第72話

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ここはウエス国の森の中。

妖精神アイリスの歓迎会で夜更けまで盛り上がっていたフィーネたちは、まだ夢の中にいた。陽は空の真上にまで達しようとしている。

森の奥から複数の蹄の音と車輪の軋む音が微かに聞こえる。
フィーネの長い耳がピクリと動いた。

無数の蹄の音は次第に近づいて来る。
イブやハクたちも異変に気づいて体を起こす。

パカパカパカ...

馬が引く馬車が丸太小屋の前で停まった。
騎手の正装を纏った男たち。

フィーネたちは皆目を覚まして、異変に備えた。
「一体、何事?」
フィーネがつぶやく。

馬車から降りてきた男が目の前に紙を広げると。一つ咳払いをした。
そして、紙に書かれた文字を読み上げる。
いつの間にか、丸太小屋の全員がフィーネの所に集まっていた。

「ウエスの森の賢者、エルフのフィーネ殿に、ウエス国、国王陛下のお言葉を伝える。」
従者は続ける。
「ウエス国王女エリーゼ様が、何者かに誘拐された。捜索をしているが手掛かりは無い。そこで、ウエスの森に住む賢者、エルフのフィーネ殿の力をお借りしたい。王女が無事に帰ってきた際には、報酬を与える。」
フィーネたちは黙って聞いている。
「詳しい話は、直接話すので、ウエス城まで御足労願いたい。なるべく早く。コレはウエス国国王陛下の頼みである。」
従者は紙を元に戻し、しまった。

しばらくの沈黙の後、フィーネが重い口を開いた。
「畏まりました。エルフ・フィーネ。支度を整え、ウエス城に参ります。国王陛下にお伝えください。」
従者はフィーネにお辞儀をして、
「ありがとうございます。フィーネ殿。よろしくお願いします。」
そう言うと、馬車に乗り帰って行った。

「また、面倒くさいことに巻き込まれたわね。国王陛下の頼みじゃ断れないし...」
フィーネは、溜息をついた。

「大変なことになりましたね。」
アイリスが言う。
「お姫様を助けるのね!冒険!冒険!」
リリィは、大冒険の予感に目を輝かしている。
「コレは大変だぞ。」
ゴブローとオルガは腕組みしている。
「もしかしたら、魔神教が関係してるかも知れないわね。」
スザクとホウオウは一抹の不安を抱いていた。

その夜。
フィーネたちは、ウエス国王の依頼について話し合い。依頼を受けることにした。

モックとドンキーは森を離れられないので留守番。
フィーネ、リリィ、イブ、スザク、ホウオウ、オルガ、ゴブロー、ハク、アイリスの9人でウエス城に向かう。
翌朝、オルガが用意した馬車に乗って、ウエス城に向かった。

ウエスの森は、国土の南側、ウエス城は国土の北の端に位置する。
数週間の長旅だ。

「フィーネさん、ちょっと気になることがあるんだ。」
オルガが言う。
「何?気になることって。」
「僕の町の鉱山の奥に、最近、魔物が棲みついたらしい。それで鉱山が閉鎖されてるんだ。」
「鉱山に魔物......」
フィーネは嫌な予感がした。
「鉱山の魔物と今回の王女誘拐......何か関係があるんじゃないかな?」
オルガの目は真剣だ。
「調べる価値はありそうね。」
フィーネが言う。話を聞いていたホウオウとスザクもうなづく。

馬車はウエス城に近づいた。
巨大な城壁が姿を現す。城門の左右には強面の衛兵が立っている。
「国王陛下の命を受けて参りました。ウエスの森に住むエルフのフィーネとその家族でございます。」
衛兵は、お辞儀をして門を開けた。
門が開くとそこには城下町が広がっていた。

「うわーっ!大きな町!」
リリィが目を輝かせている。
「流石城下町だな。」
ゴブローが周りを見回して感嘆の声を上げる。
「まずは、今日の宿を探そう。」
オルガが言った。すると、王宮の兵士らしい男が話しかけてきた。
「フィーネ様と、そのご一行様ですね。私はお世話係のジュリアンです。宿屋までご案内します。」
ジュリアンに着いていくと、町の中心の大きな宿屋に案内された。
「こちらがお宿でございます。貸切にしてありますので、ご自由にお使いください。」
「貸切!流石王様。」
スザクとホウオウが驚く。
「わたくしの部屋もありますわ!」
アイリスも嬉しそうだ。
入り口には、大きな暖炉があって、寛げるようになっている。
「皆んな。取り敢えず、紅茶を飲んで休まない?」
フィーネが言うと、皆、頷いて椅子に座った。
フィーネが魔法で紅茶を淹れる。
一口紅茶を飲むと、体の疲れが癒えていく。
「ここの紅茶はイチゴの香りがして美味しいわね。」
フィーネの口にもあったようだ。

案内係のジュリアンが紅茶を一口啜って、話し出した。

「お食事は、店を予約してございます。お風呂は、宿屋の中に温泉がありますので、是非お楽しみください。」

「おいら、腹減ったぞ!」
「私も!」
ハクとリリィは、もうお腹ぺこぺこだ。

「では、お食事にご案内します。」
ジュリアンが促すとフィーネを先頭についていく。
「こちらでございます。」
大きな店だ。看板には、"ウエスの森"と書いてある。
「ウエス国の郷土料理の店です。どうぞお入りください。」
フィーネたちが店に入ると、たくさんの客で賑わっていた。様々な種族が舌鼓を打っている。

フィーネたちも豪華な食事を楽しんだ。

翌日、いよいよ国王との謁見である。





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ここはウエス国の森の中。
妖精神アイリスの歓迎会で夜更けまで盛り上がっていたフィーネたちは、まだ夢の中にいた。陽は空の真上にまで達しようとしている。
森の奥から複数の蹄の音と車輪の軋む音が微かに聞こえる。
フィーネの長い耳がピクリと動いた。
無数の蹄の音は次第に近づいて来る。
イブやハクたちも異変に気づいて体を起こす。
パカパカパカ...
馬が引く馬車が丸太小屋の前で停まった。
騎手の正装を纏った男たち。
フィーネたちは皆目を覚まして、異変に備えた。
「一体、何事?」
フィーネがつぶやく。
馬車から降りてきた男が目の前に紙を広げると。一つ咳払いをした。
そして、紙に書かれた文字を読み上げる。
いつの間にか、丸太小屋の全員がフィーネの所に集まっていた。
「ウエスの森の賢者、エルフのフィーネ殿に、ウエス国、国王陛下のお言葉を伝える。」
従者は続ける。
「ウエス国王女エリーゼ様が、何者かに誘拐された。捜索をしているが手掛かりは無い。そこで、ウエスの森に住む賢者、エルフのフィーネ殿の力をお借りしたい。王女が無事に帰ってきた際には、報酬を与える。」
フィーネたちは黙って聞いている。
「詳しい話は、直接話すので、ウエス城まで御足労願いたい。なるべく早く。コレはウエス国国王陛下の頼みである。」
従者は紙を元に戻し、しまった。
しばらくの沈黙の後、フィーネが重い口を開いた。
「畏まりました。エルフ・フィーネ。支度を整え、ウエス城に参ります。国王陛下にお伝えください。」
従者はフィーネにお辞儀をして、
「ありがとうございます。フィーネ殿。よろしくお願いします。」
そう言うと、馬車に乗り帰って行った。
「また、面倒くさいことに巻き込まれたわね。国王陛下の頼みじゃ断れないし...」
フィーネは、溜息をついた。
「大変なことになりましたね。」
アイリスが言う。
「お姫様を助けるのね!冒険!冒険!」
リリィは、大冒険の予感に目を輝かしている。
「コレは大変だぞ。」
ゴブローとオルガは腕組みしている。
「もしかしたら、魔神教が関係してるかも知れないわね。」
スザクとホウオウは一抹の不安を抱いていた。
その夜。
フィーネたちは、ウエス国王の依頼について話し合い。依頼を受けることにした。
モックとドンキーは森を離れられないので留守番。
フィーネ、リリィ、イブ、スザク、ホウオウ、オルガ、ゴブロー、ハク、アイリスの9人でウエス城に向かう。
翌朝、オルガが用意した馬車に乗って、ウエス城に向かった。
ウエスの森は、国土の南側、ウエス城は国土の北の端に位置する。
数週間の長旅だ。
「フィーネさん、ちょっと気になることがあるんだ。」
オルガが言う。
「何?気になることって。」
「僕の町の鉱山の奥に、最近、魔物が棲みついたらしい。それで鉱山が閉鎖されてるんだ。」
「鉱山に魔物......」
フィーネは嫌な予感がした。
「鉱山の魔物と今回の王女誘拐......何か関係があるんじゃないかな?」
オルガの目は真剣だ。
「調べる価値はありそうね。」
フィーネが言う。話を聞いていたホウオウとスザクもうなづく。
馬車はウエス城に近づいた。
巨大な城壁が姿を現す。城門の左右には強面の衛兵が立っている。
「国王陛下の命を受けて参りました。ウエスの森に住むエルフのフィーネとその家族でございます。」
衛兵は、お辞儀をして門を開けた。
門が開くとそこには城下町が広がっていた。
「うわーっ!大きな町!」
リリィが目を輝かせている。
「流石城下町だな。」
ゴブローが周りを見回して感嘆の声を上げる。
「まずは、今日の宿を探そう。」
オルガが言った。すると、王宮の兵士らしい男が話しかけてきた。
「フィーネ様と、そのご一行様ですね。私はお世話係のジュリアンです。宿屋までご案内します。」
ジュリアンに着いていくと、町の中心の大きな宿屋に案内された。
「こちらがお宿でございます。貸切にしてありますので、ご自由にお使いください。」
「貸切!流石王様。」
スザクとホウオウが驚く。
「わたくしの部屋もありますわ!」
アイリスも嬉しそうだ。
入り口には、大きな暖炉があって、寛げるようになっている。
「皆んな。取り敢えず、紅茶を飲んで休まない?」
フィーネが言うと、皆、頷いて椅子に座った。
フィーネが魔法で紅茶を淹れる。
一口紅茶を飲むと、体の疲れが癒えていく。
「ここの紅茶はイチゴの香りがして美味しいわね。」
フィーネの口にもあったようだ。
案内係のジュリアンが紅茶を一口啜って、話し出した。
「お食事は、店を予約してございます。お風呂は、宿屋の中に温泉がありますので、是非お楽しみください。」
「おいら、腹減ったぞ!」
「私も!」
ハクとリリィは、もうお腹ぺこぺこだ。
「では、お食事にご案内します。」
ジュリアンが促すとフィーネを先頭についていく。
「こちらでございます。」
大きな店だ。看板には、"ウエスの森"と書いてある。
「ウエス国の郷土料理の店です。どうぞお入りください。」
フィーネたちが店に入ると、たくさんの客で賑わっていた。様々な種族が舌鼓を打っている。
フィーネたちも豪華な食事を楽しんだ。
翌日、いよいよ国王との謁見である。