第29話

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 週明けの月曜日の放課後――。

「黒澤先輩って同性の友達が居ますか?」
「ん? なんだよ、藪から棒に」

 GYALORANTの練習に明け暮れていた時、ふと僕は左斜め向かいの席に座っている黒澤先輩にちょっと相談することにした。
 というのも、一昨日の勉強会では勉強の合間に繰り広げられる女子トークに全くついていけなかったからだ。

 言い訳になるかもしれないけれども、小学校の頃は友人もそこそこ居た。
 中学校になって友達が別の中学校に通うなどして減っていき、いじめと学校の対応の悪さに伴う転校で友達作りは最初からやり直しとなった。

 そんなときに知り合ったのが、何を隠そうこないだチャラ男に寝取られた心美だった。彼女に頼りすぎたためか……、って、彼女に振られたのは僕自身が彼女に依存しすぎたからだろうが! ヘタレコンボ丸出しだろ、僕!

 それに、女の子同士だと胸に目が行くことがあって……。いや、隣に藤島さんが居るけど、彼女はほぼ普通サイズだから何とも感じないけど。

「へー、ヤスは同性の友達が欲しいのか」
「そうなんです。女子じゃなくて、男子の友達が居ないんです。そもそも僕は……」
「彼女に依存しすぎた、と」

 こっちに来てから不慣れな僕を支えてきたのが元カノだ。
 元カノが色々とやってくれたお陰で僕は何にもしなかったけど、その結果僕は彼女に依存しすぎて何にもできなくなった。
 いざ高校が別となったら、また僕は勉強しか能がないヘタレとなった。
 部活も適当に選んでしまい、成績だけは一人前の――。

「一昨日になって、小テストや模試の対応で同じクラスの女子と勉強したけど、話にうまく乗れなかったんですよ」
「確かに、女子の中に男子一人だと厳しいな」
「ええ。それで先輩に相談したわけです」

 黒澤先輩は後ろに居る国分先輩達を見て、「あー、なるほど」と呟いた。
 女子は女子同士だから話しやすいだろうけど、僕は男子の友達も欲しいのだ。
 というか、男子の友達が居ない限りは女子と恋愛なんて厳しいわけだし。

「俺の場合は……、総合学習ってあるだろう? ほら、何人かのグループを組んで地域の課題を考えるって感じの。そこで俺は友人を見つけたし、桜花達とも出会って……てなわけよ」

 学校案内のパンフレットにも、総合学習のことが書いてあったな。
 僕達の学校では「地域の問題をどのように解決するか」というのが総合学習のテーマになっていて、それを発表する場が設けられている。
 これが内申点に直結するから、うかうかできないんだよな。

 中学校の頃は二年間ずっと心美と一緒のクラスだったこともあってか、彼女と同じグループでこなしていた記憶しかない。彼女が色々と手伝ってくれたお陰で、僕は何にもせずに済んだ。
 しかし、今となっては僕は彼女に甘えすぎた。
 そのために同性の友達作りすらできなくなったのだ。

「だから、ヤスもそこで友達を見つければいいんだよ。お前って、ゲーム以外の趣味はあるのか?」

 黒澤先輩にそう言われたとしても、読書くらいしか思い浮かばないんだよな。
 本棚にある本は海外のダークファンタジーに文系SF作家と、漫画は一つもない。しかもサッカー漫画に関しては、山形からこっちに引っ越す際に全部従兄弟(いとこ)にプレゼントしてしまった。
 朋恵に見つかった同人誌は……、あれはたまたま買っただけ! たまたまツボにはまっただけだから!

「う~ん、特にないんですよね。本を読むのと、ゲーム配信を見ることくらいしか」
「だったら、明日の総合学習で誰かに声をかけてみろよ。案外身近に友達が見つかるかもしれないぜ?」

 先輩がそう言うのであれば、狙ってみてもいい……かな?
 すると、隣の席に居た藤島さんが僕の方を向いて話しかけてきた。

「同じクラスの橋本君はどうなんですか?」
「は? アイツか?」
「橋本君と富樫君、同じグループに所属しているじゃありませんか。これを機に仲良くなってみたらどうです?」

 藤島さんは淡々とした表情で話すけど、橋本(あいつ)か――。
 アイツは顔は悪くないし、成績だってまずまずだ。
 それに、アイツは入学式の時に南仙台駅の辺りに住んでいるって話していたし、会おうと思えばいつでも会える。
 明日の総合学習で一緒のグループで色々と相談するのであれば、話しかけることは出来そうだ。幸い、グループ学習関係もあって互いの連絡先を交換しているからな。

「う~ん、それなら明日声をかけてみようかな」
「そうしてみてください。悪い子ではないと思いますから」

 藤島さんは一切表情を変えずに、まっすぐ僕を見つめながらそう言ったけど、大丈夫かな。
 まぁ、明日話してみるまでだ。



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 週明けの月曜日の放課後――。
「黒澤先輩って同性の友達が居ますか?」
「ん? なんだよ、藪から棒に」
 GYALORANTの練習に明け暮れていた時、ふと僕は左斜め向かいの席に座っている黒澤先輩にちょっと相談することにした。
 というのも、一昨日の勉強会では勉強の合間に繰り広げられる女子トークに全くついていけなかったからだ。
 言い訳になるかもしれないけれども、小学校の頃は友人もそこそこ居た。
 中学校になって友達が別の中学校に通うなどして減っていき、いじめと学校の対応の悪さに伴う転校で友達作りは最初からやり直しとなった。
 そんなときに知り合ったのが、何を隠そうこないだチャラ男に寝取られた心美だった。彼女に頼りすぎたためか……、って、彼女に振られたのは僕自身が彼女に依存しすぎたからだろうが! ヘタレコンボ丸出しだろ、僕!
 それに、女の子同士だと胸に目が行くことがあって……。いや、隣に藤島さんが居るけど、彼女はほぼ普通サイズだから何とも感じないけど。
「へー、ヤスは同性の友達が欲しいのか」
「そうなんです。女子じゃなくて、男子の友達が居ないんです。そもそも僕は……」
「彼女に依存しすぎた、と」
 こっちに来てから不慣れな僕を支えてきたのが元カノだ。
 元カノが色々とやってくれたお陰で僕は何にもしなかったけど、その結果僕は彼女に依存しすぎて何にもできなくなった。
 いざ高校が別となったら、また僕は勉強しか能がないヘタレとなった。
 部活も適当に選んでしまい、成績だけは一人前の――。
「一昨日になって、小テストや模試の対応で同じクラスの女子と勉強したけど、話にうまく乗れなかったんですよ」
「確かに、女子の中に男子一人だと厳しいな」
「ええ。それで先輩に相談したわけです」
 黒澤先輩は後ろに居る国分先輩達を見て、「あー、なるほど」と呟いた。
 女子は女子同士だから話しやすいだろうけど、僕は男子の友達も欲しいのだ。
 というか、男子の友達が居ない限りは女子と恋愛なんて厳しいわけだし。
「俺の場合は……、総合学習ってあるだろう? ほら、何人かのグループを組んで地域の課題を考えるって感じの。そこで俺は友人を見つけたし、桜花達とも出会って……てなわけよ」
 学校案内のパンフレットにも、総合学習のことが書いてあったな。
 僕達の学校では「地域の問題をどのように解決するか」というのが総合学習のテーマになっていて、それを発表する場が設けられている。
 これが内申点に直結するから、うかうかできないんだよな。
 中学校の頃は二年間ずっと心美と一緒のクラスだったこともあってか、彼女と同じグループでこなしていた記憶しかない。彼女が色々と手伝ってくれたお陰で、僕は何にもせずに済んだ。
 しかし、今となっては僕は彼女に甘えすぎた。
 そのために同性の友達作りすらできなくなったのだ。
「だから、ヤスもそこで友達を見つければいいんだよ。お前って、ゲーム以外の趣味はあるのか?」
 黒澤先輩にそう言われたとしても、読書くらいしか思い浮かばないんだよな。
 本棚にある本は海外のダークファンタジーに文系SF作家と、漫画は一つもない。しかもサッカー漫画に関しては、山形からこっちに引っ越す際に全部|従兄弟《いとこ》にプレゼントしてしまった。
 朋恵に見つかった同人誌は……、あれはたまたま買っただけ! たまたまツボにはまっただけだから!
「う~ん、特にないんですよね。本を読むのと、ゲーム配信を見ることくらいしか」
「だったら、明日の総合学習で誰かに声をかけてみろよ。案外身近に友達が見つかるかもしれないぜ?」
 先輩がそう言うのであれば、狙ってみてもいい……かな?
 すると、隣の席に居た藤島さんが僕の方を向いて話しかけてきた。
「同じクラスの橋本君はどうなんですか?」
「は? アイツか?」
「橋本君と富樫君、同じグループに所属しているじゃありませんか。これを機に仲良くなってみたらどうです?」
 藤島さんは淡々とした表情で話すけど、橋本《あいつ》か――。
 アイツは顔は悪くないし、成績だってまずまずだ。
 それに、アイツは入学式の時に南仙台駅の辺りに住んでいるって話していたし、会おうと思えばいつでも会える。
 明日の総合学習で一緒のグループで色々と相談するのであれば、話しかけることは出来そうだ。幸い、グループ学習関係もあって互いの連絡先を交換しているからな。
「う~ん、それなら明日声をかけてみようかな」
「そうしてみてください。悪い子ではないと思いますから」
 藤島さんは一切表情を変えずに、まっすぐ僕を見つめながらそう言ったけど、大丈夫かな。
 まぁ、明日話してみるまでだ。