第三百二十四話
ー/ー 生徒が用いて、負荷のない変身が出来るようになるデバイスドライバー。選ばれた存在のみ扱えるという欠点はあるものの、一枚だけなら一切の負荷無しに変身できる優れものである。礼安のように二枚同時変身や三枚同時変身をすると、それ相応の負荷がかかるものの、その分出力は向上する。
チーティングドライバーは、そんなデバイスドライバーの長所とも短所ともとれる要素を完全排除。重い負荷をかけてでも、出力を向上させにかかる。ライセンスの持てる力を十二分に発揮し、英雄たちを潰しにかかるのがセオリーである。差別点としてそんなところで、誰も英雄で言う『二枚同時変身や三枚同時変身が出来ない』とは明言していないのだ。
「私も苦労しました。グレープ・フルボディ、その深淵にてエヴァ・クリストフと用済みになった自分の娘……名前は興味が無いのでもう忘れましたが、そこで偽者の私が追い詰められていく様子を、遠隔で見ていた時……自分の準備不足を嘆きました。どれほどの存在だろうと、自己を見つめ直し日々反省することは必要不可欠ですから」
そこから、善吉は自己の欠点を炙り出し、一行を迎え撃つべく対策を練ったのだ。まず、徹底的な戦力の分散、そして支配圏内においては休まらぬよう都度襲撃。さらにその間、善吉自身は現千葉支部、その支部長代理から奪った力をコントロール、及びライセンスの具現化の作業を行っていた。腕利きの化学者を寄り集め、最適なトレーニングプランも組み盤石の布陣を整えたのだ。
そう、これまで彼女たちが相対してきた敵に無かった、今の自分に慢心することのない『成長性』を抱えていたのだ。ビジネスの場において、基本的に永久不変のものなどあり得ない、人間の関係性ですら日ごとに移り変わっていくというのは当たり前のこと。それを自分自身で学習しているからこそ、飽くなき闘争心と成長性を得たのだ。
しかし、ここで予期せぬ事態が起こる。事の事情を知らなかったはずの礼安の出力が、想定よりも遥か上を行ったのだ。そのため、都度偵察を行う間にも、善吉はその可能性を少しでも排除できるよう、新たなプランを自分自身で設計、即実行したのだ。部下のせいにも出来ただろうに、欠片もそうすることはなく、自分に非があると考えた結果改めたのだ。
「東京デスティニーアイランドでは、不覚を取りました。そしてこうして……私の目の前に立つ貴女がたは、これまでのデータにない存在。実行するのは少々先が不明瞭になってしまうでしょうが……可能性を潰すにはこちらも身を削り、全力で当たるしかないでしょう。今まで生きてきた中で――最も不確定要素であった存在三名の内、貴女がたはその内の二名を担うことになるでしょう」
その内の一人を口にすることはなく、ただ胸に秘めるだけで留めた善吉。その靄が肥大化していく中で、礼安がそれに対して言及しようと口を開こうとした時――二人にとって予想だにしない展開が訪れるのだった。
手にしていたライセンスは、『徳川家康』の物と……『豊臣秀吉』の物であったのだ。
「そう、そちらが同じ物語で繋ぎ合わせ、あるいは似た時代の物を繋ぎ合わせて強くなるのなら――私だってそうしてやろうじゃアないかってことなんですよ!!」
もし歴史を学ぶ機会があったとしたら、確実に戦国時代の中で名の挙がる存在。言わずとも知れた戦国時代の三英傑の内の二人。それこそが徳川と豊臣。歴史上では天下人を巡った争いを、武力を伴う伴わない関係なしに、水面下で行ってきた好敵手のような関係性の二人が、運命の悪戯によって現代に引き合わせられたのだ。
元々、秘匿主義であった千葉支部の副支部長がそのような存在であることは、善吉にとっても予想外そのもの。しかしその予想外をすぐに自分の計画に取り入れる柔軟性が、善吉にはあったのだ。
「これまでの中で最も貴女がたを追い詰めた存在、待田招来……あの方の駄目だったところは、因子の掛け合わせ方でした! 何の関係性のない、ネームバリューのある存在を掛け合わせても駄目だったんですよ! 少なからず、勝ちたいのなら関係性の深い因子、ライセンスを引き合わせなければいけなかったんです!!」
徳川家康のライセンスをすぐさま装填し、和井内から奪った豊臣秀吉の因子、それから生成したライセンスも、まるで全てのやれることを無駄なく果たした圧倒的快感、恍惚の表情で認証するのだった。
『認証、成り上がりの天下人・豊臣秀吉……巧みな手腕で多くの偉業を成してもなお、ただ貪欲に根強く存在する、不撓不屈の男は闇の中で何を見る――』
豊臣のライセンスを装填すると、それと同時に体中に淀んだ魔力が纏わりつき、善吉を蝕み始めたのだ。圧倒的痛苦、圧倒的不快感。しかし、体の底から漲り湧いてくる力は、これまでの非ではない。次第に歪んだ魔力は、まるで触手のように姿を変えて善吉を物理的に捩じろうとしていた。
だが、それら触手たちを、善吉は無理やり従えさせたのだ。手術をし得た力ではあるが、他の手術を行った支部長よりも定着率が高いために、出力が鰻上りと言わんばかりに向上していく。あまりにもの圧に、これまで以上の力を得た二人ですら、悪寒を感じる程であった。
「さあ、二人の天下人よ!! 私に隷属しろ!! 全てを――私に捧げていけ!!」
次第に、善吉を攻撃していた歪んだ魔力は、善吉に従うようにベースの装甲を生成していき、出力を限界水域まで上昇。身体の負担なんて一切考えない、まるで麻薬の常習者が見せる麻薬への執着心のような際限のなさで、善吉を覆っていくのだった。
「行くぞ、変身ッッァアアアッッ!!」
『Crunch The double Story――――『Tokugawa/Toyotomi』Chimera game Start.』
ドライバーの起動により、魔力が全て装甲や異形の肉体へ、見る見るうちに変わっていく。以前エヴァと戦った際の家康の鎧甲冑である『伊予札黒糸威胴丸具足』と、秀吉の鎧甲冑である『色々威二枚胴具足』のデザインが綺麗にミックスされたものであった。
元々、善吉の怪人体というものは人としての要素が強く、変貌ぶりが控えめであったが、チーティングドライバーによる二枚同時変身、混在同時変貌の技術により、異形の化け物にかなり近づいたものとなっている。
まるで餓者髑髏のように骨化していた肉体は、魔力による補強でちゃんとした肉体を得ている。しかし、そこかしこに孔が空いており、そこから淀んだ魔力の性質を持った魔力を噴出したり、新たな武器を生み出したりすることが可能に。複数の腕は健在、三つ目であった頭部は新たに眼球を得たものの、それは複数の黒目が混在する複眼。しかもそれは右目だけであり、もう片方からは獣のような曲がり角が目の代わりに伸びていたのだ。
武器も豪華絢爛、以前エヴァを欺くために用いた薙刀『鯰尾藤四郎・真打』と、豊臣秀吉が刀工『吉光』に一生に一振りだけ作らせた太刀である、『一期一振・真打』が握られていた。常に燃え盛っており、触れる者全てを焼き焦がす、絶望の刀であった。本体が大坂夏の陣にて焼身となった過去があるからこそ、そうなっているのだ。
『あぁ……実に気分が良い……これまでにないほどのォ……全能感が体中に満ち溢れますねェェェッ!!』
これほどの負担のある変身を遂げても、ほんの少しばかりの身体の異常だけで済んでいる彼は、ただの口だけの天才ではなかった。正真正銘、生粋の天才であったのだ。
『さあ、始めようじゃあないか!! 天下分け目の大戦、どちらが死に至るまで終わらない、究極至高のデスゲームだァァッ!! アハハハハハハハハハッ!!』
一対の淀んだ刀と、西洋剣と純真無垢な剥き身の刀が交差する。
全ての終着点たる、最終決戦が遂に開幕したのだった。
チーティングドライバーは、そんなデバイスドライバーの長所とも短所ともとれる要素を完全排除。重い負荷をかけてでも、出力を向上させにかかる。ライセンスの持てる力を十二分に発揮し、英雄たちを潰しにかかるのがセオリーである。差別点としてそんなところで、誰も英雄で言う『二枚同時変身や三枚同時変身が出来ない』とは明言していないのだ。
「私も苦労しました。グレープ・フルボディ、その深淵にてエヴァ・クリストフと用済みになった自分の娘……名前は興味が無いのでもう忘れましたが、そこで偽者の私が追い詰められていく様子を、遠隔で見ていた時……自分の準備不足を嘆きました。どれほどの存在だろうと、自己を見つめ直し日々反省することは必要不可欠ですから」
そこから、善吉は自己の欠点を炙り出し、一行を迎え撃つべく対策を練ったのだ。まず、徹底的な戦力の分散、そして支配圏内においては休まらぬよう都度襲撃。さらにその間、善吉自身は現千葉支部、その支部長代理から奪った力をコントロール、及びライセンスの具現化の作業を行っていた。腕利きの化学者を寄り集め、最適なトレーニングプランも組み盤石の布陣を整えたのだ。
そう、これまで彼女たちが相対してきた敵に無かった、今の自分に慢心することのない『成長性』を抱えていたのだ。ビジネスの場において、基本的に永久不変のものなどあり得ない、人間の関係性ですら日ごとに移り変わっていくというのは当たり前のこと。それを自分自身で学習しているからこそ、飽くなき闘争心と成長性を得たのだ。
しかし、ここで予期せぬ事態が起こる。事の事情を知らなかったはずの礼安の出力が、想定よりも遥か上を行ったのだ。そのため、都度偵察を行う間にも、善吉はその可能性を少しでも排除できるよう、新たなプランを自分自身で設計、即実行したのだ。部下のせいにも出来ただろうに、欠片もそうすることはなく、自分に非があると考えた結果改めたのだ。
「東京デスティニーアイランドでは、不覚を取りました。そしてこうして……私の目の前に立つ貴女がたは、これまでのデータにない存在。実行するのは少々先が不明瞭になってしまうでしょうが……可能性を潰すにはこちらも身を削り、全力で当たるしかないでしょう。今まで生きてきた中で――最も不確定要素であった存在三名の内、貴女がたはその内の二名を担うことになるでしょう」
その内の一人を口にすることはなく、ただ胸に秘めるだけで留めた善吉。その靄が肥大化していく中で、礼安がそれに対して言及しようと口を開こうとした時――二人にとって予想だにしない展開が訪れるのだった。
手にしていたライセンスは、『徳川家康』の物と……『豊臣秀吉』の物であったのだ。
「そう、そちらが同じ物語で繋ぎ合わせ、あるいは似た時代の物を繋ぎ合わせて強くなるのなら――私だってそうしてやろうじゃアないかってことなんですよ!!」
もし歴史を学ぶ機会があったとしたら、確実に戦国時代の中で名の挙がる存在。言わずとも知れた戦国時代の三英傑の内の二人。それこそが徳川と豊臣。歴史上では天下人を巡った争いを、武力を伴う伴わない関係なしに、水面下で行ってきた好敵手のような関係性の二人が、運命の悪戯によって現代に引き合わせられたのだ。
元々、秘匿主義であった千葉支部の副支部長がそのような存在であることは、善吉にとっても予想外そのもの。しかしその予想外をすぐに自分の計画に取り入れる柔軟性が、善吉にはあったのだ。
「これまでの中で最も貴女がたを追い詰めた存在、待田招来……あの方の駄目だったところは、因子の掛け合わせ方でした! 何の関係性のない、ネームバリューのある存在を掛け合わせても駄目だったんですよ! 少なからず、勝ちたいのなら関係性の深い因子、ライセンスを引き合わせなければいけなかったんです!!」
徳川家康のライセンスをすぐさま装填し、和井内から奪った豊臣秀吉の因子、それから生成したライセンスも、まるで全てのやれることを無駄なく果たした圧倒的快感、恍惚の表情で認証するのだった。
『認証、成り上がりの天下人・豊臣秀吉……巧みな手腕で多くの偉業を成してもなお、ただ貪欲に根強く存在する、不撓不屈の男は闇の中で何を見る――』
豊臣のライセンスを装填すると、それと同時に体中に淀んだ魔力が纏わりつき、善吉を蝕み始めたのだ。圧倒的痛苦、圧倒的不快感。しかし、体の底から漲り湧いてくる力は、これまでの非ではない。次第に歪んだ魔力は、まるで触手のように姿を変えて善吉を物理的に捩じろうとしていた。
だが、それら触手たちを、善吉は無理やり従えさせたのだ。手術をし得た力ではあるが、他の手術を行った支部長よりも定着率が高いために、出力が鰻上りと言わんばかりに向上していく。あまりにもの圧に、これまで以上の力を得た二人ですら、悪寒を感じる程であった。
「さあ、二人の天下人よ!! 私に隷属しろ!! 全てを――私に捧げていけ!!」
次第に、善吉を攻撃していた歪んだ魔力は、善吉に従うようにベースの装甲を生成していき、出力を限界水域まで上昇。身体の負担なんて一切考えない、まるで麻薬の常習者が見せる麻薬への執着心のような際限のなさで、善吉を覆っていくのだった。
「行くぞ、変身ッッァアアアッッ!!」
『Crunch The double Story――――『Tokugawa/Toyotomi』Chimera game Start.』
ドライバーの起動により、魔力が全て装甲や異形の肉体へ、見る見るうちに変わっていく。以前エヴァと戦った際の家康の鎧甲冑である『伊予札黒糸威胴丸具足』と、秀吉の鎧甲冑である『色々威二枚胴具足』のデザインが綺麗にミックスされたものであった。
元々、善吉の怪人体というものは人としての要素が強く、変貌ぶりが控えめであったが、チーティングドライバーによる二枚同時変身、混在同時変貌の技術により、異形の化け物にかなり近づいたものとなっている。
まるで餓者髑髏のように骨化していた肉体は、魔力による補強でちゃんとした肉体を得ている。しかし、そこかしこに孔が空いており、そこから淀んだ魔力の性質を持った魔力を噴出したり、新たな武器を生み出したりすることが可能に。複数の腕は健在、三つ目であった頭部は新たに眼球を得たものの、それは複数の黒目が混在する複眼。しかもそれは右目だけであり、もう片方からは獣のような曲がり角が目の代わりに伸びていたのだ。
武器も豪華絢爛、以前エヴァを欺くために用いた薙刀『鯰尾藤四郎・真打』と、豊臣秀吉が刀工『吉光』に一生に一振りだけ作らせた太刀である、『一期一振・真打』が握られていた。常に燃え盛っており、触れる者全てを焼き焦がす、絶望の刀であった。本体が大坂夏の陣にて焼身となった過去があるからこそ、そうなっているのだ。
『あぁ……実に気分が良い……これまでにないほどのォ……全能感が体中に満ち溢れますねェェェッ!!』
これほどの負担のある変身を遂げても、ほんの少しばかりの身体の異常だけで済んでいる彼は、ただの口だけの天才ではなかった。正真正銘、生粋の天才であったのだ。
『さあ、始めようじゃあないか!! 天下分け目の大戦、どちらが死に至るまで終わらない、究極至高のデスゲームだァァッ!! アハハハハハハハハハッ!!』
一対の淀んだ刀と、西洋剣と純真無垢な剥き身の刀が交差する。
全ての終着点たる、最終決戦が遂に開幕したのだった。
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