#20
ー/ー「どうしてこんなひどい事を」
「ジロー?なんで?ねえなんで?」
二人に問い詰められても平気な顔のシロは腕を組み男を睨んでいる。
数秒後、安楽椅子の上でずっと動かぬままであった男がプールの中で限界まで息を止めていた状態から急浮上して顔を出した瞬間のように大仰な音をさせながら呼吸を再開した。
数度の深呼吸を挟み氷の縛めが解け、雫の垂れるまつ毛を開くと周囲を見渡し、そして床や天井の異常に驚愕した。まるで居眠りから起きたら酷い事になっていたとでも言わんばかりの男は、酷く動転した様子で家人に声をかけた。
「なんなんだこの有様は?こんなに暑いのに天井は氷柱が垂れているし、床も随分濡れているじゃないか。それになんで私は部屋の中にいるのにパーカなんて着こんでるんだ。お陰で顔中汗でびちょびちょじゃないか」
子供に続き妻もぽかんと口を開けて夫を眺める中、「ところであんたは?」と問われた久峩耳シロは短く自己紹介をした。
「いやーまさか私に精霊が憑いてたとは。過去に憑かれた者も記憶がないと言ってたが本当に綺麗サッパリ何も覚えてない。面白いような不思議なような」
「何が面白いもんですか。やたら体温が低いから寒くないように三日三晩火を起し続けたあたしの気持ちが分かるかい?焚いても焚いても部屋は暖かくなるどころか、あんたを中心に冷気が染み出て家中霜だらけ。それ食ったら雑巾をやるから掃除はあんたがするんだよ」
シロは事の次第を説明をしようとしたが、やたら腹が減っているのでともかく食事がしたいというので父親は肉を噛み千切っている。母親だけでなくシロも手伝い手直な氷柱は落とし終えたが、母親は長く伸びる前で手の届かない天井付近の小さな物が溶けたことで出来た水溜まりを指さし、起きたばかりの癖にやたらと元気な夫に仕事を言いつけた。
「晩御飯をご馳走するからうちのが掃除を終えた頃にまたおいで」
眠る夫をベッドから暖炉前に運び、ずっと寝ずに火を起し続けていた妻は大欠伸をかます。少し仮眠をとるらしく、シロとシェリーには掃除が終わるまで外で遊ぶように勧めながら寝室へと消えていった。
「それじゃそういうことだから、ジローさん二、三時間したらまた。シェリーも失礼が無いように」
「手伝おうか?別にやりたいこともないんだが」
「何をおっしゃる。恩人に掃除させたなんてばれたらあいつにどやされちまうよ。だからここは私の為にどうか外で、といっても小さなゲームセンターくらいしか行く所もないけどね」
「ゲーセンがあるのか。なら夜まででも余裕そうだ」
「あとこれはわずかながらお礼です」
「別に礼が欲しくてやった訳じゃ」
「これも受け取ってもらわないと、どやされちまう」
狼藉者改め功労者はそう言う事ならとありがたくとウエストポーチに収める、束の間であったが脱いでいたパーカに再び袖を通し子供と二人外に出た。
「ジロー?なんで?ねえなんで?」
二人に問い詰められても平気な顔のシロは腕を組み男を睨んでいる。
数秒後、安楽椅子の上でずっと動かぬままであった男がプールの中で限界まで息を止めていた状態から急浮上して顔を出した瞬間のように大仰な音をさせながら呼吸を再開した。
数度の深呼吸を挟み氷の縛めが解け、雫の垂れるまつ毛を開くと周囲を見渡し、そして床や天井の異常に驚愕した。まるで居眠りから起きたら酷い事になっていたとでも言わんばかりの男は、酷く動転した様子で家人に声をかけた。
「なんなんだこの有様は?こんなに暑いのに天井は氷柱が垂れているし、床も随分濡れているじゃないか。それになんで私は部屋の中にいるのにパーカなんて着こんでるんだ。お陰で顔中汗でびちょびちょじゃないか」
子供に続き妻もぽかんと口を開けて夫を眺める中、「ところであんたは?」と問われた久峩耳シロは短く自己紹介をした。
「いやーまさか私に精霊が憑いてたとは。過去に憑かれた者も記憶がないと言ってたが本当に綺麗サッパリ何も覚えてない。面白いような不思議なような」
「何が面白いもんですか。やたら体温が低いから寒くないように三日三晩火を起し続けたあたしの気持ちが分かるかい?焚いても焚いても部屋は暖かくなるどころか、あんたを中心に冷気が染み出て家中霜だらけ。それ食ったら雑巾をやるから掃除はあんたがするんだよ」
シロは事の次第を説明をしようとしたが、やたら腹が減っているのでともかく食事がしたいというので父親は肉を噛み千切っている。母親だけでなくシロも手伝い手直な氷柱は落とし終えたが、母親は長く伸びる前で手の届かない天井付近の小さな物が溶けたことで出来た水溜まりを指さし、起きたばかりの癖にやたらと元気な夫に仕事を言いつけた。
「晩御飯をご馳走するからうちのが掃除を終えた頃にまたおいで」
眠る夫をベッドから暖炉前に運び、ずっと寝ずに火を起し続けていた妻は大欠伸をかます。少し仮眠をとるらしく、シロとシェリーには掃除が終わるまで外で遊ぶように勧めながら寝室へと消えていった。
「それじゃそういうことだから、ジローさん二、三時間したらまた。シェリーも失礼が無いように」
「手伝おうか?別にやりたいこともないんだが」
「何をおっしゃる。恩人に掃除させたなんてばれたらあいつにどやされちまうよ。だからここは私の為にどうか外で、といっても小さなゲームセンターくらいしか行く所もないけどね」
「ゲーセンがあるのか。なら夜まででも余裕そうだ」
「あとこれはわずかながらお礼です」
「別に礼が欲しくてやった訳じゃ」
「これも受け取ってもらわないと、どやされちまう」
狼藉者改め功労者はそう言う事ならとありがたくとウエストポーチに収める、束の間であったが脱いでいたパーカに再び袖を通し子供と二人外に出た。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
「どうしてこんなひどい事を」
「ジロー?なんで?ねえなんで?」
「ジロー?なんで?ねえなんで?」
二人に問い詰められても平気な顔のシロは腕を組み男を睨んでいる。
数秒後、安楽椅子の上でずっと動かぬままであった男がプールの中で限界まで息を止めていた状態から急浮上して顔を出した瞬間のように大仰な音をさせながら呼吸を再開した。
数度の深呼吸を挟み氷の縛めが解け、雫の垂れるまつ毛を開くと周囲を見渡し、そして床や天井の異常に驚愕した。まるで居眠りから起きたら酷い事になっていたとでも言わんばかりの男は、酷く動転した様子で家人に声をかけた。
数秒後、安楽椅子の上でずっと動かぬままであった男がプールの中で限界まで息を止めていた状態から急浮上して顔を出した瞬間のように大仰な音をさせながら呼吸を再開した。
数度の深呼吸を挟み氷の縛めが解け、雫の垂れるまつ毛を開くと周囲を見渡し、そして床や天井の異常に驚愕した。まるで居眠りから起きたら酷い事になっていたとでも言わんばかりの男は、酷く動転した様子で家人に声をかけた。
「なんなんだこの有様は?こんなに暑いのに天井は氷柱が垂れているし、床も随分濡れているじゃないか。それになんで私は部屋の中にいるのにパーカなんて着こんでるんだ。お陰で顔中汗でびちょびちょじゃないか」
子供に続き妻もぽかんと口を開けて夫を眺める中、「ところであんたは?」と問われた久峩耳シロは短く自己紹介をした。
子供に続き妻もぽかんと口を開けて夫を眺める中、「ところであんたは?」と問われた久峩耳シロは短く自己紹介をした。
「いやーまさか私に精霊が憑いてたとは。過去に憑かれた者も記憶がないと言ってたが本当に綺麗サッパリ何も覚えてない。面白いような不思議なような」
「何が面白いもんですか。やたら体温が低いから寒くないように三日三晩火を起し続けたあたしの気持ちが分かるかい?焚いても焚いても部屋は暖かくなるどころか、あんたを中心に冷気が染み出て家中霜だらけ。それ食ったら雑巾をやるから掃除はあんたがするんだよ」
「何が面白いもんですか。やたら体温が低いから寒くないように三日三晩火を起し続けたあたしの気持ちが分かるかい?焚いても焚いても部屋は暖かくなるどころか、あんたを中心に冷気が染み出て家中霜だらけ。それ食ったら雑巾をやるから掃除はあんたがするんだよ」
シロは事の次第を説明をしようとしたが、やたら腹が減っているのでともかく食事がしたいというので父親は肉を噛み千切っている。母親だけでなくシロも手伝い手直な氷柱は落とし終えたが、母親は長く伸びる前で手の届かない天井付近の小さな物が溶けたことで出来た水溜まりを指さし、起きたばかりの癖にやたらと元気な夫に仕事を言いつけた。
「晩御飯をご馳走するからうちのが掃除を終えた頃にまたおいで」
眠る夫をベッドから暖炉前に運び、ずっと寝ずに火を起し続けていた妻は大欠伸をかます。少し仮眠をとるらしく、シロとシェリーには掃除が終わるまで外で遊ぶように勧めながら寝室へと消えていった。
「それじゃそういうことだから、ジローさん二、三時間したらまた。シェリーも失礼が無いように」
「手伝おうか?別にやりたいこともないんだが」
「手伝おうか?別にやりたいこともないんだが」
「何をおっしゃる。恩人に掃除させたなんてばれたらあいつにどやされちまうよ。だからここは私の為にどうか外で、といっても小さなゲームセンターくらいしか行く所もないけどね」
「ゲーセンがあるのか。なら夜まででも余裕そうだ」
「ゲーセンがあるのか。なら夜まででも余裕そうだ」
「あとこれはわずかながらお礼です」
「別に礼が欲しくてやった訳じゃ」
「別に礼が欲しくてやった訳じゃ」
「これも受け取ってもらわないと、どやされちまう」
狼藉者改め功労者はそう言う事ならとありがたくとウエストポーチに収める、束の間であったが脱いでいたパーカに再び袖を通し子供と二人外に出た。