第75話

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ここはウエスの森の隣にある町。

フィーネたちは、鉱山に棲みついた魔物がエリーゼ王女を拐ったと確信して、鉱山に向かった。
風に砂が舞い、禍々しい空気が渦巻いている。
鉱山の入り口は、なんでも喰らうモンスターのようにその口を開いていた。

「ヤバい気配がするぞ」
ハクが身震いしながら言う。
「真っ黒なオーラを感じますわ」
アイリスも何か邪悪なものを感じているようだ。

「さあ、行くわよ。みんな準備は良い?」
フィーネが言う。
「早くいきましょう。フィーネ」
スザクが真剣な顔で言う。

「よし!行こうぜ!」
ゴブローはそう言うと鉱山の入り口に足を踏み入れた。

ヒューッ!
奥の方から重苦しい風が吹いてくる。
フィーネたちは、ゴブローに続いた。

「魔の者の気配をひしひしと感じるな」
イブが言う。

鉱山の中はぼんやりと黄色い灯りが灯っていて、松明は必要なさそうだ。

フィーネたちは慎重に歩を進めていく。
暫く進むと少し広くなった場所に出た。

「分かれ道だ!」
リリィが叫んだ。
広間の先に三つの穴が口を開けている。
「手分けするしかないわね。」
ホウオウが言う。

「仕方ない。三グループに分かれて行きましょう」
フィーネが言う。

①フィーネ、オルガ、スザク
②イブ、ゴブロー、ホウオウ
③リリィ、ハク、アイリス
三班の振り分けを決めて、それぞれに穴に向かった。

フィーネたちは右の道を行く。
暫く進むと、何だか頭の中がモヤモヤして来た。横を歩くスザクのことが気になって仕方ない。
フィーネはスザクの手を握った。スザクもほてった顔で握り返す。
フィーネは耐えきれずにスザクを抱き寄せた。二人の顔が近づく、ウットリした表情だ。
「フィーネさん...? スザクさん...?」
オルガが異変に気付き声をかけるが、フィーネとスザクは心ここに在らずと言う感じで見つめ合っている。
顔は紅潮し、目は虚。二人の唇が近づく。
「何してるんですか!二人とも!」
オルガが無理やり二人の間に割って入って、事なきを得た。
フィーネもスザクもキョトンとしている。
「私、一体、何を......」
スザクがつぶやく。
「これはチャーム(魅了)の魔法ね。」
冷静に戻ったフィーネが言った。
「危なかったわ。オルガ、ありがとう」
フィーネは礼を言った。
「二人ともしっかりしてくれよ」
オルガに言われた二人は申し訳なさそうにうなづいた。
「防御せよ、バリア。」
フィーネが防御魔法を使う。
気を取り直して、先に向かった。


「私のチャームを打ち破るとは、やるわね。」
何者かの声がした。
「誰?」
スザクが言う。
壁からスーッと現れる影。女だ。
「私はサキュバスのサマンサ。魔神様に仕える者。弱者は強者にひざまづくべきなのよ。」
女はそう名乗るとニヤリと笑い舌舐めずりした。
紫の長い髪に浅黒い肌、豊満なスタイルで裸に近い格好だ。
「さっきは不覚だったけど、もうチャームの魔法は効かないわよ。」
フィーネが言う。
「私の得意技はチャームだけじゃ無いのよ。魔神様から頂いた力、思い知るがいい。」
サマンサの体が変化する。身体が大きくなり、足が四本に増える。頭は馬のように変化して、鋭い牙が生えた。
「また、面倒臭いわね。」
フィーネがつぶやく。
「来るぞ!」
オルガが叫ぶ。
サマンサが襲いかかって来た。
スザクは間一髪でかわす。
「うぉー!」
オルガが斬りかかるがサマンサに軽く弾き飛ばされた。
「光よ出でよ、ライトニングアロー!」
フィーネの魔法が炸裂する。
グアッ!
サマンサに直撃した。効いているようだ。
「ライトニングアロー!」
フィーネは、魔法を連打する。
サマンサは真っ白い光に包まれた。
「やったか!?」
スザクが言う。
光が収まると黒い影が現れた。
足を一本と片手を失いながらもサマンサは生きていた。
「魔神様の力。まだこんなものでは無いぞ!」
サマンサの手と足が再生する。そして、素早い動きでフィーネに襲いかかった。
フィーネは防御体制で攻撃に耐える。

「欠伸が出るほど遅いわね。」
サマンサが繰り出す攻撃を軽々と交わし、フィーネは息一つ乱れていない。
「これならどうだ!」
サマンサが口を大きく開いた瞬間。
炎がフィーネに向かい直撃した。
咄嗟にかわしたフィーネだったが、右腕に当たってしまった。
右腕が火傷で動かない。
「クッ!」
フィーネが苦悶の表情を浮かべる。
「フィーネさん!」
オルガが助けに行こうとしたが、フィーネが制止した。
「コイツは私一人で倒すわ」
フィーネは右腕を、だらりと垂らしながら立ち上がった。
「左手一本で十分!」
フィーネが言う。
「舐められたものね。遠慮なくトドメを刺させてもらうわ」
サマンサが構える、そして、猛スピードでフィーネに襲いかかった。
フィーネは攻撃を交わすのがやっとの状態だ。
「ハハハハッ!避けてばかりじゃ勝てないわよ。」
サマンサの挑発には乗らず、フィーネは機会を狙っていた。
「ライトニングドラゴン!」
「?!」


フィーネね左手から光輝く竜が放たれ、サマンサの身体に風穴が開いた。

「そ...そんな...ばかな......」
サマンサは口から血を吐き出し前のめりに倒れた。

「これで、終わりね。」
フィーネはその場に座り込んだ。

「フィーネさん!」
「フィーネ!」
オルガとスザクが駆け寄る。
フィーネは二人に笑顔を見せた。
「大丈夫。回復魔法ですぐ治すから。」

「フィーネさん、無茶はしないでください!」
「ごめんね、オルガ。」
フィーネはヒールの呪文を唱えて右手を治癒した。

「さあ、奥に行きましょう」
フィーネたちは再び坑道の奥に向かって歩き出した。







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ここはウエスの森の隣にある町。
フィーネたちは、鉱山に棲みついた魔物がエリーゼ王女を拐ったと確信して、鉱山に向かった。
風に砂が舞い、禍々しい空気が渦巻いている。
鉱山の入り口は、なんでも喰らうモンスターのようにその口を開いていた。
「ヤバい気配がするぞ」
ハクが身震いしながら言う。
「真っ黒なオーラを感じますわ」
アイリスも何か邪悪なものを感じているようだ。
「さあ、行くわよ。みんな準備は良い?」
フィーネが言う。
「早くいきましょう。フィーネ」
スザクが真剣な顔で言う。
「よし!行こうぜ!」
ゴブローはそう言うと鉱山の入り口に足を踏み入れた。
ヒューッ!
奥の方から重苦しい風が吹いてくる。
フィーネたちは、ゴブローに続いた。
「魔の者の気配をひしひしと感じるな」
イブが言う。
鉱山の中はぼんやりと黄色い灯りが灯っていて、松明は必要なさそうだ。
フィーネたちは慎重に歩を進めていく。
暫く進むと少し広くなった場所に出た。
「分かれ道だ!」
リリィが叫んだ。
広間の先に三つの穴が口を開けている。
「手分けするしかないわね。」
ホウオウが言う。
「仕方ない。三グループに分かれて行きましょう」
フィーネが言う。
①フィーネ、オルガ、スザク
②イブ、ゴブロー、ホウオウ
③リリィ、ハク、アイリス
三班の振り分けを決めて、それぞれに穴に向かった。
フィーネたちは右の道を行く。
暫く進むと、何だか頭の中がモヤモヤして来た。横を歩くスザクのことが気になって仕方ない。
フィーネはスザクの手を握った。スザクもほてった顔で握り返す。
フィーネは耐えきれずにスザクを抱き寄せた。二人の顔が近づく、ウットリした表情だ。
「フィーネさん...? スザクさん...?」
オルガが異変に気付き声をかけるが、フィーネとスザクは心ここに在らずと言う感じで見つめ合っている。
顔は紅潮し、目は虚。二人の唇が近づく。
「何してるんですか!二人とも!」
オルガが無理やり二人の間に割って入って、事なきを得た。
フィーネもスザクもキョトンとしている。
「私、一体、何を......」
スザクがつぶやく。
「これはチャーム(魅了)の魔法ね。」
冷静に戻ったフィーネが言った。
「危なかったわ。オルガ、ありがとう」
フィーネは礼を言った。
「二人ともしっかりしてくれよ」
オルガに言われた二人は申し訳なさそうにうなづいた。
「防御せよ、バリア。」
フィーネが防御魔法を使う。
気を取り直して、先に向かった。
「私のチャームを打ち破るとは、やるわね。」
何者かの声がした。
「誰?」
スザクが言う。
壁からスーッと現れる影。女だ。
「私はサキュバスのサマンサ。魔神様に仕える者。弱者は強者にひざまづくべきなのよ。」
女はそう名乗るとニヤリと笑い舌舐めずりした。
紫の長い髪に浅黒い肌、豊満なスタイルで裸に近い格好だ。
「さっきは不覚だったけど、もうチャームの魔法は効かないわよ。」
フィーネが言う。
「私の得意技はチャームだけじゃ無いのよ。魔神様から頂いた力、思い知るがいい。」
サマンサの体が変化する。身体が大きくなり、足が四本に増える。頭は馬のように変化して、鋭い牙が生えた。
「また、面倒臭いわね。」
フィーネがつぶやく。
「来るぞ!」
オルガが叫ぶ。
サマンサが襲いかかって来た。
スザクは間一髪でかわす。
「うぉー!」
オルガが斬りかかるがサマンサに軽く弾き飛ばされた。
「光よ出でよ、ライトニングアロー!」
フィーネの魔法が炸裂する。
グアッ!
サマンサに直撃した。効いているようだ。
「ライトニングアロー!」
フィーネは、魔法を連打する。
サマンサは真っ白い光に包まれた。
「やったか!?」
スザクが言う。
光が収まると黒い影が現れた。
足を一本と片手を失いながらもサマンサは生きていた。
「魔神様の力。まだこんなものでは無いぞ!」
サマンサの手と足が再生する。そして、素早い動きでフィーネに襲いかかった。
フィーネは防御体制で攻撃に耐える。
「欠伸が出るほど遅いわね。」
サマンサが繰り出す攻撃を軽々と交わし、フィーネは息一つ乱れていない。
「これならどうだ!」
サマンサが口を大きく開いた瞬間。
炎がフィーネに向かい直撃した。
咄嗟にかわしたフィーネだったが、右腕に当たってしまった。
右腕が火傷で動かない。
「クッ!」
フィーネが苦悶の表情を浮かべる。
「フィーネさん!」
オルガが助けに行こうとしたが、フィーネが制止した。
「コイツは私一人で倒すわ」
フィーネは右腕を、だらりと垂らしながら立ち上がった。
「左手一本で十分!」
フィーネが言う。
「舐められたものね。遠慮なくトドメを刺させてもらうわ」
サマンサが構える、そして、猛スピードでフィーネに襲いかかった。
フィーネは攻撃を交わすのがやっとの状態だ。
「ハハハハッ!避けてばかりじゃ勝てないわよ。」
サマンサの挑発には乗らず、フィーネは機会を狙っていた。
「ライトニングドラゴン!」
「?!」
フィーネね左手から光輝く竜が放たれ、サマンサの身体に風穴が開いた。
「そ...そんな...ばかな......」
サマンサは口から血を吐き出し前のめりに倒れた。
「これで、終わりね。」
フィーネはその場に座り込んだ。
「フィーネさん!」
「フィーネ!」
オルガとスザクが駆け寄る。
フィーネは二人に笑顔を見せた。
「大丈夫。回復魔法ですぐ治すから。」
「フィーネさん、無茶はしないでください!」
「ごめんね、オルガ。」
フィーネはヒールの呪文を唱えて右手を治癒した。
「さあ、奥に行きましょう」
フィーネたちは再び坑道の奥に向かって歩き出した。