第28話

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「さぁさぁ、無駄話しないでそろそろ始めよう! みなも、そろそろ離れて! ヤスが困っているから!」
「はぁ~い。……もうちょっと話したかったのになぁ」

 白浜さんが僕に近寄ったのが気に食わなかったのか、黒須さんがパンパンと手を叩くと、二人はテーブルに座った。
 一方で、白浜さんはバツが悪そうな顔をしていた。時間があるから、その時にでも色々と、ね。

 朋恵は四人いると部屋が狭くなると思い、ベッドに腰掛けた。スカートが短いせいもあってか、パンツが見えそうだな。

「まずはどの教科からやろうか? 宿題や小テストがある教科を優先したいけど……」
「僕は英語からやりたいな。今度の英語の小テストではできるだけいい点数をとりたいからね」
「アタシは数学からかな。数Ⅱもあるからね~」
「ウチは国語からやりた~い! 古典が苦手なんだ~」

 先程のガールズトークはどこに行ったのか、テキストを取り出すと黒須さんは真顔になった。しかも勉強をしたい教科が僕を含めて三者三様でバラバラだと知るや否や、黒須さんはちょっと困った顔を浮かべてしまう。

「う~ん、それじゃあ英語からやる?」
「決まりだね」

 すると、黒須さんがちょっと悩んだ末に英語のテキストを取り出した。
 英語Ⅰの先生、ああ見えて頻繁にテストをやるから勉強しておかないと大変なことになる。半年で先生のクセを見抜く僕も僕だが。

「アタシももうちょっと頑張らないといけないな~。前回、そこで順位を下げちゃったからね」

 朋恵はそう言って、ちょっと落ち込んでいる表情を見せた。
 前期期末試験だけど、僕も「ここから出るのか?」と思うような問題が出て面食らった覚えがある。
 一方、白浜さんはというと、涼しげな表情を見せ――。

「ウチは楽勝だったよ? 何せ、英検準二級を中学校の時に取っているからね!」
「えっ? マジ?」
「マジだよ? 最近は英検二級を取ったばかりだし、そしてその上の英検準一級を狙っているから!」

 英検二級って、高校卒業レベルだよな。それをやすやすとクリアして……って、準一級って……?

「つかぬことをお聞きしますけど、英検の準一級って……?」
「ん? 大学中級レベルだって聞いたことがあるけど?」
「「えぇ~っ!?」」

 僕と朋恵もびっくりだよ! ……まぁ、隣のクラスに居るから全く分からなかったのは当然だけど。
 その一方で、大学中級レベルであることを明かした黒須さんは涼しげな顔をしていた。
 やっぱり、この二人って付き合いが長そうだな。

 ◇

「So, let’s take a rest, aren't you? ……とりま、休憩しない?」

 あれから一時間、白浜さんと一緒に英語を勉強したけど……、正直、大変だった。
 日本語使用禁止で、分からないところも全部英語だけで進めるという徹底ぶりだった。軽そうなノリと見た目に騙されてしまったよ。

 それと、三人の服装が大胆だったから胸に目が行くこともしばしばだった。
 その都度白浜さんに”Where're you looking at? Tits?"(どこを見ているのかなぁ~? おっぱい?)とニヤニヤしながら何度も冷やかされたことか。

「ふ~、疲れたぁ~」
「ごめんね、みなもは英語となると全て英語でやらない時が済まない性格(タチ)だから」

 そう言って謝っているのは黒須さんだった。
 英語だけでやり通すのに慣れていない僕だけではなく、朋恵もクタクタだ。何せ日本使用禁止だったからね。

 今はみんなで朋恵のお母さんの差し入れであるコーヒーとチョコレートを口にしている。
 それにしても白浜さんって、ここまで英語が得意だとは知らなった。
 まぁ、隣のクラスに居る生徒だから僕が知らないのも無理はないけど。

「? どうしたの、ヤス」
「白浜さんって、外国人とのハーフなのかなって。ほら、英語の勉強中ずーっと英語しか使わなかったからさ」

 すると、白浜さんはちょっと困ったような表情を浮かべて、「それが違うんだよね~」と答えた。

「ウチはパパとママが同じ大学出身でね、パパは法律学部、ママは英文学部出身なんだ~。ママは語学留学をしているし、パパはそんなママから英語を教わっていてね。それでウチは自然に英語が身についたってわけ」
「学院大かな、ひょっとして」
「正解だよ」

 何らかの事情があるのかと思ったら、まさかあそこの大学出身とは思いもよらなかったよ。
 ちなみに、山形出身の父さんとここが地元の母さんが知り合ったのも、そこの大学だった。ひょっとして白浜さんの父さんと僕の父さんは同級生か先輩、もしくは後輩になりそうだ。
 その前に面識があるかどうかだけど。

「アタシは父さんが北東大で、母さんは白浜さんと同じ……かな?」
「アタシも似たようなものかな? ただ、ママは女子大だったけど」
「女子大か~……。今の時代、入る人が居るのかな?」
「割と居るよ? チア部(アタシたち)の顧問をしている先生は女子大のOGだよ」
「二年の山内先生だっけ? 英語が堪能だし、体力あるし、非の打ち所がないよね~」
「後で謝っておこうかな。こないだは迷惑かけちゃったからね」
「そうしなよ。先生、『一年三組の生徒なの?』って話していたから」

 チア部の顧問の先生はちょっと見た感じでは見た目がふわふわしていて、先生なのか? と思うほどだった。
 名前も覚えたことだし、後で倒れた時のお礼に行こう。

 結局、休み時間はあっという間に朋恵達とのおしゃべりタイムに終始した。
 女の子と久しぶりに話せて楽しかったけど……、やっぱり男の友達も欲しいんだよなぁ。
 これじゃあハーレム状態じゃないか、どう見たって。



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「さぁさぁ、無駄話しないでそろそろ始めよう! みなも、そろそろ離れて! ヤスが困っているから!」
「はぁ~い。……もうちょっと話したかったのになぁ」
 白浜さんが僕に近寄ったのが気に食わなかったのか、黒須さんがパンパンと手を叩くと、二人はテーブルに座った。
 一方で、白浜さんはバツが悪そうな顔をしていた。時間があるから、その時にでも色々と、ね。
 朋恵は四人いると部屋が狭くなると思い、ベッドに腰掛けた。スカートが短いせいもあってか、パンツが見えそうだな。
「まずはどの教科からやろうか? 宿題や小テストがある教科を優先したいけど……」
「僕は英語からやりたいな。今度の英語の小テストではできるだけいい点数をとりたいからね」
「アタシは数学からかな。数Ⅱもあるからね~」
「ウチは国語からやりた~い! 古典が苦手なんだ~」
 先程のガールズトークはどこに行ったのか、テキストを取り出すと黒須さんは真顔になった。しかも勉強をしたい教科が僕を含めて三者三様でバラバラだと知るや否や、黒須さんはちょっと困った顔を浮かべてしまう。
「う~ん、それじゃあ英語からやる?」
「決まりだね」
 すると、黒須さんがちょっと悩んだ末に英語のテキストを取り出した。
 英語Ⅰの先生、ああ見えて頻繁にテストをやるから勉強しておかないと大変なことになる。半年で先生のクセを見抜く僕も僕だが。
「アタシももうちょっと頑張らないといけないな~。前回、そこで順位を下げちゃったからね」
 朋恵はそう言って、ちょっと落ち込んでいる表情を見せた。
 前期期末試験だけど、僕も「ここから出るのか?」と思うような問題が出て面食らった覚えがある。
 一方、白浜さんはというと、涼しげな表情を見せ――。
「ウチは楽勝だったよ? 何せ、英検準二級を中学校の時に取っているからね!」
「えっ? マジ?」
「マジだよ? 最近は英検二級を取ったばかりだし、そしてその上の英検準一級を狙っているから!」
 英検二級って、高校卒業レベルだよな。それをやすやすとクリアして……って、準一級って……?
「つかぬことをお聞きしますけど、英検の準一級って……?」
「ん? 大学中級レベルだって聞いたことがあるけど?」
「「えぇ~っ!?」」
 僕と朋恵もびっくりだよ! ……まぁ、隣のクラスに居るから全く分からなかったのは当然だけど。
 その一方で、大学中級レベルであることを明かした黒須さんは涼しげな顔をしていた。
 やっぱり、この二人って付き合いが長そうだな。
 ◇
「So, let’s take a rest, aren't you? ……とりま、休憩しない?」
 あれから一時間、白浜さんと一緒に英語を勉強したけど……、正直、大変だった。
 日本語使用禁止で、分からないところも全部英語だけで進めるという徹底ぶりだった。軽そうなノリと見た目に騙されてしまったよ。
 それと、三人の服装が大胆だったから胸に目が行くこともしばしばだった。
 その都度白浜さんに”Where're you looking at? Tits?"(どこを見ているのかなぁ~? おっぱい?)とニヤニヤしながら何度も冷やかされたことか。
「ふ~、疲れたぁ~」
「ごめんね、みなもは英語となると全て英語でやらない時が済まない性格《タチ》だから」
 そう言って謝っているのは黒須さんだった。
 英語だけでやり通すのに慣れていない僕だけではなく、朋恵もクタクタだ。何せ日本使用禁止だったからね。
 今はみんなで朋恵のお母さんの差し入れであるコーヒーとチョコレートを口にしている。
 それにしても白浜さんって、ここまで英語が得意だとは知らなった。
 まぁ、隣のクラスに居る生徒だから僕が知らないのも無理はないけど。
「? どうしたの、ヤス」
「白浜さんって、外国人とのハーフなのかなって。ほら、英語の勉強中ずーっと英語しか使わなかったからさ」
 すると、白浜さんはちょっと困ったような表情を浮かべて、「それが違うんだよね~」と答えた。
「ウチはパパとママが同じ大学出身でね、パパは法律学部、ママは英文学部出身なんだ~。ママは語学留学をしているし、パパはそんなママから英語を教わっていてね。それでウチは自然に英語が身についたってわけ」
「学院大かな、ひょっとして」
「正解だよ」
 何らかの事情があるのかと思ったら、まさかあそこの大学出身とは思いもよらなかったよ。
 ちなみに、山形出身の父さんとここが地元の母さんが知り合ったのも、そこの大学だった。ひょっとして白浜さんの父さんと僕の父さんは同級生か先輩、もしくは後輩になりそうだ。
 その前に面識があるかどうかだけど。
「アタシは父さんが北東大で、母さんは白浜さんと同じ……かな?」
「アタシも似たようなものかな? ただ、ママは女子大だったけど」
「女子大か~……。今の時代、入る人が居るのかな?」
「割と居るよ? |チア部《アタシたち》の顧問をしている先生は女子大のOGだよ」
「二年の山内先生だっけ? 英語が堪能だし、体力あるし、非の打ち所がないよね~」
「後で謝っておこうかな。こないだは迷惑かけちゃったからね」
「そうしなよ。先生、『一年三組の生徒なの?』って話していたから」
 チア部の顧問の先生はちょっと見た感じでは見た目がふわふわしていて、先生なのか? と思うほどだった。
 名前も覚えたことだし、後で倒れた時のお礼に行こう。
 結局、休み時間はあっという間に朋恵達とのおしゃべりタイムに終始した。
 女の子と久しぶりに話せて楽しかったけど……、やっぱり男の友達も欲しいんだよなぁ。
 これじゃあハーレム状態じゃないか、どう見たって。