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「しかし桜子さんは明治時代より続く老舗、あの西条寺(にしじょうでら)料亭を四店舗も経営されておられる西条寺家のご令嬢ですよね? 先程のお話でも毎日お勤めをされ、お父様やお兄様方を支えておられると伺いました。真に、伊集院家に嫁いでくださってよろしいのですか?」
「はい。西条寺家は五人兄弟です。父と兄三人で一店舗ずつ営んでおり、私と妹の麗子(れいこ)はお手伝いをさせてもらっています。表のことは嫁入りしてくださったお義姉様方にお任せしていますし、私達姉妹は良き縁談をいただき嫁入りすると決まっておりますの」
 口にしたことにより、ズキっと胸が痛みます。
 気付けば私の上がっていた口角はだんだんと下がってしまい、幸之助さんから目を逸らしてしまいました。
 いけません、このような表情をしては。幼き頃より、言い聞かされてきたことでしょう?

「先程もお話を伺いましたが、ご兄弟皆さん仲がよろしいですね。でもお兄様方と年が離れて、淋しくなかったですか?」
 このような姿を見せてしまったのに明るく話してくださる姿に、どれほど私は救われているのでしょうか。
「はい、お兄様方は私を大層可愛がってくれましたが十以上歳が離れていて共に遊ぶことは難しく、そのお姿をただ眺めていました。……しかし私には二つ上のお姉様がおります。幼き頃より遊んでくださり、言葉遣いや立ち振る舞いを教えてくださり、とても気品がある人です。私は心より、お姉様を尊敬致しております」
 家族の話をするうちに、またにこやかな表情に戻った私は幸之助さんに顔を向けました。
 すると何故か口元を抑え肩を震わせている、その姿がありました。

 いけませんわ。私のお姉様への想いは、一般的に「シスコン」と言うそうです。幸之助さんとの会話が楽しくなって言葉が出すぎてしまいました。

「いいですね。僕にも二つ下の弟、龍之介(りゅうのすけ)がいます。今では大切な、ビジネスパートナーでもあります」
 龍之介様はホテルの支配人様で、とても頼りになると幸之助さんは称賛されております。
 その後に続くご兄弟のお話。お二人ともチェスが趣味だそうで、その内容から仲睦ましいのだと深く感じ取れます。


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「しかし桜子さんは明治時代より続く老舗、あの|西条寺《にしじょうでら》料亭を四店舗も経営されておられる西条寺家のご令嬢ですよね? 先程のお話でも毎日お勤めをされ、お父様やお兄様方を支えておられると伺いました。真に、伊集院家に嫁いでくださってよろしいのですか?」
「はい。西条寺家は五人兄弟です。父と兄三人で一店舗ずつ営んでおり、私と妹の|麗子《れいこ》はお手伝いをさせてもらっています。表のことは嫁入りしてくださったお義姉様方にお任せしていますし、私達姉妹は良き縁談をいただき嫁入りすると決まっておりますの」
 口にしたことにより、ズキっと胸が痛みます。
 気付けば私の上がっていた口角はだんだんと下がってしまい、幸之助さんから目を逸らしてしまいました。
 いけません、このような表情をしては。幼き頃より、言い聞かされてきたことでしょう?
「先程もお話を伺いましたが、ご兄弟皆さん仲がよろしいですね。でもお兄様方と年が離れて、淋しくなかったですか?」
 このような姿を見せてしまったのに明るく話してくださる姿に、どれほど私は救われているのでしょうか。
「はい、お兄様方は私を大層可愛がってくれましたが十以上歳が離れていて共に遊ぶことは難しく、そのお姿をただ眺めていました。……しかし私には二つ上のお姉様がおります。幼き頃より遊んでくださり、言葉遣いや立ち振る舞いを教えてくださり、とても気品がある人です。私は心より、お姉様を尊敬致しております」
 家族の話をするうちに、またにこやかな表情に戻った私は幸之助さんに顔を向けました。
 すると何故か口元を抑え肩を震わせている、その姿がありました。
 いけませんわ。私のお姉様への想いは、一般的に「シスコン」と言うそうです。幸之助さんとの会話が楽しくなって言葉が出すぎてしまいました。
「いいですね。僕にも二つ下の弟、|龍之介《りゅうのすけ》がいます。今では大切な、ビジネスパートナーでもあります」
 龍之介様はホテルの支配人様で、とても頼りになると幸之助さんは称賛されております。
 その後に続くご兄弟のお話。お二人ともチェスが趣味だそうで、その内容から仲睦ましいのだと深く感じ取れます。