Episode 2
ー/ー
今日のお買い物の目的は、花粉症にも優しい、ちょいといいお値段なテイッシュ。調子よくないから、せめて鼻が赤くならないようにしないと。あれっ?あれれ?
棚の一角に不自然な光彩があった。アニメ『ロード・オブ・ブレイド』のコラボティッシュだ。
パッケージには、あろうことか伝説のソードマスター、無敗の剣士ヴァイス・セイヤクが、慈愛に満ちた表情でプリントされている。
ヴァイスーーー!!!
きゃああああああーーー
その前には、ネクタイを締めた、仕事帰りのサラリーマンかな?と思える男性が静かに立っていた。
彼の指と私の指。私たちは同時に、棚の奥の最も上質な顔(箱潰れのない、剣士の顔が完璧な箱)に気づいた。互いの視線が、一瞬だけ棚の角で交差する。
彼はフッと笑った。それは「どうぞ」という優しさではなく、「お先にどうぞ、と見せかけて隙を窺う」という、通路を高速で駆け抜ける特売品のカートのような高度な駆け引きだったに違いない。
私は冷静を装い、別の商品に手を伸ばすフリをし、彼の意識がそれたその一瞬、狙った獲物へと指を滑らせた。
見事、箱を確保。フッハッハッハ。
たかがティッシュ一箱に、こんなにも脳のリソースを使ったのは初めてだ。
レジで、手に入れた箱の剣士と目が合う。彼の澄んだ瞳は、今しがた棚の前で繰り広げられた鼻炎の民の大人の本気を、すべて見透かしていたかもしれないと、私はクスッと笑った。
みんなのリアクション
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今日のお買い物の目的は、花粉症にも優しい、ちょいといいお値段なテイッシュ。調子よくないから、せめて鼻が赤くならないようにしないと。あれっ?あれれ?
棚の一角に不自然な光彩があった。アニメ『ロード・オブ・ブレイド』のコラボティッシュだ。
パッケージには、あろうことか伝説のソードマスター、無敗の剣士ヴァイス・セイヤクが、慈愛に満ちた表情でプリントされている。
ヴァイスーーー!!!
きゃああああああーーー
その前には、ネクタイを締めた、仕事帰りのサラリーマンかな?と思える男性が静かに立っていた。
彼の指と私の指。私たちは同時に、棚の奥の最も上質な顔(箱潰れのない、剣士の顔が完璧な箱)に気づいた。互いの視線が、一瞬だけ棚の角で交差する。
彼はフッと笑った。それは「どうぞ」という優しさではなく、「お先にどうぞ、と見せかけて隙を窺う」という、通路を高速で駆け抜ける特売品のカートのような高度な駆け引きだったに違いない。
私は冷静を装い、別の商品に手を伸ばすフリをし、彼の意識がそれたその一瞬、狙った獲物へと指を滑らせた。
見事、箱を確保。フッハッハッハ。
たかがティッシュ一箱に、こんなにも脳のリソースを使ったのは初めてだ。
レジで、手に入れた箱の剣士と目が合う。彼の澄んだ瞳は、今しがた棚の前で繰り広げられた鼻炎の民の大人の本気を、すべて見透かしていたかもしれないと、私はクスッと笑った。