第73話

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ここはウエス国の城下町。

フィーネたちは国王に謁見する為に、遥々ウエスの森からこの城下町に来ていた。
立派な宿屋(貸切)に驚いたり、豪華な食事に舌鼓をうったり、城下町の観光を楽しんでいた。
「本当に綺麗で大きな町だね!たーのしー!」
リリィは、無邪気にはしゃいでいる。
「目が回りそうなくらい華やかだね」
オルガがキョロキョロと視線を泳がせて感心している。
......内心、ここでフィーネさんとデートしたいと思っているのは、みんなには内緒だ......
「皆んな、迷子にはならないでね。」
フィーネが全員に釘を刺す。
「たまには人間の世界も良いですわね。」
アイリスがふわふわと飛びながら言う。
そうこうしているうちに宿屋に着いた。
翌日の国王との謁見に備えて、早めにそれぞれの部屋で休むことにした。

「なかなか良い部屋ね。」
フィーネはベッドに腰を下ろして一息ついた。

トントン。
ドアをノックする音がする。

「どうぞ。」
フィーネが言うと、ゆっくりとドアが空き、リリィが入って来た。
「フィーネ、ちょっとだけ良い?」
「どうしたの?リリィ?」
いつになくリリィが深刻な表情をしていることに、フィーネは気づいた。

「私、ちゃんと出来るかな?皆んなの力になれるかな?」
リリィの声が震えている。
息をつく間もなく様々なことが一気に押し寄せて来て、急に不安に襲われたのだろう。まだ、幼いリリィにとっては抱えきれないほどのプレッシャーだ。
「リリィ、大丈夫。私や皆んながいる。あなたは一人じゃない。」
「私、皆んなの足を引っ張るんじゃないか?って不安で仕方ないの......」
リリィの目には涙が浮かんでいた。
フィーネは、リリィの頭をポンポンと叩いて抱き寄せた。
「リリィ。今は思いっきり泣いて良いよ。あなたは頑張ってる。泣いても良い。」
フィーネがそう言うと、リリィの目から止めどなく涙が溢れて来た。
「ありがとう。フィーネ......」
リリィは耐えきれず嗚咽しだした。
「う、うわーん!」
フィーネは、リリィの頭を撫でて抱き寄せた。
「よく、今まで泣かないで我慢したね。えらいよ、リリィ。」

こうして夜は更けていった。



翌朝。

キッチンでは、フィーネが魔法で朝食を作っている。
食材は豊富に用意されていた。
今日の朝食は、スクランブルエッグとハム、トーストに野菜サラダ。そして、紅茶だ。
アイリスを筆頭に皆、次々と集まって来る。
「いよいよだな。緊張するぜ。」
ゴブローは、そう言いながら朝食をペロリとたいらげる。
「とても緊張しているようには見えないけど?」
スザクが笑いながら言う。
「王様ってどんな奴なんだろうな!強いのかな?」
ハクが無邪気にトーストを頬張りながら言う。
「ハクは、大人しくしてた方が良いな。」
イブが冷静に嗜める。

リリィは、まだ浮かない顔をしていた。
「リリィ、大丈夫。皆んながいる。」
フィーネがリリィの耳元で囁く。
リリィに笑顔が戻った。

朝食が終わって、食後の紅茶を楽しんでいる時、案内役のジュリアンがやって来た。

「皆様、お時間でございます。ウエス城にご案内します。」
ジュリアンが仰々しく言う。
「いよいよね」
ホウオウがつぶやいた。

宿屋の前には馬車が横付けされている。
フィーネたちは馬車に乗り込んだ。

御者が鞭を入れると、ゆっくりと馬車が動き出す。
リリィたちは車窓から流れていく街並みを見ていた。華やかな街並み。ここに暮らす人々は、この世界を覆い尽くそうとしている暗雲にまだ気づいていない。
馬車は城の玄関の前で止まった。

ジュリアンが先導する。
「では、王の間にご案内します。」

「緊張して来たな。」
オルガが、ゴブローに言う。
「小便したくなってきた。」
ゴブローの顔色が心なしか悪い。

大きなエントランスを過ぎ、広い廊下を歩いていく。真っ赤な絨毯が敷き詰められ、壁際には無数の彫像が並んでいる。その奥に巨大な両開きの扉があった。

ジュリアンが扉の前に立ち止まり、
「エルフ•フィーネ様とそのご一行が参りました。」
と高らかに宣言する。

巨大な扉が仰々しい音を立てながら開いた。

ジュリアンに促されて、フィーネたちは王の間の中に入って行く。
目の前には玉座があって、国王が座っている。

国王の目の前でフィーネたちは立ち止まり、深くお辞儀をした。

ウエス国王は、若いが威厳のある威風堂々とした人物だった。その高貴さが空気から伝わって来る。

「フィーネ殿、そして、そのご一行の皆様。突然呼び出してしまい申し訳ない。私が、ウエス国国王だ。」
国王は声にも威厳が溢れている。

「陛下。お初にお目にかかります。ウエスの森のエルフ•フィーネでございます。横に居るのは、私の家族です。」
フィーネが堂々と話す。

「家族か。家族は大事にしないとな。」
国王はうなづいて言った。
そして、話を続ける。
「今日、フィーネ殿を呼び出した理由は、他でもない私の家族を救って欲しいのだ。」

「家族を救う?」
フィーネが言う。

「実は、私の娘エリーゼが誘拐されたのだ。犯人はわからぬ。ただ、エリーゼの部屋にこれが落ちていた。」
王が言うと、従者が何かをフィーネの目の前に持って来た。

薄汚れた白い布切れに紋章が書かれている。それは、2体の悪魔が向き合っている絵だった。

「こ、これは魔神教......?!」
見覚えのある紋章にフィーネは驚いた。

「フィーネ殿、どうかエリーゼを探し出して助けて欲しい。」
国王はフィーネに懇願した。

「わかりました。国王陛下。エリーゼ王女は必ず私たちがお助けします。」

「ありがとう。フィーネ殿。よろしく頼んだぞ。」
国王はフィーネに頭を下げた。

こうして、ウエス国王との謁見は終わった。





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ここはウエス国の城下町。
フィーネたちは国王に謁見する為に、遥々ウエスの森からこの城下町に来ていた。
立派な宿屋(貸切)に驚いたり、豪華な食事に舌鼓をうったり、城下町の観光を楽しんでいた。
「本当に綺麗で大きな町だね!たーのしー!」
リリィは、無邪気にはしゃいでいる。
「目が回りそうなくらい華やかだね」
オルガがキョロキョロと視線を泳がせて感心している。
......内心、ここでフィーネさんとデートしたいと思っているのは、みんなには内緒だ......
「皆んな、迷子にはならないでね。」
フィーネが全員に釘を刺す。
「たまには人間の世界も良いですわね。」
アイリスがふわふわと飛びながら言う。
そうこうしているうちに宿屋に着いた。
翌日の国王との謁見に備えて、早めにそれぞれの部屋で休むことにした。
「なかなか良い部屋ね。」
フィーネはベッドに腰を下ろして一息ついた。
トントン。
ドアをノックする音がする。
「どうぞ。」
フィーネが言うと、ゆっくりとドアが空き、リリィが入って来た。
「フィーネ、ちょっとだけ良い?」
「どうしたの?リリィ?」
いつになくリリィが深刻な表情をしていることに、フィーネは気づいた。
「私、ちゃんと出来るかな?皆んなの力になれるかな?」
リリィの声が震えている。
息をつく間もなく様々なことが一気に押し寄せて来て、急に不安に襲われたのだろう。まだ、幼いリリィにとっては抱えきれないほどのプレッシャーだ。
「リリィ、大丈夫。私や皆んながいる。あなたは一人じゃない。」
「私、皆んなの足を引っ張るんじゃないか?って不安で仕方ないの......」
リリィの目には涙が浮かんでいた。
フィーネは、リリィの頭をポンポンと叩いて抱き寄せた。
「リリィ。今は思いっきり泣いて良いよ。あなたは頑張ってる。泣いても良い。」
フィーネがそう言うと、リリィの目から止めどなく涙が溢れて来た。
「ありがとう。フィーネ......」
リリィは耐えきれず嗚咽しだした。
「う、うわーん!」
フィーネは、リリィの頭を撫でて抱き寄せた。
「よく、今まで泣かないで我慢したね。えらいよ、リリィ。」
こうして夜は更けていった。
翌朝。
キッチンでは、フィーネが魔法で朝食を作っている。
食材は豊富に用意されていた。
今日の朝食は、スクランブルエッグとハム、トーストに野菜サラダ。そして、紅茶だ。
アイリスを筆頭に皆、次々と集まって来る。
「いよいよだな。緊張するぜ。」
ゴブローは、そう言いながら朝食をペロリとたいらげる。
「とても緊張しているようには見えないけど?」
スザクが笑いながら言う。
「王様ってどんな奴なんだろうな!強いのかな?」
ハクが無邪気にトーストを頬張りながら言う。
「ハクは、大人しくしてた方が良いな。」
イブが冷静に嗜める。
リリィは、まだ浮かない顔をしていた。
「リリィ、大丈夫。皆んながいる。」
フィーネがリリィの耳元で囁く。
リリィに笑顔が戻った。
朝食が終わって、食後の紅茶を楽しんでいる時、案内役のジュリアンがやって来た。
「皆様、お時間でございます。ウエス城にご案内します。」
ジュリアンが仰々しく言う。
「いよいよね」
ホウオウがつぶやいた。
宿屋の前には馬車が横付けされている。
フィーネたちは馬車に乗り込んだ。
御者が鞭を入れると、ゆっくりと馬車が動き出す。
リリィたちは車窓から流れていく街並みを見ていた。華やかな街並み。ここに暮らす人々は、この世界を覆い尽くそうとしている暗雲にまだ気づいていない。
馬車は城の玄関の前で止まった。
ジュリアンが先導する。
「では、王の間にご案内します。」
「緊張して来たな。」
オルガが、ゴブローに言う。
「小便したくなってきた。」
ゴブローの顔色が心なしか悪い。
大きなエントランスを過ぎ、広い廊下を歩いていく。真っ赤な絨毯が敷き詰められ、壁際には無数の彫像が並んでいる。その奥に巨大な両開きの扉があった。
ジュリアンが扉の前に立ち止まり、
「エルフ•フィーネ様とそのご一行が参りました。」
と高らかに宣言する。
巨大な扉が仰々しい音を立てながら開いた。
ジュリアンに促されて、フィーネたちは王の間の中に入って行く。
目の前には玉座があって、国王が座っている。
国王の目の前でフィーネたちは立ち止まり、深くお辞儀をした。
ウエス国王は、若いが威厳のある威風堂々とした人物だった。その高貴さが空気から伝わって来る。
「フィーネ殿、そして、そのご一行の皆様。突然呼び出してしまい申し訳ない。私が、ウエス国国王だ。」
国王は声にも威厳が溢れている。
「陛下。お初にお目にかかります。ウエスの森のエルフ•フィーネでございます。横に居るのは、私の家族です。」
フィーネが堂々と話す。
「家族か。家族は大事にしないとな。」
国王はうなづいて言った。
そして、話を続ける。
「今日、フィーネ殿を呼び出した理由は、他でもない私の家族を救って欲しいのだ。」
「家族を救う?」
フィーネが言う。
「実は、私の娘エリーゼが誘拐されたのだ。犯人はわからぬ。ただ、エリーゼの部屋にこれが落ちていた。」
王が言うと、従者が何かをフィーネの目の前に持って来た。
薄汚れた白い布切れに紋章が書かれている。それは、2体の悪魔が向き合っている絵だった。
「こ、これは魔神教......?!」
見覚えのある紋章にフィーネは驚いた。
「フィーネ殿、どうかエリーゼを探し出して助けて欲しい。」
国王はフィーネに懇願した。
「わかりました。国王陛下。エリーゼ王女は必ず私たちがお助けします。」
「ありがとう。フィーネ殿。よろしく頼んだぞ。」
国王はフィーネに頭を下げた。
こうして、ウエス国王との謁見は終わった。