第18話

ー/ー



「ちょっとゲームを終わらせるから待っててね。……どこだったかな……、っと、これだな。――富樫君、まずはこれを軽く見てもらったほうが良いかな」

 桃花先輩はメニュー画面からゲームを終わらせると、すぐにブラウザーを起動させてブックマークを開いた。
 そこには『ビギナーズガイド』と書かれているページが映し出されていた。
 ……ってことは、まずこのゲームについて知っておいたほうが良いってことか?

「なになに、『銃と超能力を駆使した五対五の戦い』、『爆弾を起爆または解除するか、敵チームを全滅することで勝敗が決まる』、『十三ラウンド先取』、『一ラウンドにライフは一つ』……」

 桃花先輩が開いたページには、どうやってこのゲームを進めればいいのかというごく初歩的なことが書かれていた。
 ただ唯一気になることとくれば、一ゲーム辺りの時間がどれくらいになるか、それだけだ。もう少しサクッと終わればいいのだけど……。

「富樫君、ひょっとしてプレイ時間のことを気にしていたのかな~?」

 ニヤニヤしながら迫ってきたのは、何を隠そう桜花先輩の方だった。
 ブラウスの上からセーターを着ていて今どきの女子高生らしく見えるのは良いけど、甘い香りが……。

「さ、桜花先輩! どうして分かったんですか?」
「なんとなくね~。その辺は安心してもいいよ? このゲームには初心者向けの『デスマッチ』といってバトルロイヤル形式に近いゲームスタイルのもあれば、『スパイクラッシュ』といって誰もが爆弾を設置できるモードがあるんだから。デスマッチは戦績がカウントされないけど、マップに慣れるのであれば触れておいて損はないよ」
「まずはデスマッチをやってからスパイクラッシュをやって、それからアンレートをやっていけば問題ないかもね。デスマッチでエイム力――つまり相手を狙う力――を上げていって、そこから少しずつ慣れていったほうが良いのかもしれないよ」

 桜花先輩だけでなく、桃花先輩までもが僕に迫っている。
 これはまずもって逃げられない……!

 すると、部室の入り口がガラッと開く音がした。
 振り返ると、そこには制服姿の藤島さんの姿があった。

「お待たせしまして申し訳ありません、着替えてきました」

 いや、ちょうどいいタイミングで来てくれて助かった。
 待っていましたかの様に、桃花先輩が藤島さんのところに駆け寄った。
 謎重力が片方だけ居なくなってホッとしたけど、桜花先輩がまだ残っている。
 それにしても、藤島さんの制服姿は新鮮だな。

「遅かったじゃない、奏音ちゃん。どうしたの?」
「こちらに行く途中に同じクラスの風紀委員の子と一緒になって、チア部の部室に行ってきました」
「なるほどね。ありがとう、わざわざ引っ張ってきてくれて」
「いえ、この間の文化祭に比べればたいしたことありません」

 そういえば、この間の文化祭でも教室を借り切ってゲーム大会をやっていた感じがするな。
 その時、藤島さんがわざわざスマホ向けシューティングゲームのキャラクターのコスプレをしてまで集客をしていたような。
 漫画のサンプルと本人をガン見したら、余りにもそっくりでびっくりした。

「それで、僕をここに呼んだのはどういうことですか? 『あと一人入れば、とあるゲームの大会に出場できる人数が揃う』って藤島さんが話していたのですが……」

 すると、桃花先輩が僕の方を見て話しかけてきた。

「えっと、実はね、うちの学校は部活に力を入れているのは分かるよね?」
「ええ。運動部だけでなく、文化部も結構いい成績を上げていますからね」
「それで私達e-Sports愛好会も頑張っているんだけど、会員がまだ少なくて出られる大会が少ないんだよね~。私としては、様々なゲームの大会にも出たいんだよね……」

 桃花先輩はそう言うと、ちょっと落ち込んでいる表情を見せながら部室内を歩き回った。

 ただ、eスポーツと言っても、どんなゲームがあるか分からないんだよなぁ。
 僕が分かるゲームといえば、クラフト系のゲームと配信でよく見るバトルロイヤル形式のFPSくらいだ。

「そこで奏音ちゃんから五時間目の休み時間に『いい人が居るので、今日連れてきます』って連絡があったのよ。君、中学校の頃にサッカー部に入っていたじゃない? サッカーをやった知見を活かして、是非e-Sports愛好会に入ってみないかな?」

 桃花先輩、それってどういうことなんだ? ここに入れってことなのか?
 まぁ、サッカーをやっていたけど、いじめで辞めちゃったし……。
 迷うな。



次のエピソードへ進む 第19話


みんなのリアクション

「ちょっとゲームを終わらせるから待っててね。……どこだったかな……、っと、これだな。――富樫君、まずはこれを軽く見てもらったほうが良いかな」
 桃花先輩はメニュー画面からゲームを終わらせると、すぐにブラウザーを起動させてブックマークを開いた。
 そこには『ビギナーズガイド』と書かれているページが映し出されていた。
 ……ってことは、まずこのゲームについて知っておいたほうが良いってことか?
「なになに、『銃と超能力を駆使した五対五の戦い』、『爆弾を起爆または解除するか、敵チームを全滅することで勝敗が決まる』、『十三ラウンド先取』、『一ラウンドにライフは一つ』……」
 桃花先輩が開いたページには、どうやってこのゲームを進めればいいのかというごく初歩的なことが書かれていた。
 ただ唯一気になることとくれば、一ゲーム辺りの時間がどれくらいになるか、それだけだ。もう少しサクッと終わればいいのだけど……。
「富樫君、ひょっとしてプレイ時間のことを気にしていたのかな~?」
 ニヤニヤしながら迫ってきたのは、何を隠そう桜花先輩の方だった。
 ブラウスの上からセーターを着ていて今どきの女子高生らしく見えるのは良いけど、甘い香りが……。
「さ、桜花先輩! どうして分かったんですか?」
「なんとなくね~。その辺は安心してもいいよ? このゲームには初心者向けの『デスマッチ』といってバトルロイヤル形式に近いゲームスタイルのもあれば、『スパイクラッシュ』といって誰もが爆弾を設置できるモードがあるんだから。デスマッチは戦績がカウントされないけど、マップに慣れるのであれば触れておいて損はないよ」
「まずはデスマッチをやってからスパイクラッシュをやって、それからアンレートをやっていけば問題ないかもね。デスマッチでエイム力――つまり相手を狙う力――を上げていって、そこから少しずつ慣れていったほうが良いのかもしれないよ」
 桜花先輩だけでなく、桃花先輩までもが僕に迫っている。
 これはまずもって逃げられない……!
 すると、部室の入り口がガラッと開く音がした。
 振り返ると、そこには制服姿の藤島さんの姿があった。
「お待たせしまして申し訳ありません、着替えてきました」
 いや、ちょうどいいタイミングで来てくれて助かった。
 待っていましたかの様に、桃花先輩が藤島さんのところに駆け寄った。
 謎重力が片方だけ居なくなってホッとしたけど、桜花先輩がまだ残っている。
 それにしても、藤島さんの制服姿は新鮮だな。
「遅かったじゃない、奏音ちゃん。どうしたの?」
「こちらに行く途中に同じクラスの風紀委員の子と一緒になって、チア部の部室に行ってきました」
「なるほどね。ありがとう、わざわざ引っ張ってきてくれて」
「いえ、この間の文化祭に比べればたいしたことありません」
 そういえば、この間の文化祭でも教室を借り切ってゲーム大会をやっていた感じがするな。
 その時、藤島さんがわざわざスマホ向けシューティングゲームのキャラクターのコスプレをしてまで集客をしていたような。
 漫画のサンプルと本人をガン見したら、余りにもそっくりでびっくりした。
「それで、僕をここに呼んだのはどういうことですか? 『あと一人入れば、とあるゲームの大会に出場できる人数が揃う』って藤島さんが話していたのですが……」
 すると、桃花先輩が僕の方を見て話しかけてきた。
「えっと、実はね、うちの学校は部活に力を入れているのは分かるよね?」
「ええ。運動部だけでなく、文化部も結構いい成績を上げていますからね」
「それで私達e-Sports愛好会も頑張っているんだけど、会員がまだ少なくて出られる大会が少ないんだよね~。私としては、様々なゲームの大会にも出たいんだよね……」
 桃花先輩はそう言うと、ちょっと落ち込んでいる表情を見せながら部室内を歩き回った。
 ただ、eスポーツと言っても、どんなゲームがあるか分からないんだよなぁ。
 僕が分かるゲームといえば、クラフト系のゲームと配信でよく見るバトルロイヤル形式のFPSくらいだ。
「そこで奏音ちゃんから五時間目の休み時間に『いい人が居るので、今日連れてきます』って連絡があったのよ。君、中学校の頃にサッカー部に入っていたじゃない? サッカーをやった知見を活かして、是非e-Sports愛好会に入ってみないかな?」
 桃花先輩、それってどういうことなんだ? ここに入れってことなのか?
 まぁ、サッカーをやっていたけど、いじめで辞めちゃったし……。
 迷うな。