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郵便箱 光の封筒届く手紙なし
ただ震えるのは 未来からの知らせ
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夕暮れ、郵便箱を開けると、白い封筒が一通だけ入っていた。切手も宛名もないのに、かすかに光を放っている。
指で触れた瞬間、封筒は小さく震えた。中を確かめても、紙は入っていない。ただ、空気だけが詰まっているようだった。
持ち帰って机に置くと、封筒の震えは止まらない。耳を近づけると、遠くで誰かが呼吸している気配がした。
言葉はない。意味も説明もない。ただ、これから先の時間が、ここに折り畳まれているのだと、なぜか分かった。
怖さはなかった。むしろ懐かしい。未来から届いたのは、知らせではなく、まだ選び直せるという感触そのものだったのだろう。
私は封筒を引き出しにしまい、いつも通り夕飯の支度を始めた。震えは、静かに続いている。明日も、きっと。
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*日記風雑感*
ポストの中を覗くのが楽しみだったのはどのくらい前だろう……
「コトン」
その音に、わくわくしていた、そんな時。
待ちわびている手紙、
どこからきたのかわからない手紙。
「コトン」
ほんのわずかな重さが伝える、静かな残響に、驚くほど耳を傾けていた昼下がり。
手紙をしたためることも
手紙が届くことも
今ではすっかり少なくなりました。
日常のやりとりはメールやLINEへといつの間にか移り変わっていきました。
そのうち、それもまた
「あの頃はあんな感じだったな」
と思い出すツールになるのでしょうか。
お正月といえば年賀状で、それぞれの家に届けられる年賀状の厚みに驚いて見ていた子供の頃。今ではそれも、あまり見かけない風景に。
時代の流れ。
残酷なものです。
夕暮れ、帰りをいそぐ人、どこからか漂ってくる煮物の匂い、
かじかむ手をポケットにつっこむ人。
その指先の向こうには、まだ見ぬ「明日」からの知らせがひっそりと待ち受けているのかもしれません。