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@ 86話

ー/ー





「…………」


 


 押し黙る舞羽。立ち止まったまま、拳を握り締めて動けないでいる。震えた拳が舞羽の悔しさと、やるせなさを物語っている。舞羽が気にかかって楓乃にも言葉の出ない遊馬。してやったり、と言葉を叩き込む楓乃。


「騙してたんでしょう? 可愛い顔を隠して」


「……俺は知っていたよ」


「えっ?!」 「?!」


 遊馬が力なく地面に向かって呟いた。地面に跳ね返った、遊馬の言葉に舞羽と楓乃が息を呑み込む。


「ウソよ。デタラメ言ったって何も変わらないわよ」


「本当さ。この前、舞香と美都が話しているのを聞いた……ゴメン、舞羽……盗み聞きするつもりはなかったんだ」


 舞羽に向き直る遊馬。遊馬もこんな形を望んでいなかった。舞羽が言いたくなければ、ずっと知らない振りをしていても良かった。


 またしても、思っていた通りに行かない楓乃が焦れる。何故自分と同じように絶望に打ちひしがれないのか? 何故自分のように孤独に叩きのめされないのだろうか? 楓乃は気付く、絶望が足らないのだ、と。


 


「舞羽、見せてあげれば? 遊馬君だって見てないから分からないんでしょう? 見せなさいよ!」


 


 


「止めろ!」


 遊馬の言葉に誰かの声が被った。


 


 


「止めろ! そんなこと、やらなくていい舞羽。楓乃もいい加減にしろ!」


 


 隼人だった。




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「…………」
 押し黙る舞羽。立ち止まったまま、拳を握り締めて動けないでいる。震えた拳が舞羽の悔しさと、やるせなさを物語っている。舞羽が気にかかって楓乃にも言葉の出ない遊馬。してやったり、と言葉を叩き込む楓乃。
「騙してたんでしょう? 可愛い顔を隠して」
「……俺は知っていたよ」
「えっ?!」 「?!」
 遊馬が力なく地面に向かって呟いた。地面に跳ね返った、遊馬の言葉に舞羽と楓乃が息を呑み込む。
「ウソよ。デタラメ言ったって何も変わらないわよ」
「本当さ。この前、舞香と美都が話しているのを聞いた……ゴメン、舞羽……盗み聞きするつもりはなかったんだ」
 舞羽に向き直る遊馬。遊馬もこんな形を望んでいなかった。舞羽が言いたくなければ、ずっと知らない振りをしていても良かった。
 またしても、思っていた通りに行かない楓乃が焦れる。何故自分と同じように絶望に打ちひしがれないのか? 何故自分のように孤独に叩きのめされないのだろうか? 楓乃は気付く、絶望が足らないのだ、と。
「舞羽、見せてあげれば? 遊馬君だって見てないから分からないんでしょう? 見せなさいよ!」
「止めろ!」
 遊馬の言葉に誰かの声が被った。
「止めろ! そんなこと、やらなくていい舞羽。楓乃もいい加減にしろ!」
 隼人だった。