「桜子さんのご趣味、まだ聞いていませんでしたよね?」
「私は占いと読書が好きですの。今日なんて、テレビの星座占いで一位でしたの! 思わず、飛び跳ねてしまいましたわ」
「……可愛いらしい、お方だ」
私に向けてくださる、柔らかな眼差し。
「そ、そんな。大きい声を出し、申し訳ありません……」
また私は、やってしまいました。気品がある女性は、こんなに声を上げて話さないものです。
少なくてもお姉様は、このような立ち振る舞いは致しません。
「いえ、僕は明るい女性の方が好きですよ。……桜子さんのことが知れて良かったです」
その瞬間に鳴り響く、心臓の鼓動。
……なんですの? なんですの? この胸の熱さは?
「あ! 勝手ながら幸之助さんの運勢も見てきましたの! しし座ですよね? 今日のラッキーアイテムは……」
なんとか話題を振り、盛大に話を逸せることが出来ました。しかし。
「僕は、てんびん座ですよ?」
また軽快に笑ってみせた幸之助さんに、私の額から嫌な汗が滲み出てきました。
「え? あれ? た、大変失礼しました」
また私は、はわわわとした表情をしてしまいました。
てんびん座? つまり九月二十三日から十月二十二日生まれということですの?
幸之助さんは、七月生まれの私と一ヶ月違いの八月十日生まれと記憶しました。
どうしてまた、記憶違いをしているのでしょうか?
また私は気品を忘れ、大きな声と哀れもない表情を見せ、お目汚しをしてしまいました。