「舞羽、これ」
家に帰ると舞香が封筒を渡してきた。受け取って舞香を見る。舞香が黙って頷く。『開けてもいい?』と目でもって聞かれた返事だ。
中身は数枚の長方形の紙片だった。
『乗り物券』と記されたデパートの屋上遊園地の券2枚と『お食事20%割引』とあるクーポン。そして映画『西部警察24時』のチケット。
改めて顔を上げると、舞香のご満悦そうな顔が。今度は舞羽の目は『え?』っと訴えかけていたはずなのに、舞香はまたも頷いて返事を返す。
それは『うん、分かってる。大丈夫』もしくは『心配しないで』『何も言わなくていいよ』的な眼差しと共に。
双子のシンパシーはどうしたのよ、と堪らず声を出す。
「何? これ?」
「えっと『乗り物券』はあそこの屋上にあるメリーゴーランドに使ってね。それとクーポンは『カフェ キャロッティ』で。あ、飲み物だけだと使えないから気を付けて。おすすめは人参プリンだからね。で、最後は映画の券」
美都と二人、企んでいたのがバレバレだ。見事なまでに『馬』に寄せてきている。これはきっと舞香の独断としか考えられない。
「カフェはちゃんと、カウンター席あるよ」
間違いない決定である
舞香は誰もいないのに、口に手を添えて小声でわざわざ伝えてくる。そんなところがいやらしい。見なくてもニヤついているのが分かる。
舞香の心だけは伝わった、ありがたく頂戴しておくことにする。
ところで映画の『西部警察24時』のチケットには、ピストルを持った男たちと爆風の中を走り抜ける車で、馬が全く映っていないが、果たしてウエスタン映画なのだろうか? そして双子の妹から見ても、舞羽と遊馬は『馬』しかない人間に見えているのであろうか?
舞羽はため息がこぼれた。