえ》に言ってたよ。
人間たちは目に見えたものしか信じないけど、見えないものを信じたくもあるんだ…って。あるいは、見えてないけど見えてることにして、安心してるんだ…って。よく分かんないけど。
人間たちは目に見えたものしか信じないけど、見えないものを信じたくもあるんだ…って。あるいは、見えてないけど見えてることにして、安心してるんだ…って。よく分かんないけど。
ฅ
さーて、そろそろいいかい。岩もいい感じにあったまった頃だろうし、寝に行こう。ま、アンタもここにいるうちくらいテキトーにやってればいいんじゃない。
…は?名前を思い出したかって?…ああ、そんなことも言ったね。覚えてないってことはどうでもいいことなんだよ。それでいいでしょ。
…は?名前を思い出したかって?…ああ、そんなことも言ったね。覚えてないってことはどうでもいいことなんだよ。それでいいでしょ。