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第三百二十五話

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 今回の作戦人員の中で、最強のタッグと呼べる存在二人。それと相対するは、これまでのどの支部長も用いた試しのない力。それらがぶつかり合うことイコール、想像を絶する戦いである。
 まるで複数の脳が宿っているかのような正確さで、礼安とエヴァの剣技を弾く善吉怪人体。しかし、負けじと二人もそれぞれの刀を圧し折るかふっ飛ばして利を得るべく、精一杯の力で弾きにかかる。
 圧倒的な(プレッシャー)(プレッシャー)のぶつかり合い、これまでの戦いが、非常に稚拙(ちせつ)に見えてしまうほどの速度かつ、圧倒的な攻撃の数々であった。

 文字通りの殺し合いに近い、生存本能の燃やし合いである。

 礼安もエヴァも、互いの武器を入れ替えて攻撃の角度、手段を増幅させるも、善吉の意地によってそれすら対策。
 咄嗟に全力の蹴りや拳を放つも、複数の腕で止められるか、正直に受けたとしても歪んだ魔力による爆発的な回復力で即座に治癒。
 一見絶望的、と思える状況でも、礼安とエヴァは互いを信じていたのだ。
 一の案(ファーストプラン)が駄目ならば、次なる二の案(セカンドプラン)へ。
 小鎚や能力を活かした戦いへ、まるで適応するかのように急激に鳴動(シフト)
 お互いのセンスを信じあい、即席武器を床材である鋼鉄(スチール)や図書館のテーブルに用いられる木材によって生成、多種多様な武器を次々に生み出していくのだ。
 そしてそれらのランダム性ある武器たちを握り、陸上戦だけではなく空中戦まで仕掛けにかかるのだった。
 お互いの思考の探り合い、究極のハイスピードバトル。神聖剣と鋼鉄(スチール)の剣による二刀流で、一気呵成(いっきかせい)に攻め立てる礼安。
 善吉と同じ条件ではあるが、片方薙刀・片方太刀であるハイパワーな組み合わせ、さらに怪人化による恵まれた膂力によって、すぐさま鋼鉄(スチール)の剣は圧し折れる。
 しかし、礼安は咄嗟に翻り、ハンドスプリングのような動作でドロップキック。雷の速度を保ちながら、明確な質量を持った攻撃であるために、善吉はすぐさま己が刀二振りで防御を選んだ。

 だが、それは礼安の思惑通りであったのだ。

 武器の生成が一通り終わったエヴァが、宙より小鎚と新銘刀を持ちながら飛来。すぐさま小鎚を打った新銘刀にて、その刀ごと当人をぶった斬ったのだ。
 エヴァの持つ小鎚の力は、『武器生成』以外に、『銘を入れる力』も保有する。元々、因子同士の性質として、近しい年代か近しい関係性にあるのなら、お互いに傷つきやすい特効が生まれる。そこに足し算として君臨するは、『銘を入れる力』なのだ。本来の特効プラス、小鎚を打ったその刀を振るう相手が因縁深い相手ならば、その特効のレベルは相手の物よりも上となるのだ。
 早々に刀を駄目にしたエヴァは、礼安に無言で笑いかけた。善吉の胴体部を蹴り飛ばして、全霊で生み出した隙を、礼安に全て委ねたのだ。
 神聖剣を振りかざすも、すぐさま複数の腕で防御しにかかる。
 しかし、礼安は剣から手を放し、雷の速度を乗せた不意を突くソバットを、無防備な腹部に叩き込んだのだ。
 急速に吹き飛ばされる善吉に、追い打ちをせんと光の速度で背後に迫り、咄嗟に善吉を蹴り上げる。
 宙で繰り広げられる、巨大なサンドバッグを用いた、軌道で星の全体像を描くような、大規模空中合戦(ドッグ・ファイト)
 とても即席で行われている連携(コンビネーション)とは思えないほどに素早く、息の合った連携(コンビネーション)であったのだ。

 だが、善吉もただで終われない。あれほどの壮大な理想を掲げておきながら、ここで終わるだなんてことは自分自身が許さなかった。

 以前は偶然に近いもの。しかし、宙にて自信を殴り飛ばさんとする二人の拳を、『異なる』ベース能力で完全に受け止めたのだ。礼安は本来手に入れている徳川家康によって齎された『念』の力、エヴァは――和井内から奪った豊臣秀吉が齎した『闇』の力で。
 これまでの怪人とは、そしてこれまでの支部長とは完全に一線を画す強さであることは認識していた。しかし、善吉はそれ以上に『成長する巨悪』であったのだ。
 基本的に、自分の考えを改めることは無い。そして、自分の力に慢心し、成長をやめてしまうことが基本的にチーティングドライバーを持つ存在の、力に溺れてしまった者の共通弱点であった。何故なら、それほどに強い力を得ているのだから。デバイスドライバーよりも一段上の力を保有している以上、『それ以上』を求める強欲な存在はそうそう居ない。
 だからこそ、善吉は違うのだ。他の誰にも負けない、圧倒的な野心があった。それほどの大きな考えを成すためには、これまで以上に貪欲でなければならない。そこに怒りは無い。ただ、尊大な自尊心を裏付ける爆発的な対抗心が存在するのだ。

『まだだ……まだまだまだまだァァァァッ!!』

 二人の快進撃を急停止させるように、魔力によって肉体を補強。例え相手がどれほどに個の力が強い存在であろうと、決して諦めない、強い心を持ち合わせていたのだ。
 思い切り、二人に対し念能力を飛ばし、遠くへ弾き飛ばす。
 ただそれだけでなく、これまでのどの刀とも違う、鞭のような血に染まった蛇腹の剣を生成。それによって近づかせることすらさせない、そして自分の長所の一つである、『心身惨殺機構(ペイン=ペイン・リフレイン)』を強制的に食らうような状況を押し付ける。
 これまでの意趣返しと言わんばかりに、礼安やエヴァを責め立てにかかるのだった。
 しかし、礼安もエヴァも、善吉の齎す斬撃の嵐を、己が能力たちで掻い潜ったのだ。それぞれ、能力の種類の中でも圧倒的速度を誇るもの二つ。同じく『光の速度』になれる者同士。
 礼安は蹴りで、エヴァは拳で、善吉の顔面を思い切り急襲したのだ。
 あまりにもの高火力な一撃に、思わず剣を手放してしまい、柄の部分を蹴られどこかへ吹き飛ばし、一切の抵抗が出来ないように礼安は胸元を握りながら精一杯の超高電圧を直接流し込んだ。
 それにより、善吉は完全に意識が飛んだ。

「さあ、行きますよ礼安さん!」
「オーケー、全力のぶつけ合いだ!!」

 互いのドライバー、その両端を深く押し込んで、無抵抗の状態になった善吉にとどめを刺すべく、非常に高く跳躍するのだった。

『『超必殺承認!!』』
「「これでお終いだァァァァァッ!!」」
遍く悪を浄化する、円卓の轟雷(オールオーバー・ラウンズテーブル・サンダーボルト)!!』
村正蹴撃一ノ段・跳蹴光雄撃(ムラマサキッキング・ファースト=ヒーローズインパクト)!!』

 一切の身動きが取れない善吉に向かって、光と雷の魔力が入り乱れながら全力の飛び蹴りを放つ二人。元々の状況は五分。その状況で、ここまでやり遂げられたのは最高の結果そのもの。
 しかし、窮地に追い込まれた善吉の成長は計り知れない。本来の念能力以外に、礼安との戦いで覚醒の兆しを見せた闇の能力が、防御に用いる以外の効果以外に、遂に完全なる開花を果たしたのだ。

 心からの雄叫びを上げながら、両手から放つは、全てを飲み込む闇の魔力。それによって、何と二人の技を完全に相殺しきったのだ。



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 今回の作戦人員の中で、最強のタッグと呼べる存在二人。それと相対するは、これまでのどの支部長も用いた試しのない力。それらがぶつかり合うことイコール、想像を絶する戦いである。
 まるで複数の脳が宿っているかのような正確さで、礼安とエヴァの剣技を弾く善吉怪人体。しかし、負けじと二人もそれぞれの刀を圧し折るかふっ飛ばして利を得るべく、精一杯の力で弾きにかかる。
 圧倒的な|圧《プレッシャー》と|圧《プレッシャー》のぶつかり合い、これまでの戦いが、非常に|稚拙《ちせつ》に見えてしまうほどの速度かつ、圧倒的な攻撃の数々であった。
 文字通りの殺し合いに近い、生存本能の燃やし合いである。
 礼安もエヴァも、互いの武器を入れ替えて攻撃の角度、手段を増幅させるも、善吉の意地によってそれすら対策。
 咄嗟に全力の蹴りや拳を放つも、複数の腕で止められるか、正直に受けたとしても歪んだ魔力による爆発的な回復力で即座に治癒。
 一見絶望的、と思える状況でも、礼安とエヴァは互いを信じていたのだ。
 |一の案《ファーストプラン》が駄目ならば、次なる|二の案《セカンドプラン》へ。
 小鎚や能力を活かした戦いへ、まるで適応するかのように急激に|鳴動《シフト》。
 お互いのセンスを信じあい、即席武器を床材である|鋼鉄《スチール》や図書館のテーブルに用いられる木材によって生成、多種多様な武器を次々に生み出していくのだ。
 そしてそれらのランダム性ある武器たちを握り、陸上戦だけではなく空中戦まで仕掛けにかかるのだった。
 お互いの思考の探り合い、究極のハイスピードバトル。神聖剣と|鋼鉄《スチール》の剣による二刀流で、|一気呵成《いっきかせい》に攻め立てる礼安。
 善吉と同じ条件ではあるが、片方薙刀・片方太刀であるハイパワーな組み合わせ、さらに怪人化による恵まれた膂力によって、すぐさま|鋼鉄《スチール》の剣は圧し折れる。
 しかし、礼安は咄嗟に翻り、ハンドスプリングのような動作でドロップキック。雷の速度を保ちながら、明確な質量を持った攻撃であるために、善吉はすぐさま己が刀二振りで防御を選んだ。
 だが、それは礼安の思惑通りであったのだ。
 武器の生成が一通り終わったエヴァが、宙より小鎚と新銘刀を持ちながら飛来。すぐさま小鎚を打った新銘刀にて、その刀ごと当人をぶった斬ったのだ。
 エヴァの持つ小鎚の力は、『武器生成』以外に、『銘を入れる力』も保有する。元々、因子同士の性質として、近しい年代か近しい関係性にあるのなら、お互いに傷つきやすい特効が生まれる。そこに足し算として君臨するは、『銘を入れる力』なのだ。本来の特効プラス、小鎚を打ったその刀を振るう相手が因縁深い相手ならば、その特効のレベルは相手の物よりも上となるのだ。
 早々に刀を駄目にしたエヴァは、礼安に無言で笑いかけた。善吉の胴体部を蹴り飛ばして、全霊で生み出した隙を、礼安に全て委ねたのだ。
 神聖剣を振りかざすも、すぐさま複数の腕で防御しにかかる。
 しかし、礼安は剣から手を放し、雷の速度を乗せた不意を突くソバットを、無防備な腹部に叩き込んだのだ。
 急速に吹き飛ばされる善吉に、追い打ちをせんと光の速度で背後に迫り、咄嗟に善吉を蹴り上げる。
 宙で繰り広げられる、巨大なサンドバッグを用いた、軌道で星の全体像を描くような、大規模空中合戦《ドッグ・ファイト》。
 とても即席で行われている|連携《コンビネーション》とは思えないほどに素早く、息の合った|連携《コンビネーション》であったのだ。
 だが、善吉もただで終われない。あれほどの壮大な理想を掲げておきながら、ここで終わるだなんてことは自分自身が許さなかった。
 以前は偶然に近いもの。しかし、宙にて自信を殴り飛ばさんとする二人の拳を、『異なる』ベース能力で完全に受け止めたのだ。礼安は本来手に入れている徳川家康によって齎された『念』の力、エヴァは――和井内から奪った豊臣秀吉が齎した『闇』の力で。
 これまでの怪人とは、そしてこれまでの支部長とは完全に一線を画す強さであることは認識していた。しかし、善吉はそれ以上に『成長する巨悪』であったのだ。
 基本的に、自分の考えを改めることは無い。そして、自分の力に慢心し、成長をやめてしまうことが基本的にチーティングドライバーを持つ存在の、力に溺れてしまった者の共通弱点であった。何故なら、それほどに強い力を得ているのだから。デバイスドライバーよりも一段上の力を保有している以上、『それ以上』を求める強欲な存在はそうそう居ない。
 だからこそ、善吉は違うのだ。他の誰にも負けない、圧倒的な野心があった。それほどの大きな考えを成すためには、これまで以上に貪欲でなければならない。そこに怒りは無い。ただ、尊大な自尊心を裏付ける爆発的な対抗心が存在するのだ。
『まだだ……まだまだまだまだァァァァッ!!』
 二人の快進撃を急停止させるように、魔力によって肉体を補強。例え相手がどれほどに個の力が強い存在であろうと、決して諦めない、強い心を持ち合わせていたのだ。
 思い切り、二人に対し念能力を飛ばし、遠くへ弾き飛ばす。
 ただそれだけでなく、これまでのどの刀とも違う、鞭のような血に染まった蛇腹の剣を生成。それによって近づかせることすらさせない、そして自分の長所の一つである、『|心身惨殺機構《ペイン=ペイン・リフレイン》』を強制的に食らうような状況を押し付ける。
 これまでの意趣返しと言わんばかりに、礼安やエヴァを責め立てにかかるのだった。
 しかし、礼安もエヴァも、善吉の齎す斬撃の嵐を、己が能力たちで掻い潜ったのだ。それぞれ、能力の種類の中でも圧倒的速度を誇るもの二つ。同じく『光の速度』になれる者同士。
 礼安は蹴りで、エヴァは拳で、善吉の顔面を思い切り急襲したのだ。
 あまりにもの高火力な一撃に、思わず剣を手放してしまい、柄の部分を蹴られどこかへ吹き飛ばし、一切の抵抗が出来ないように礼安は胸元を握りながら精一杯の超高電圧を直接流し込んだ。
 それにより、善吉は完全に意識が飛んだ。
「さあ、行きますよ礼安さん!」
「オーケー、全力のぶつけ合いだ!!」
 互いのドライバー、その両端を深く押し込んで、無抵抗の状態になった善吉にとどめを刺すべく、非常に高く跳躍するのだった。
『『超必殺承認!!』』
「「これでお終いだァァァァァッ!!」」
『|遍く悪を浄化する、円卓の轟雷《オールオーバー・ラウンズテーブル・サンダーボルト》!!』
『|村正蹴撃一ノ段・跳蹴光雄撃《ムラマサキッキング・ファースト=ヒーローズインパクト》!!』
 一切の身動きが取れない善吉に向かって、光と雷の魔力が入り乱れながら全力の飛び蹴りを放つ二人。元々の状況は五分。その状況で、ここまでやり遂げられたのは最高の結果そのもの。
 しかし、窮地に追い込まれた善吉の成長は計り知れない。本来の念能力以外に、礼安との戦いで覚醒の兆しを見せた闇の能力が、防御に用いる以外の効果以外に、遂に完全なる開花を果たしたのだ。
 心からの雄叫びを上げながら、両手から放つは、全てを飲み込む闇の魔力。それによって、何と二人の技を完全に相殺しきったのだ。