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開かない 戸の前に座り待つ理由
向こうにあるのは 未来かごはん
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その銀色の扉は、深い霧が立ち込める森の奥に、ぽつんと立っていた。壁も屋根もない。ただ、扉だけがそこにある。いつからそこにあるのか……誰も知らない。
一人の旅人が、静かに足を止めた。扉の前には、一匹の猫が座り込んでいる。猫は微動だにせず、ただ真っ直ぐに、閉ざされたままの真鍮の取っ手を見つめていた。
「おい、猫。こんなところで何をしているんだ」
旅人が問いかけても、猫は答えなかった。ただ、筆のように長いしっぽが、退屈そうに地面を払っただけだった。
この扉は、千年に一度だけ開くと言い伝えられている。向こう側にあるのは、失われた王国の黄金か、あるいは全てを塗り替える輝かしい未来か。あるいは――
「お前も、世界が変わる瞬間を待っているのか?」
人の言葉がわかるかどうかも不明だが、思わず旅人は猫に話しかける。
そのとき。
ギギ……と、錆びついた蝶番が悲鳴を上げる。
扉がわずかに開いた。隙間から溢れ出したのは、目が眩むような光。旅人は息を呑み、未来を掴み取ろうと手を伸ばしかけた。
しかし、その瞬間。光の向こう側から、ふわりと香ばしい匂いが漂ってきた。それは、焼きたての魚のような、ひどく日常的で温かな匂いだった。
*日記風雑感*
ご飯は大事だよね。
異世界だろうと、時空の狭間だろうと。お腹が空いたら動きたくても動けない。
扉の向こうには何が待ってるんだろう。
焼きたての魚のような、って。
焼き魚?
そんなことってある?
魚だとしたら、どんな魚でしょうね。
私たちの知っている、鮭やサンマや鯵のようなものでしょうか。あるいは、想像もつかない不思議な見た目の、「でも匂いは焼き魚」のものだったり。
さて。カラフトシシャモを焼きますか。
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七輪に 腹ふくらませシシャモ焼く
声なき卵の 夜を食べきる
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