第62話

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 12月3日、夜9時――。

朋恵「愛未、やっと仙台に戻って来たってメッセージは見た?」

愛未「見たよ。高田先輩は国分先輩達と一緒の班だったから、色々と楽しめたそうだって」

朋恵「部長は同じクラスの人たちと一緒だったけど、話の輪になかなか話題についていけないって愚痴をこぼしていたよ」

愛未「e-Sports部の国分姉妹とは仲が良さそうだけど、それってどうなのかな」

朋恵「高田先輩の話だと、あの三人は一年生の頃からクラスが一緒だったって言っていたなぁ」

愛未「そうなのか。私達と似ているね」

朋恵「ただ、付き合いはあたし達の方が長いからね」

愛未「それもそうだね」

朋恵「くすっ。話は代わるけど、愛未って好きな人はいるの?」

愛未「私? 私は……、今は居ないな。そういう朋恵はどうなんだい?」

朋恵「あたしは……、今は内緒」

愛未「内緒って、それは無いだろ。昨日一緒に帰った時にちょっとだけ顔を赤らめていたじゃないか」

朋恵「知りたい?」

愛未「うん」

朋恵「最初のヒントは……、こないだのテストで40位以内だった」

愛未「ふむ」

朋恵「次のヒントは……、あたしのマンションとはお向かいさん」

愛未「ふむ。朋恵の好きな人って……、ヤス君か?」

朋恵「うん……」

愛未「ここ最近ヤス君と一緒に居ると嬉しい表情をするのは、そういうことだったのか」

朋恵「そうだね。ヤス、あの日から一気に変わったじゃない。クラスの内外で友達が出来たし、物怖じしなくなったっていうのか」

愛未「確かに。以前のヤス君は自分に自信が無くて、いつも顔色ばかり窺っていたからね」

朋恵「あたし達の胸で泣きついたからかな」

愛未「確かに。女の武器を使ったのは初めてだったな」

朋恵「そうだね。あたしも使って良かったよ」

愛未「ただ、他の男子には使いたくないな」

朋恵「どうして?」

愛未「それは……その、恥ずかしいじゃないか」

朋恵「またまたぁ、マナもユウのことが好きなんでしょ?」

愛未「バ……、バカッ! そんな……、好きだなんて……」

朋恵「ムキになっているところがますます怪しいよ」

愛未「……と、とにかくだ! 話を変えよう! ……甲子園の常連校である仙台名育学園高校って知っているか?」

朋恵「うん。野球も強ければサッカーも強い、応援団にチアリーディング部があるし、向かうところ敵なしって感じがする処だね。それが何か?」

愛未「あそこの学校のサッカー部員である曽根(そね)龍太(りゅうた)って知っているか? ちなみに、私達より一学年上だそうだ」

朋恵「知らないなぁ。その、ソネってやつがどうかしたの?」

愛未「そいつは補欠の割にサッカー部のレギュラーであることを吹聴(ふいちょう)して回っていて、女子生徒を言いくるめてセフレにして……その、不純異性交遊をしていたそうだ」

朋恵「うわぁ……。その話、誰から聞いたの?」

愛未「実は中学校の頃のバレー部で一緒だった子が名育に通っていてね、その子から聞いたのさ」

朋恵「それが……、どうかしたの?」

愛未「その子の話によると、最近曽根が他校の男子と付き合っている名育の女子を言いくるめてセフレにしたそうだ。しかし、密会していたところを女子生徒の父親にバレて……」

朋恵「退学になったの?」

愛未「そう。よりによってその女子生徒の父親は市議会議員だったそうで、曽根の父親ともつながりがあったらしい。それで父親の耳にも入って……」

朋恵「勘当、と」

愛未「そういうことになるな。……ただ、この話は絶対にヤスの耳には入れないようにしてもらいたい」

朋恵「どうして?」

愛未「ヤスがこの話を聞いたら、多分……、元カノとよりを戻そうとするだろう。そうなったら、私達の努力が水の泡になる」

朋恵「そうだね。せっかく立ち直ったのに、また元カノとくっついちゃったら元の木阿弥(もくあみ)だよね」

愛未「だから、この話は私達だけの秘密……だな」

朋恵「そうだね。それじゃあ、また月曜日にね」

愛未「ああ、またね」



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 12月3日、夜9時――。
朋恵「愛未、やっと仙台に戻って来たってメッセージは見た?」
愛未「見たよ。高田先輩は国分先輩達と一緒の班だったから、色々と楽しめたそうだって」
朋恵「部長は同じクラスの人たちと一緒だったけど、話の輪になかなか話題についていけないって愚痴をこぼしていたよ」
愛未「e-Sports部の国分姉妹とは仲が良さそうだけど、それってどうなのかな」
朋恵「高田先輩の話だと、あの三人は一年生の頃からクラスが一緒だったって言っていたなぁ」
愛未「そうなのか。私達と似ているね」
朋恵「ただ、付き合いはあたし達の方が長いからね」
愛未「それもそうだね」
朋恵「くすっ。話は代わるけど、愛未って好きな人はいるの?」
愛未「私? 私は……、今は居ないな。そういう朋恵はどうなんだい?」
朋恵「あたしは……、今は内緒」
愛未「内緒って、それは無いだろ。昨日一緒に帰った時にちょっとだけ顔を赤らめていたじゃないか」
朋恵「知りたい?」
愛未「うん」
朋恵「最初のヒントは……、こないだのテストで40位以内だった」
愛未「ふむ」
朋恵「次のヒントは……、あたしのマンションとはお向かいさん」
愛未「ふむ。朋恵の好きな人って……、ヤス君か?」
朋恵「うん……」
愛未「ここ最近ヤス君と一緒に居ると嬉しい表情をするのは、そういうことだったのか」
朋恵「そうだね。ヤス、あの日から一気に変わったじゃない。クラスの内外で友達が出来たし、物怖じしなくなったっていうのか」
愛未「確かに。以前のヤス君は自分に自信が無くて、いつも顔色ばかり窺っていたからね」
朋恵「あたし達の胸で泣きついたからかな」
愛未「確かに。女の武器を使ったのは初めてだったな」
朋恵「そうだね。あたしも使って良かったよ」
愛未「ただ、他の男子には使いたくないな」
朋恵「どうして?」
愛未「それは……その、恥ずかしいじゃないか」
朋恵「またまたぁ、マナもユウのことが好きなんでしょ?」
愛未「バ……、バカッ! そんな……、好きだなんて……」
朋恵「ムキになっているところがますます怪しいよ」
愛未「……と、とにかくだ! 話を変えよう! ……甲子園の常連校である仙台名育学園高校って知っているか?」
朋恵「うん。野球も強ければサッカーも強い、応援団にチアリーディング部があるし、向かうところ敵なしって感じがする処だね。それが何か?」
愛未「あそこの学校のサッカー部員である曽根《そね》龍太《りゅうた》って知っているか? ちなみに、私達より一学年上だそうだ」
朋恵「知らないなぁ。その、ソネってやつがどうかしたの?」
愛未「そいつは補欠の割にサッカー部のレギュラーであることを吹聴《ふいちょう》して回っていて、女子生徒を言いくるめてセフレにして……その、不純異性交遊をしていたそうだ」
朋恵「うわぁ……。その話、誰から聞いたの?」
愛未「実は中学校の頃のバレー部で一緒だった子が名育に通っていてね、その子から聞いたのさ」
朋恵「それが……、どうかしたの?」
愛未「その子の話によると、最近曽根が他校の男子と付き合っている名育の女子を言いくるめてセフレにしたそうだ。しかし、密会していたところを女子生徒の父親にバレて……」
朋恵「退学になったの?」
愛未「そう。よりによってその女子生徒の父親は市議会議員だったそうで、曽根の父親ともつながりがあったらしい。それで父親の耳にも入って……」
朋恵「勘当、と」
愛未「そういうことになるな。……ただ、この話は絶対にヤスの耳には入れないようにしてもらいたい」
朋恵「どうして?」
愛未「ヤスがこの話を聞いたら、多分……、元カノとよりを戻そうとするだろう。そうなったら、私達の努力が水の泡になる」
朋恵「そうだね。せっかく立ち直ったのに、また元カノとくっついちゃったら元の木阿弥《もくあみ》だよね」
愛未「だから、この話は私達だけの秘密……だな」
朋恵「そうだね。それじゃあ、また月曜日にね」
愛未「ああ、またね」