第9話 仕事と夢と
ー/ー これから橘さんこと、大好きな小説作家の翠川さんに小説を書く指導をしてもらえる喜びに浸ってたのも束の間──
「すみません、もう帰りたいんですが……」
「帰さない」
私達は攻防を繰り広げていた。
「弟子は師匠の言う事を聞くんだ」
「弟子はいらないって言ったじゃないですか!」
「じゃあ弟子になっていい」
「それが目的ならいいです!」
どちらも引かない。
「小説と、俺と神谷さんとの時間は別だ」
「でもそれだと小説の勉強が進まないです!」
これから、仕事と夢で両方頭下げてやっていかないといけないなんて。
住んでるところも同じ。
逃げ場がない!
しかも、こんな理由をつけて迫ってくる。
自分で選んだんだけども。
「橘さん私の事好きなんですか?彼女とかいないんですか?」
「いたら嫉妬する?」
「浮気相手にされたくないんです!」
「たとえ彼女がいたとしても、ずっと心に残っていた人にまた出会えたんだから、浮気相手にするわけないだろ」
橘さんの真剣な表情。
私はあまり覚えてない記憶でも、橘さんの中では大切な思い出で、私は特別の人なのか。
私にとっても翠川雅人は大好きな作家さんで、特別。
「あの……翠川雅人ってプラトニックな純愛小説がほとんどですよね?これは純愛なんですか?プラトニックではないですよね?」
「純愛だよ俺にとっては。人間なんだからプラトニックに生きてくのは不可能だ」
「プラトニックで売ってるじゃないですか!」
「本音を俺が小説に書けるわけないだろ!」
そんな言い合いをしながら、距離はゼロになっていく。
「あのプラトニックな恋愛はただの商業用に作った幻なんですか……?」
気がついたら橘さんに包囲されていた。
「創作は自由だ。現実とは違う」
顔が近づいてくる。
「でもプラトニックな恋愛が好きなのに、神谷さんは俺にハマっている」
俺にハマってる!?
いや、小説作家としての翠川雅人にはハマってるけど!
「プラトニックがいいんですけど、あんな再会の仕方だったじゃないですか……」
「そうだね。でも、あの時あの場所で再会したから、今俺たちはここにいるんだよ」
いつの間にか重なり合う手と手。
重なり合う唇。
混ざりあう体温。
こんな出会いもまた一つのドラマなのだと、納得させられた。
◇ ◇ ◇
次の日、会議で橘さんがうちの会社に来て、私は議事録を作りながらチラチラ様子を見ていた。
仕事中は冷静で落ち着いていて、あの片鱗は全く見えない。
仕事をしながら小説も書いて、忙しい人だ。
早く書いてるところが見たい!
会議が終わった後、私は橘さんに人気がない場所に引っ張られた。
「今日は部屋に来ないで」
「え?行きませんよ?」
その時、橘さんの顔が近づいたと思ったら、首に痕をつけられた。
「何するんですか!」
「なんかムカついたから……」
これじゃデスクに戻れない!
ハンカチで首を抑えながら、デスクに戻って絆創膏で何とか誤魔化した。
◇ ◇ ◇
仕事が終わってマンションに向かっていた。
なんで今日は部屋に行っちゃいけないんだろう。
きっと小説に集中したいんだ!
邪魔はしてはいけない。
今日はちゃんと本を読んでレビューを書かねば。
マンションのエントランスに近づいたら、誰かが立っていた。
橘さんと知らない女の人──。
その後二人はエレベーターに乗って最上階まで行った。
あの女の人は誰だろう……。
少し複雑な気持ちになった。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
これから橘さんこと、大好きな小説作家の翠川さんに小説を書く指導をしてもらえる喜びに浸ってたのも束の間──
「すみません、もう帰りたいんですが……」
「帰さない」
私達は攻防を繰り広げていた。
「弟子は師匠の言う事を聞くんだ」
「弟子はいらないって言ったじゃないですか!」
「じゃあ弟子になっていい」
「それが目的ならいいです!」
どちらも引かない。
「小説と、俺と神谷さんとの時間は別だ」
「でもそれだと小説の勉強が進まないです!」
これから、仕事と夢で両方頭下げてやっていかないといけないなんて。
住んでるところも同じ。
逃げ場がない!
しかも、こんな理由をつけて迫ってくる。
自分で選んだんだけども。
「橘さん私の事好きなんですか?彼女とかいないんですか?」
「いたら嫉妬する?」
「浮気相手にされたくないんです!」
「たとえ彼女がいたとしても、ずっと心に残っていた人にまた出会えたんだから、浮気相手にするわけないだろ」
橘さんの真剣な表情。
私はあまり覚えてない記憶でも、橘さんの中では大切な思い出で、私は特別の人なのか。
私にとっても翠川雅人は大好きな作家さんで、特別。
「あの……翠川雅人ってプラトニックな純愛小説がほとんどですよね?これは純愛なんですか?プラトニックではないですよね?」
「純愛だよ俺にとっては。人間なんだからプラトニックに生きてくのは不可能だ」
「プラトニックで売ってるじゃないですか!」
「本音を俺が小説に書けるわけないだろ!」
そんな言い合いをしながら、距離はゼロになっていく。
「あのプラトニックな恋愛はただの商業用に作った幻なんですか……?」
気がついたら橘さんに包囲されていた。
「創作は自由だ。現実とは違う」
顔が近づいてくる。
「でもプラトニックな恋愛が好きなのに、神谷さんは俺にハマっている」
俺にハマってる!?
いや、小説作家としての翠川雅人にはハマってるけど!
「プラトニックがいいんですけど、あんな再会の仕方だったじゃないですか……」
「そうだね。でも、あの時あの場所で再会したから、今俺たちはここにいるんだよ」
いつの間にか重なり合う手と手。
重なり合う唇。
混ざりあう体温。
こんな出会いもまた一つのドラマなのだと、納得させられた。
◇ ◇ ◇
次の日、会議で橘さんがうちの会社に来て、私は議事録を作りながらチラチラ様子を見ていた。
仕事中は冷静で落ち着いていて、あの片鱗は全く見えない。
仕事をしながら小説も書いて、忙しい人だ。
早く書いてるところが見たい!
会議が終わった後、私は橘さんに人気がない場所に引っ張られた。
「今日は部屋に来ないで」
「え?行きませんよ?」
その時、橘さんの顔が近づいたと思ったら、首に痕をつけられた。
「何するんですか!」
「なんかムカついたから……」
これじゃデスクに戻れない!
ハンカチで首を抑えながら、デスクに戻って絆創膏で何とか誤魔化した。
◇ ◇ ◇
仕事が終わってマンションに向かっていた。
なんで今日は部屋に行っちゃいけないんだろう。
きっと小説に集中したいんだ!
邪魔はしてはいけない。
今日はちゃんと本を読んでレビューを書かねば。
マンションのエントランスに近づいたら、誰かが立っていた。
橘さんと知らない女の人──。
その後二人はエレベーターに乗って最上階まで行った。
あの女の人は誰だろう……。
少し複雑な気持ちになった。