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しかしここで、でっかい謎に気づいた。
ジンはオオカミで、戦う時には俺みたいなワーウルフ形態に変身できる。
でもってソースケも、自分はキツネだって言ってた。まだ動物の姿になるのは見てないけど、今のところはジンのようなワーフォックスにもなれるし。


……じゃあ、俺はいったい何なの?
俺は人間だよね、そう、ずっと人間として生きている、今でも。それがなぜワーウルフに変身できちゃうんだ? さらにはジンのようなちゃんとした四足歩行形態にもなれないし。
でも振り返ってみれば、俺は過去に戦ったイノシシやコアラみたく人間が変身するパターンに当てはまる。
けどやっぱり違う。アイツらは自我が無くなってる、だから暴れたりものを破壊するんだ、そうコタローは言ってたし。


つまり、そのどちらにも当てはまらないんだ、俺って。
……自我、持ってるよね? 俺は朝早く起きて飯作ってトイレ行って学校行って勉強して給食食べて帰宅してそして……
俺の意思で、きちんと毎日生きてるよね?


「どーしたんだタケル、すっげ汗かいてるけど」
隣でソースケが心配そうな顔してた。ぼたぼた滴り落ちるほどのおでこの汗を拭いてくれて……ってオイ! このハンドタオルってお前が鼻かんだやつじゃないのか!?
「大丈夫か? おいらなんか悪いことしちゃったのかなって」
さっきまでの威勢の良さはどーしちゃったんだか。すっごく細い目でも、なんか泣きそうに見えてくるし。
「おまえもそうじゃね? なんか鼻赤いし」
俺にそう言われて突然「えええええ!?」と立ち上がって川面に自分の顔を写してた。でもってさらに「やっべえええええ!」って持ってたリュックの中を引っ掻き回してるし。
何なんだもう、鼻が赤いのがそんなにマズかったとか? ずっとコンコン言い続けてるし。


しばらくしてリュックの奥底から小さなチューブ状のものを手に取ると、中の液みたいなのを必死になって鼻に塗りたくってた。もしかしてソースケ、それ化粧……?
「あ、これコンシーラーだよ。タケルは使ったことないの?」
はい、生まれて一度もないです。
つーかまた俺の胸の内が読まれてた感じしたし。
つまりコンコン鳴いてたのはコンシーラーのことだったのか。いやコンシーラーってなんなのか全然知らねーけどさ。

「んーと、本来ならシミとかヒゲの跡とか隠す化粧品なんだよね、けどおいら、この歳になっても鼻が赤かったんだ。だからかーちゃんが誕生日に買ってくれてさ」
塗り終わったソースケがくるりと振り向く、さっき初めて会った時と同じ肌に戻った。なるほどこれがコンシーラーなのか。
「タケル、このことは誰にも言うなよ」
すごい威圧感で俺の眼前に迫ってきた。相変わらず目玉のわからないほどの目の細さだけど。
「は、鼻が赤いこと?」一言「うん」って。ちなみにキツネの時もそうだ、本来なら黒く濡れてつやつやした鼻なのは知っての通り。だけどソースケは鼻の色素が無くってピンク色。人間の姿になったらそれが顕著になって、さっきみたく赤い鼻に見えてしまうんだって。

アイツは、それがとてもコンプレックスになってたんだ。
「タケルだってそうでしょ? おいらが失神するくらい足が臭いんだし。きっと毎日寝れなくなるほど悩んでるんじゃないかって」
「えっと……それならもうクラスのみんな知ってるから、大丈夫」

重い空気が流れた。


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しかしここで、でっかい謎に気づいた。
ジンはオオカミで、戦う時には俺みたいなワーウルフ形態に変身できる。
でもってソースケも、自分はキツネだって言ってた。まだ動物の姿になるのは見てないけど、今のところはジンのようなワーフォックスにもなれるし。
……じゃあ、俺はいったい何なの?
俺は人間だよね、そう、ずっと人間として生きている、今でも。それがなぜワーウルフに変身できちゃうんだ? さらにはジンのようなちゃんとした四足歩行形態にもなれないし。
でも振り返ってみれば、俺は過去に戦ったイノシシやコアラみたく人間が変身するパターンに当てはまる。
けどやっぱり違う。アイツらは自我が無くなってる、だから暴れたりものを破壊するんだ、そうコタローは言ってたし。
つまり、そのどちらにも当てはまらないんだ、俺って。
……自我、持ってるよね? 俺は朝早く起きて飯作ってトイレ行って学校行って勉強して給食食べて帰宅してそして……
俺の意思で、きちんと毎日生きてるよね?
「どーしたんだタケル、すっげ汗かいてるけど」
隣でソースケが心配そうな顔してた。ぼたぼた滴り落ちるほどのおでこの汗を拭いてくれて……ってオイ! このハンドタオルってお前が鼻かんだやつじゃないのか!?
「大丈夫か? おいらなんか悪いことしちゃったのかなって」
さっきまでの威勢の良さはどーしちゃったんだか。すっごく細い目でも、なんか泣きそうに見えてくるし。
「おまえもそうじゃね? なんか鼻赤いし」
俺にそう言われて突然「えええええ!?」と立ち上がって川面に自分の顔を写してた。でもってさらに「やっべえええええ!」って持ってたリュックの中を引っ掻き回してるし。
何なんだもう、鼻が赤いのがそんなにマズかったとか? ずっとコンコン言い続けてるし。
しばらくしてリュックの奥底から小さなチューブ状のものを手に取ると、中の液みたいなのを必死になって鼻に塗りたくってた。もしかしてソースケ、それ化粧……?
「あ、これコンシーラーだよ。タケルは使ったことないの?」
はい、生まれて一度もないです。
つーかまた俺の胸の内が読まれてた感じしたし。
つまりコンコン鳴いてたのはコンシーラーのことだったのか。いやコンシーラーってなんなのか全然知らねーけどさ。
「んーと、本来ならシミとかヒゲの跡とか隠す化粧品なんだよね、けどおいら、この歳になっても鼻が赤かったんだ。だからかーちゃんが誕生日に買ってくれてさ」
塗り終わったソースケがくるりと振り向く、さっき初めて会った時と同じ肌に戻った。なるほどこれがコンシーラーなのか。
「タケル、このことは誰にも言うなよ」
すごい威圧感で俺の眼前に迫ってきた。相変わらず目玉のわからないほどの目の細さだけど。
「は、鼻が赤いこと?」一言「うん」って。ちなみにキツネの時もそうだ、本来なら黒く濡れてつやつやした鼻なのは知っての通り。だけどソースケは鼻の色素が無くってピンク色。人間の姿になったらそれが顕著になって、さっきみたく赤い鼻に見えてしまうんだって。
アイツは、それがとてもコンプレックスになってたんだ。
「タケルだってそうでしょ? おいらが失神するくらい足が臭いんだし。きっと毎日寝れなくなるほど悩んでるんじゃないかって」
「えっと……それならもうクラスのみんな知ってるから、大丈夫」
重い空気が流れた。