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冷蔵庫 中で光る卵ひとつだけ
未来の朝を 予告している
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夜も更けた台所で、私はひとり冷蔵庫の前に立っていた。ドアを開けると、いつもと変わらぬ光景の中で、ひとつだけ異質な輝きを放つ卵があった。
白く、つややかで、まるで小さな月が殻の中に閉じ込められたかのようだ。
指先を伸ばすと、卵はほんのり温かく、鼓動のようにかすかに震えている。心のどこかで、「これは普通の卵じゃない」と知っていた。
棚の向こう側から、飼い猫がじっと私を見つめている。彼の目にも、卵の光が映り込んでいる。
「未来の朝を、知らせてくれるんだね」私はひそかに呟いた。卵の中に何が宿っているのか、答えはまだわからない。
ただ、手にした瞬間から、世界の空気が少しだけ柔らかく、希望に満ちたように感じられた。
翌朝、目覚めると台所には何も変わった様子はなかった。胸の奥に、昨夜の光の余韻が残っている。
外を見ると、朝の光がいつもより少しだけ優しく、街を包んでいた。
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*日記風雑感*
暮らしのなかにポッチリSF。日常SF。
そうえば、AIという言葉を聞かない日はなくなった。そのかわり、「人工知能」という言葉を聞かなくなった……
どこに行ってしまったの人工知能。
AIと入れ替わるように消えてしまった。
夜中に冷蔵庫のドアを開けると不思議な風景。まわりは暗闇、冷蔵庫の中の眩しい光に、少し目をつむる。同じ中身を見ているのに、昼間とは違う何か。
あれはいったい、何だろう。
やわらかく冷たい、しんとした光のなかに確かにある、昼間には感じないもの。
こっそり奥の方に隠しているプリンが放つ禍々しい力なのか?
それともさらにその奥にある、
ここではない、どこかからのーー
朝になるといつもの冷蔵庫。
取り出した卵もいつもの卵。
さて、目玉焼きを作りますか。