ー*ー*ー*ー
帰り道 街灯ひとつ増えていて
影が先に 角を曲がった
ー*ー*ー*ー
会社帰りの道は、
十年前とほとんど変わらない。
あの頃と違うのは、街灯がひとつ増えたことだけだ。白く、少し無機質な光が、夜の舗道を余計に広く見せている。
私はその下を通り過ぎ、ふと足を止めた。
影が、私より先に角を曲がった気がしたからだ。
そんなはずはない。影は常に、遅れてくるものだ。
そう思いながらも、胸の奥に、理由のわからないざわめきが残った。
角を曲がると、そこは昔の通学路だった。子どもの私が何度も足を止めてこわごわ見つめた大きな犬のいる家。
吠えられたくなくて、いつもそっと足をしのばせて、息をひそめて通り過ぎていたことを思い出す。
その向こうーー今は空き地になっているはずの駄菓子屋の前に、誰かが立っている。
小学生くらいの背丈。ランドセルを背負い、こちらを見ていない。
声をかけようとして、やめた。
あれは知っている背中だ。夜道を一人で帰るのが怖くて、でも誰にも言えなかった頃の、自分。
街灯の光が揺れ、影が二つ、地面に重なった。
私は何も言わず、その横を通り過ぎる。
角を曲がるとき、影だけが、また少し先へ進んでいた。
帰り道は、いつも現在へ続いている。
けれど、影は時々、過去を連れて歩く。
*日記風雑感*
街灯のLED化がすすみ、近所の街灯もそうなってはや数年。
暗い⋯⋯。なぜですか。
うっすら暗いのは、なぜですか、Why?
住宅地の暗闇が増えてきました。
明るさをしみじみ感じるのは、コンビニと自販機くらいで。
戸建ての玄関灯は灯されることも減っていってるし、なんでしょうね。
とぼとぼ歩き疲れた帰り道、ぱあっと明るい光を見るとホッとしてたのに。
家もなにもない、田畑や山の中が漆黒なのはわかるけど、人が生活してる場所がうっすらと暗いのはーー
地味に、削られていく安心感。
ー*ー*ー*ー
影先に 曲がってしまい 追いつけず
私は私を 置いてきぼりに