修行の山を降りた私たちは、近隣の村で新たな依頼を受けた。
「最近、空を飛ぶワイバーンに家畜を奪われて困ってるんです……!」
村長が必死の顔で訴える。
「任せてください。今なら、やれますから!」
私は剣の柄を握りしめ、仲間たちを見渡した。
「「「はい!」」」
ワイバーンは空を舞い、鋭い爪と炎を吐く恐ろしい魔獣。だが修行の成果を見せるときが来た。
「リサラ様、右上から来ます!」
「わかってる!」
私は覚えたばかりの新しい魔法を詠唱する。
青白い光が剣先を包み、跳躍の勢いで空へと駆け上がる。
「はああああっ!」
ワイバーンの翼を斬り裂き、ガルドの追撃が入り、ユリエルの魔法弾が命中する。
リッドは影のように動き、地上からの奇襲を仕掛けた。
「これで……終わり!」
私の魔法剣が閃き、ワイバーンは絶叫を上げながら墜落した。
大地に激突するその瞬間、四人の息がそろっていた。
「やった……!本当にやったぞ!」
「これが修行の成果です……!」
「リサラ様、すごかった!」
村人たちが歓声を上げ、私たちは一日だけの英雄になった。
――その夜。
「じゃあ、部屋割りは……。」
宿屋は満室で、二人部屋がひとつ空いているだけだった。リッドと同室になった私。
「……静かな夜ですね。」
「う、うん。今日はよく眠れそう。」
と、思った瞬間。
リッドがベッドに腰かけ、真剣な瞳でこちらを見つめた。
「リサラ様……俺、決めました。魔王のことなんて忘れさせてみせます。」
「えっ……?」
次の瞬間、リッドが私を押し倒した。
柔らかい布団に背中が沈み、彼の顔が間近に迫る。
「ちょ、ちょっとリッド!?待って、今は……!」
「俺、本気ですから。」
心臓が早鐘のように鳴り、言葉が出ない。
――翌朝。
「リッド……お前……!」
「……壁が薄いんだって言っただろう!」
廊下で待ち構えていたガルドとユリエルが、リッドを左右から羽交い締めにしていた。
リッドは顔を真っ赤にして叫ぶ。
「ち、違うんだ! 俺はただ……!」
「う、うう……恥ずかしい……。」
私は顔を覆ってうずくまりたくなった。
宿屋の主人が「まぁ若いねぇ」と笑っているのがまた恥ずかしい。
それでも、仲間たちの声に囲まれながら、私はまた新たな一歩を踏み出すのだった。
次は、どんな戦いが待っているのだろうか――。