第22話 伝えてしまった想い
ー/ー 三浦さんと映画館でばったり会ってしまった。
三浦さんは同い年くらいの女の子と一緒にいて、手には私が見た映画と同じパンフレットを持っていた。
「ぐ、偶然ですね……」
橘さんの顔を見れない。
「もしかして同じ映画見てたのかな……?」
「はい」
その時、三浦さんの目が橘さんを見た。
「あ!!翠川さん!!」
橘さんは私達を人通りのない場所に移動させた。
三浦さんと一緒にいた女の子は、そこで帰った。
「翠川さんとまた会えるとは思わなかったです!」
三浦さんは橘さんを尊敬の眼差しで見ている。
「……そんな事より、二人は知り合いなの?」
橘さんは戸惑っている。
「はい!出版社のパーティーの時に忘れ物を届けてくれて……あと小説サークルで一緒です」
三浦さん全部言いっちゃった……。
逃げたかった。
「あー……そうなんだ」
橘さんからの視線が痛い。
「お二人は知り合いなんですか!?」
「はい……あるキッカケで懇意にさせて頂いてて……」
その時、橘さんに、強く肩を引き寄せられた。
「俺達は大人の関係だよ」
なんでそんな言い方するの!?
気まずい!!
「神谷さんすごい……翠川さんとプライベートで会える関係。羨ましい」
三浦さんにとって翠川雅人は先輩作家で、三浦さんも憧れているのか。
「翠川先生!!俺にも指導して下さい!!」
三浦さんはやる気に満ち溢れている。
「ちょっと今色々忙しい。あと、君は俺が指導しなくても俺も周りも認めてるよ」
その言葉、羨ましい……!!
「じゃあ俺達もう行くから、またね」
橘さんは私の腕を強く引っ張って連れて行こうとした。
「また会えるの楽しみにしてます!!あ、神谷さんの小説すごくよかったよ!また他のも見せてね!」
三浦さんは手を振って爽やかに去って行った。
私は逃げたい。
怖い。
「どういう事か説明してもらおうか……」
橘さんの声が地の底のように低い。
そのまま引きずられるようにマンションに帰った。
◇ ◇ ◇
橘さんの部屋で私は尋問されている。
「正直に全部詳しく話してもらおうか……」
私は無意識に正座をしていた。
「ただ……偶然なんです全部」
「で?」
「三浦さんが言ったのが全てです」
「前忘れた小説って?」
ヤバい、誤魔化さないと。
「……まさか、あの小説、持って行ってないよな?」
勘づかれている……!!
「あれは俺のための小説だ。誰にも見せてはいけない……。」
目が鋭くて、動けなくなる。
「あれは俺の前でしか見せない美鈴が描かれている」
いつの間にか、私は床に敷かれていて、橘さんの手が肌に触れていた。
「俺だけの美鈴。他の男に見せたくない」
強引に橘さんは私の服を剥いだ。
体に少しずつ痕をつけていく。
まるで自分のものと証明するかのように。
「でも……あれも私の綴った物語ですよ……」
橘さんに唇を塞がれる。
「俺との物語だろ」
「いえ、あのキャラクターは私たちではないです」
橘さんはお構いなしに色んな部分に這わせてくる。
何も考えられなくなる。
「サークル……俺がいるのに、なんで」
「色んな人の作品や……創作の悩みや意見とかを共有したかったんです」
乱れる呼吸の中、必死に答えた。
「そうか……それは悪くない。ただ……俺の心はぐちゃぐちゃだよ」
両手を掴まれて、深く本能を揺さぶられた。
「どうすればいいんですか?」
「俺を愛してると言えよ」
言えないってわかってるのに。
でも、もう橘さんも限界なのはわかってる。
ずっと悩んでた。
夢が叶うまでって。
でも私は……この人を──。
不安にさせたくない。
傷つけたくない。
安心させたい。
私ももう限界だ。
その時涙が溢れた。
「美鈴……」
橘さんが我に帰ったように止まった。
「橘さんの事……好きですよ」
──言ってしまった。
言わないと決めてたのに。
言ったら止められないって、この距離が壊れるって恐れてた。
でも、もう遅い。
橘さんは私を優しく包んだ。
「ごめん。言わせてごめん。でも……嬉しい」
橘さんが私を慈しむようにキスをする。
「美鈴。俺の美鈴」
耐えてた苦しみから私も解放されたように想いが溢れてくる。
「好きです……」
私はちゃんと仕事でも小説でも、この気持ちを抑えてやっていけるのか……。
「私ダメになってしまうかもしれません」
「恋をしても、失恋しても、大事な人がこの世からいなくなっても、書こうと思った時に書けばいい。焦らなくていい。俺が急かした。ごめん」
私達の関係をどう表現すればいいかわからないけど、想いを伝えてしまった。
もう理由はいらない。
私達が求めあう事に──
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
三浦さんと映画館でばったり会ってしまった。
三浦さんは同い年くらいの女の子と一緒にいて、手には私が見た映画と同じパンフレットを持っていた。
「ぐ、偶然ですね……」
橘さんの顔を見れない。
「もしかして同じ映画見てたのかな……?」
「はい」
その時、三浦さんの目が橘さんを見た。
「あ!!翠川さん!!」
橘さんは私達を人通りのない場所に移動させた。
三浦さんと一緒にいた女の子は、そこで帰った。
「翠川さんとまた会えるとは思わなかったです!」
三浦さんは橘さんを尊敬の眼差しで見ている。
「……そんな事より、二人は知り合いなの?」
橘さんは戸惑っている。
「はい!出版社のパーティーの時に忘れ物を届けてくれて……あと小説サークルで一緒です」
三浦さん全部言いっちゃった……。
逃げたかった。
「あー……そうなんだ」
橘さんからの視線が痛い。
「お二人は知り合いなんですか!?」
「はい……あるキッカケで懇意にさせて頂いてて……」
その時、橘さんに、強く肩を引き寄せられた。
「俺達は大人の関係だよ」
なんでそんな言い方するの!?
気まずい!!
「神谷さんすごい……翠川さんとプライベートで会える関係。羨ましい」
三浦さんにとって翠川雅人は先輩作家で、三浦さんも憧れているのか。
「翠川先生!!俺にも指導して下さい!!」
三浦さんはやる気に満ち溢れている。
「ちょっと今色々忙しい。あと、君は俺が指導しなくても俺も周りも認めてるよ」
その言葉、羨ましい……!!
「じゃあ俺達もう行くから、またね」
橘さんは私の腕を強く引っ張って連れて行こうとした。
「また会えるの楽しみにしてます!!あ、神谷さんの小説すごくよかったよ!また他のも見せてね!」
三浦さんは手を振って爽やかに去って行った。
私は逃げたい。
怖い。
「どういう事か説明してもらおうか……」
橘さんの声が地の底のように低い。
そのまま引きずられるようにマンションに帰った。
◇ ◇ ◇
橘さんの部屋で私は尋問されている。
「正直に全部詳しく話してもらおうか……」
私は無意識に正座をしていた。
「ただ……偶然なんです全部」
「で?」
「三浦さんが言ったのが全てです」
「前忘れた小説って?」
ヤバい、誤魔化さないと。
「……まさか、あの小説、持って行ってないよな?」
勘づかれている……!!
「あれは俺のための小説だ。誰にも見せてはいけない……。」
目が鋭くて、動けなくなる。
「あれは俺の前でしか見せない美鈴が描かれている」
いつの間にか、私は床に敷かれていて、橘さんの手が肌に触れていた。
「俺だけの美鈴。他の男に見せたくない」
強引に橘さんは私の服を剥いだ。
体に少しずつ痕をつけていく。
まるで自分のものと証明するかのように。
「でも……あれも私の綴った物語ですよ……」
橘さんに唇を塞がれる。
「俺との物語だろ」
「いえ、あのキャラクターは私たちではないです」
橘さんはお構いなしに色んな部分に這わせてくる。
何も考えられなくなる。
「サークル……俺がいるのに、なんで」
「色んな人の作品や……創作の悩みや意見とかを共有したかったんです」
乱れる呼吸の中、必死に答えた。
「そうか……それは悪くない。ただ……俺の心はぐちゃぐちゃだよ」
両手を掴まれて、深く本能を揺さぶられた。
「どうすればいいんですか?」
「俺を愛してると言えよ」
言えないってわかってるのに。
でも、もう橘さんも限界なのはわかってる。
ずっと悩んでた。
夢が叶うまでって。
でも私は……この人を──。
不安にさせたくない。
傷つけたくない。
安心させたい。
私ももう限界だ。
その時涙が溢れた。
「美鈴……」
橘さんが我に帰ったように止まった。
「橘さんの事……好きですよ」
──言ってしまった。
言わないと決めてたのに。
言ったら止められないって、この距離が壊れるって恐れてた。
でも、もう遅い。
橘さんは私を優しく包んだ。
「ごめん。言わせてごめん。でも……嬉しい」
橘さんが私を慈しむようにキスをする。
「美鈴。俺の美鈴」
耐えてた苦しみから私も解放されたように想いが溢れてくる。
「好きです……」
私はちゃんと仕事でも小説でも、この気持ちを抑えてやっていけるのか……。
「私ダメになってしまうかもしれません」
「恋をしても、失恋しても、大事な人がこの世からいなくなっても、書こうと思った時に書けばいい。焦らなくていい。俺が急かした。ごめん」
私達の関係をどう表現すればいいかわからないけど、想いを伝えてしまった。
もう理由はいらない。
私達が求めあう事に──