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湯気の立つ 味噌汁の底揺れている
名を呼ばぬままの 小さき精(せい)の影
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朝の台所。お鍋からふわっと立ちのぼる湯気と一緒に、お出汁のいい香りが部屋に広がっていく。
お気に入りの器にお味噌汁を注ぐと、白い豆腐のあいだで、小さな影がゆらゆらって揺れたんだ。
「あ、また遊びにきてる」
それは、名前も知らない小さな精霊さん。
指先くらいのサイズで、形があるような、ないような……。
お味噌の粒にまぎれて、楽しそうにダンスをしているみたい。
おばあちゃんはよく言ってたっけ。
「その子の名前を聞いちゃダメだよ。仲良くなりすぎると、ずっとお家に居着いて、ちょっとしたイタズラを始めちゃうからね」って。
だから私は、なにも言わずにそーっとお箸で汁をまぜる。
すると精霊さんは「おっとっと」って驚いたみたいに跳ねて、ゆらゆら昇る湯気の階段をのぼって、窓から差し込む朝日の光の中に消えていっちゃった。
あとに残ったのは、あったかいお味噌汁。
ふうふうして一口飲むと、なんだかいつもよりほんのり甘くて、心がぽかぽかしてくる。
きっと、あの精霊さんが隠し味を置いていってくれたんだね。
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*日記風雑感*
精霊さん。
この口調だと、かなり若い人かなー(味噌汁飲みながら)ふー、おいしい。
鍋の中で踊るのは、豆腐だったりわかめだったり葱だったり。
味噌汁に入れてしまえばなんとかなる、様々な食材たちよ。具材多めの味噌汁の愉しさ。
よくよく考えたら、
豆腐、納豆、油揚げ、味噌、醤油。
どれだけ大豆……
一体どのくらい、大豆の精霊に惑わされ続けてるのか。
お話とは違い、我が家は味噌汁は夜に出すのてした。
なので味噌汁にやってくるのは夜間活動性の精霊たちだなー
夜に来る精霊は影を纏ったちょっとアレな予感。たちのぼる湯気の向こうに隠れてやがて……