第64話
ー/ー PARCOの三階にあるコーヒーショップに入ると、僕たちはカウンター席に通された。
心美はラテにマフィンを注文したのに対して、僕はホットコーヒーを注文した。先程までe-Sportsカフェで美味しい昼食に舌鼓を打ちながらゲームをしていたからね。
「どうしたの、泰久君。今日はあまり注文しないの?」
「いや、実はね……、さっきまで同じ部の人と一緒になってお昼を食べていたから」
「ふーん。泰久君、変わったのね」
「ん? どうして変わったってわかるの?」
「だって、泰久君が私以外の人と仲良くするなんて今までなかったから」
「あ……。確かに、そうかもしれないね」
心美の言う通りだ。
仙台の中学校に転入した頃から、部活の時以外は心美と一緒に居ることが多かった。
仙台に来たばかりの時の僕は自己肯定感が乏しく、教室内で独りぼっちで居ることが多かった。
そんな僕に真っ先に声を掛けたのは、何を隠そう心美だった。
彼女は才色兼備で、優しくて誰にでも気さくに接していた。
僕は彼女に山形でいじめに遭ったことを話すと、僕のことを分かってくれた。
中学校の頃は良く一緒に中心部まで行った。
それと、たまに図書館に行って一緒に本を読んだりもした。
心美と一緒に居るだけで、僕は幸せな気持ちになった。
しかし、中三の夏に「別々の高校に通う」と彼女から告白されたときにはショックを受けた。
しかも、彼女が通いたかったのは甲子園の常連校である仙台名育学園高校だ。
それでも、僕は彼女のことを諦めきれなかった。
卒業式の日に「高校が変わっても、一緒に居てくれますか?」と彼女に告白すると、彼女は「いいよ」と答えてくれた。
それから連絡が途絶えるようになって、あの日に繋がるわけだけど……。
この機会だから、あの……チャラい男のことについて訊いてみるか。
「……ねえ」
僕は勇気を振り絞って、心美に尋ねた。
「心美、あの……二ヶ月前にデートしようと思ったじゃない。その時にどうして遅れるって伝えてくれなかったんだ?」
心美は僕の問いかけに耳を傾けると、少しだけ考えてから、重い口を開いた。
「実は……、その時から同じ学校の先輩と付き合っていたの……。先輩、私がチア部に居て、他校に通っている友達が居て、その子のために一生懸命練習しているって話したら……」
「……」
「『そんな奴のことを応援するくらいなら、俺のことを応援してくれよ』って迫ってきたの」
「……本当か?」
「うん。それで、男子サッカー部のロッカールームに連行されて、そのまま……」
「……しちゃったの……?」
「うん……」
ふと僕の脳裏に、あの日のことがプレイバックする。
チャラ男と手を繋いだ心美の事を。
そして、僕に対して文句をぶちまけたチャラ男のことを。
「それで、私は先輩のセフレにされて……。夏休みには先輩の部屋で他の女の子達やサッカー部の先輩達と夜通し遊んだよ。流石に両親には怒られたけど……」
心美は僕の事を知ってか知らずか、その先輩との話を続ける。
……わかっていた。わかっていたさ。
あの日、あのチャラ男に馬鹿にされたときから、わかっていたんだ。
心美は僕のことを一部始終アイツに伝えたんだ。
そして、心美の気持ちを利用して、自分の都合のいいように作り変えていたんだ。
アイツ、許せない……!
僕は握り拳を固めながらも、心美の話をひたすら聞き続けた。
「それでね、先輩の姿を見ないと思って男子サッカーの一年生に聞いたら……、市議会議員の娘さんに手を出した上に、そのことが先輩の父親にバレたらしいの。先輩は学校を退学になり、勘当されて……」
「……」
僕の気持ちを知ってか知らずか、心美は僕に向かって話を続けようとしている。
学校側の決断を聞いて一瞬ホッとしたものの、僕はそれでも心美のことが信用できなかった。
もしかして、僕に対して復縁を迫って来るんじゃないだろうか?
僕は身構えながらも、次に何を言うのか待ち構えていた。
「それでね、今更何を言うんだと思うかもしれないけど、私と……やり直さない? 今だったら……」
予想していた通りだ。
あの先輩に遊ばれた挙句、退学した途端に復縁しろって? 何を言っているんだ!
僕を先輩の代わりにしようというのか?
ふざけるな! そんなの、僕は絶対に許さない!
「心美!」
「……どうしたの?」
「悪いけど、君とやり直すつもりはない」
もうこれ以上、心美の話を聞くつもりはない。
僕はコーヒーを飲む手を止め、立ち上がった。
「どうして! 私、ずっと泰久の事を思っていたんだよ? 先輩に抱かれながらも……」
「……先輩に抱かれながらも? 嘘つけ! 先輩に体を……」
僕が大声を出そうとした瞬間、店員さんが「他のお客様のご迷惑になりますので……」と僕らを止めに入った。
「分かりました」
僕は店員に促されるままに会計を済ませて、店を出た。
僕達は無言のまま、PARCOの外にあるペデストリアンデッキに向かい、空いているベンチに腰掛ける。
「心美……、さっきの話だけど……」
僕はまた心美に声を掛けた。
「うん、何?」
心美は僕の呼びかけに応じるなり、僕の顔を見る。
なんで心美があんな奴に……、否、あんな奴らに……。
僕の憤怒の情は限界に達していた。
その次の刹那、僕は心美に向かって怒りを込めた言葉を放った。
「悪いけど、僕はもう君と関わり合いたくない」
「どうして?」
「……それは……」
僕は言葉に詰まった。
確かに、僕は心美のことが好きだ。
だけど、今は違う。
何故なら、……同じ学校に好きな人が居るからだ。
ただ、ありのままの全てを話すよりは、ぼかして離したほうが良いだろう。
「先輩に体を許した時点で、心美はもう、僕の心から離れたんだ」
「そんな! 泰久、考え直してよ」
心美は僕を止めようとする。
だけど、もう僕自身は止まらない。
「さようなら」
「そんな……! やすひ……」
「心美、今までありがとう」
僕は彼女にそう告げると、ペデストリアンデッキをひたすら駆け抜けた。
背中から心美の「待ってよ」という声が聞こえたが、僕は後ろを振り返らなかった。
僕は走った。
遮二無二走った。
彼女の事を忘れるかのように走った。
気がついたら、僕は地下鉄南北線の仙台駅北七番出口から地下鉄の構内に入った。
長町南駅までの切符を買うと、僕は次の電車に飛び乗った。
電車の中で、僕は心美との思い出を振り返った。
課外活動の時に僕と一緒の班となって、色々と手伝ってくれた時のことを。
運動会の時に応援団に立候補して、新体操で鍛えた腕を活かしてチアダンスを披露したことを。
修学旅行の時に行ったダズニーリゾートでジェットコースターに乗ったことを。
ジェットコースターに乗った後で、あまりもの高さに泣きついた時のことを……。
「……もう、あの頃には戻れないな……」
思い出を振り返ると、あっという間に最寄りの駅に辿りついた。
そこから僕は何かに追われるように、自分が住んでいるマンションの方向に向かって走り続けた。
マンションの前に辿りつくと、僕は最後の力を振り絞って階段を駆け上がった。
自宅前に辿りついた時には、もう冬に入ったというのに顔だけでなく、体中が汗まみれになっていた。
インターホンを押すと、そこから父さんの声が聞こえてきた。
『泰久、息を切らしてどうしたんだ?』
インターホン越しに聞こえる父さんの声は、まるで鳩が豆鉄砲を食ったような声をしていた。
「ただいま。玄関空けてよ、父さん……」
『分かった。今開けるから』
その刹那、ロックが解かれた音が聞こえた。
僕はその音に導かれるように玄関を開け、すぐに自分の部屋に向かった。
汗まみれのTシャツとコットンシャツ、トランクスを脱ぐと、すぐさま僕は下着などを洗濯したばかりのものに着替えた。
一息ついてから僕はベッドに横たわり、転校してからの日々のことを思い出した。
心美はいじめがあったことが原因で自己否定意識が強かった僕のことを受け入れ、僕のことを支えてくれた。
だから、僕は心美のことを好きになった。
そして卒業式の日に告白をした。
僕はお互い別々の学校になったとしてもこれまで通り付き合えると思っていた。
しかし、現実はそうはいかなかった。
心美は……、あの日僕に対して悪口を言ったヤツに言葉巧みに言い寄られ、そのまま付き合った。しかも、貞操まで捨てて!
僕だってわかっていた。
あの日、心美は僕のことを無視した。
そうなったのは、心美があいつの言いなりになっていたからだ。
今日のことではっきり分かったよ。
「……朋恵に会いたい……」
僕は体を起こして、鞄の中からスマホを取り出した。
夏希姉に相談するということもできるけど、ここは同じ学校の朋恵の方がいいだろう。
今はただ、朋恵と話がしたい。
(ヤス)>「朋恵、これから二人っきりで話したいことがあるんだけど、良いか?」
朋恵宛にメッセージを入れると、すぐに既読がついて即座に「うん、良いよ。アタシの家にする? それとも、ヤスの家にする?」との返信が届いた。
(ヤス)>「僕の家に来てくれる? 出歩くのが億劫で……」
(朋恵)>「わかった。とりま今すぐそっちに向かうから」
良かった……! 朋恵がすぐ僕のマンションに来るなんて。
こういうところを夏希姉に見られたら、また何を言われるか分からない。
だけど、この際どうなろうが僕には関係ない。
朋恵には、僕の気持ちを伝えよう。
涙に染まったこの僕を慰めてくれる人は、朋恵以外、誰も居ない――!
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
PARCOの三階にあるコーヒーショップに入ると、僕たちはカウンター席に通された。
心美はラテにマフィンを注文したのに対して、僕はホットコーヒーを注文した。先程までe-Sportsカフェで美味しい昼食に舌鼓を打ちながらゲームをしていたからね。
「どうしたの、泰久君。今日はあまり注文しないの?」
「いや、実はね……、さっきまで同じ部の人と一緒になってお昼を食べていたから」
「ふーん。泰久君、変わったのね」
「ん? どうして変わったってわかるの?」
「だって、泰久君が私以外の人と仲良くするなんて今までなかったから」
「あ……。確かに、そうかもしれないね」
心美の言う通りだ。
仙台の中学校に転入した頃から、部活の時以外は心美と一緒に居ることが多かった。
仙台に来たばかりの時の僕は自己肯定感が乏しく、教室内で独りぼっちで居ることが多かった。
そんな僕に真っ先に声を掛けたのは、何を隠そう心美だった。
彼女は才色兼備で、優しくて誰にでも気さくに接していた。
僕は彼女に山形でいじめに遭ったことを話すと、僕のことを分かってくれた。
中学校の頃は良く一緒に中心部まで行った。
それと、たまに図書館に行って一緒に本を読んだりもした。
心美と一緒に居るだけで、僕は幸せな気持ちになった。
しかし、中三の夏に「別々の高校に通う」と彼女から告白されたときにはショックを受けた。
しかも、彼女が通いたかったのは甲子園の常連校である仙台名育学園高校だ。
それでも、僕は彼女のことを諦めきれなかった。
卒業式の日に「高校が変わっても、一緒に居てくれますか?」と彼女に告白すると、彼女は「いいよ」と答えてくれた。
それから連絡が途絶えるようになって、あの日に繋がるわけだけど……。
この機会だから、あの……チャラい男のことについて訊いてみるか。
「……ねえ」
僕は勇気を振り絞って、心美に尋ねた。
「心美、あの……二ヶ月前にデートしようと思ったじゃない。その時にどうして遅れるって伝えてくれなかったんだ?」
心美は僕の問いかけに耳を傾けると、少しだけ考えてから、重い口を開いた。
「実は……、その時から同じ学校の先輩と付き合っていたの……。先輩、私がチア部に居て、他校に通っている友達が居て、その子のために一生懸命練習しているって話したら……」
「……」
「『そんな奴のことを応援するくらいなら、俺のことを応援してくれよ』って迫ってきたの」
「……本当か?」
「うん。それで、男子サッカー部のロッカールームに連行されて、そのまま……」
「……しちゃったの……?」
「うん……」
ふと僕の脳裏に、あの日のことがプレイバックする。
チャラ男と手を繋いだ心美の事を。
そして、僕に対して文句をぶちまけたチャラ男のことを。
「それで、私は先輩のセフレにされて……。夏休みには先輩の部屋で他の女の子達やサッカー部の先輩達と夜通し《《遊んだ》》よ。流石に両親には怒られたけど……」
心美は僕の事を知ってか知らずか、その先輩との話を続ける。
……わかっていた。わかっていたさ。
あの日、あのチャラ男に馬鹿にされたときから、わかっていたんだ。
心美は僕のことを一部始終アイツに伝えたんだ。
そして、心美の気持ちを利用して、自分の都合のいいように作り変えていたんだ。
アイツ、許せない……!
僕は握り拳を固めながらも、心美の話をひたすら聞き続けた。
「それでね、先輩の姿を見ないと思って男子サッカーの一年生に聞いたら……、市議会議員の娘さんに手を出した上に、そのことが先輩の父親にバレたらしいの。先輩は学校を退学になり、勘当されて……」
「……」
僕の気持ちを知ってか知らずか、心美は僕に向かって話を続けようとしている。
学校側の決断を聞いて一瞬ホッとしたものの、僕はそれでも心美のことが信用できなかった。
もしかして、僕に対して復縁を迫って来るんじゃないだろうか?
僕は身構えながらも、次に何を言うのか待ち構えていた。
「それでね、今更何を言うんだと思うかもしれないけど、私と……やり直さない? 今だったら……」
予想していた通りだ。
あの先輩に遊ばれた挙句、退学した途端に復縁しろって? 何を言っているんだ!
僕を先輩の代わりにしようというのか?
ふざけるな! そんなの、僕は絶対に許さない!
「心美!」
「……どうしたの?」
「悪いけど、君とやり直すつもりはない」
もうこれ以上、心美の話を聞くつもりはない。
僕はコーヒーを飲む手を止め、立ち上がった。
「どうして! 私、ずっと泰久の事を思っていたんだよ? 先輩に抱かれながらも……」
「……先輩に抱かれながらも? 嘘つけ! 先輩に体を……」
僕が大声を出そうとした瞬間、店員さんが「他のお客様のご迷惑になりますので……」と僕らを止めに入った。
「分かりました」
僕は店員に促されるままに会計を済ませて、店を出た。
僕達は無言のまま、PARCOの外にあるペデストリアンデッキに向かい、空いているベンチに腰掛ける。
「心美……、さっきの話だけど……」
僕はまた心美に声を掛けた。
「うん、何?」
心美は僕の呼びかけに応じるなり、僕の顔を見る。
なんで心美があんな奴に……、否、あんな奴らに……。
僕の憤怒の情は限界に達していた。
その次の刹那、僕は心美に向かって怒りを込めた言葉を放った。
「悪いけど、僕はもう君と関わり合いたくない」
「どうして?」
「……それは……」
僕は言葉に詰まった。
確かに、僕は心美のことが好きだ。
だけど、今は違う。
何故なら、……同じ学校に好きな人が居るからだ。
ただ、ありのままの全てを話すよりは、ぼかして離したほうが良いだろう。
「先輩に体を許した時点で、心美はもう、僕の心から離れたんだ」
「そんな! 泰久、考え直してよ」
心美は僕を止めようとする。
だけど、もう僕自身は止まらない。
「さようなら」
「そんな……! やすひ……」
「心美、今までありがとう」
僕は彼女にそう告げると、ペデストリアンデッキをひたすら駆け抜けた。
背中から心美の「待ってよ」という声が聞こえたが、僕は後ろを振り返らなかった。
僕は走った。
遮二無二走った。
彼女の事を忘れるかのように走った。
気がついたら、僕は地下鉄南北線の仙台駅北七番出口から地下鉄の構内に入った。
長町南駅までの切符を買うと、僕は次の電車に飛び乗った。
電車の中で、僕は心美との思い出を振り返った。
課外活動の時に僕と一緒の班となって、色々と手伝ってくれた時のことを。
運動会の時に応援団に立候補して、新体操で鍛えた腕を活かしてチアダンスを披露したことを。
修学旅行の時に行ったダズニーリゾートでジェットコースターに乗ったことを。
ジェットコースターに乗った後で、あまりもの高さに泣きついた時のことを……。
「……もう、あの頃には戻れないな……」
思い出を振り返ると、あっという間に最寄りの駅に辿りついた。
そこから僕は何かに追われるように、自分が住んでいるマンションの方向に向かって走り続けた。
マンションの前に辿りつくと、僕は最後の力を振り絞って階段を駆け上がった。
自宅前に辿りついた時には、もう冬に入ったというのに顔だけでなく、体中が汗まみれになっていた。
インターホンを押すと、そこから父さんの声が聞こえてきた。
『泰久、息を切らしてどうしたんだ?』
インターホン越しに聞こえる父さんの声は、まるで鳩が豆鉄砲を食ったような声をしていた。
「ただいま。玄関空けてよ、父さん……」
『分かった。今開けるから』
その刹那、ロックが解かれた音が聞こえた。
僕はその音に導かれるように玄関を開け、すぐに自分の部屋に向かった。
汗まみれのTシャツとコットンシャツ、トランクスを脱ぐと、すぐさま僕は下着などを洗濯したばかりのものに着替えた。
一息ついてから僕はベッドに横たわり、転校してからの日々のことを思い出した。
心美はいじめがあったことが原因で自己否定意識が強かった僕のことを受け入れ、僕のことを支えてくれた。
だから、僕は心美のことを好きになった。
そして卒業式の日に告白をした。
僕はお互い別々の学校になったとしてもこれまで通り付き合えると思っていた。
しかし、現実はそうはいかなかった。
心美は……、あの日僕に対して悪口を言ったヤツに言葉巧みに言い寄られ、そのまま付き合った。しかも、貞操まで捨てて!
僕だってわかっていた。
あの日、心美は僕のことを無視した。
そうなったのは、心美があいつの言いなりになっていたからだ。
今日のことではっきり分かったよ。
「……朋恵に会いたい……」
僕は体を起こして、鞄の中からスマホを取り出した。
夏希姉に相談するということもできるけど、ここは同じ学校の朋恵の方がいいだろう。
今はただ、朋恵と話がしたい。
(ヤス)>「朋恵、これから二人っきりで話したいことがあるんだけど、良いか?」
朋恵宛にメッセージを入れると、すぐに既読がついて即座に「うん、良いよ。アタシの家にする? それとも、ヤスの家にする?」との返信が届いた。
(ヤス)>「僕の家に来てくれる? 出歩くのが億劫で……」
(朋恵)>「わかった。とりま今すぐそっちに向かうから」
良かった……! 朋恵がすぐ僕のマンションに来るなんて。
こういうところを夏希姉に見られたら、また何を言われるか分からない。
だけど、この際どうなろうが僕には関係ない。
朋恵には、僕の気持ちを伝えよう。
涙に染まったこの僕を慰めてくれる人は、朋恵以外、誰も居ない――!