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第12話:コボルト戦と、夜のドキドキ

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森の奥は薄暗く、湿った土と苔の匂いがする。

木々の間を走り抜ける影、コボルトの群れがこちらを取り囲んだ。

「来るぞ!」

ガルドが剣を構え、リッドが素早く左右を確認する。

ユリエルは詠唱を始め、私は一歩前へ出た。

「はぁっ!」

剣を振るうと、コボルトたちは簡単に斬り伏せられる。

けれど――

「チッ、あいつがリーダーか!」

ガルドが指さした先、ひときわ俊敏な影が木の枝を渡り歩くように跳ね回っている。

リーダーらしいコボルトは、鋭い短剣をちらつかせ、こちらを挑発するように素早く近づいては離れていく。

「くっ……素早い!」

「追い込めばいい!」

私たちは四人で連携を取りながら追いかけた。

だが奴は、左へ右へと翻弄し、私は枝を避けながら必死で追う。

が、次の瞬間――

「うわっ!」

足元の根っこに躓き、体勢を崩した私。

そのままガルドとぶつかり、彼の胸に思わず抱きつくような形で倒れ込んだ。

「だ、大丈夫ですか!?」

「ご、ごめん!」

ガルドの腕が私の背に回っていて、顔が近い。

……いやいやいや、戦闘中だし!

真っ赤になりつつ、すぐに体勢を立て直した。

「しっかりして、リサラ様!」

「……う、うん!」

集中し直し、最後はリッドの罠が決まり、リーダーは捕縛された。

残ったコボルトたちは散り散りになり、森に静けさが戻る。

「やったな!」

「これで村も安心だな。」

私たちはほっと息をつき、村へ帰還した。

――その夜。

「で、部屋割りどうするんです?」とリッド。

「昨日はガルドだったし……次は俺だ!」とユリエルが静かに宣言する。

「いや、俺だって……!」結局、ユリエルとリッドのじゃんけん対決が始まった。

結果―― 「よし、俺の勝ちだ。」ユリエルが眼鏡を押し上げて小さく笑う。

荷物を持って部屋に入るとき、ユリエルが後ろから来て…… 「っと、足元が……!」 「きゃっ!」足がもつれたユリエルが、私を抱きとめようとして逆にベッドに押し倒す形に。

 顔が近い。息が触れる。

気づけば――

「……っ!」  ほんの一瞬、彼の唇が私の唇に触れた。キス、だった。

「ご、ごめんなさい!! 今のは……事故で……。」

「……っ……!」

胸がどきどきして、うまく言葉が出ない。

ユリエルも顔を赤くして眼鏡を直しながら立ち上がる。

その後はお互い変に意識し合ってしまい、布団に入っても眠れなかった。

窓の外では夜風がやさしく木々を揺らすだけなのに、心臓の音がやけに大きく感じられる。

「……こんなのも、悪くない……かもね。」

小さな声で呟き、私は目を閉じたけれど、今夜はなかなか眠れそうになかった。


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森の奥は薄暗く、湿った土と苔の匂いがする。
木々の間を走り抜ける影、コボルトの群れがこちらを取り囲んだ。
「来るぞ!」
ガルドが剣を構え、リッドが素早く左右を確認する。
ユリエルは詠唱を始め、私は一歩前へ出た。
「はぁっ!」
剣を振るうと、コボルトたちは簡単に斬り伏せられる。
けれど――
「チッ、あいつがリーダーか!」
ガルドが指さした先、ひときわ俊敏な影が木の枝を渡り歩くように跳ね回っている。
リーダーらしいコボルトは、鋭い短剣をちらつかせ、こちらを挑発するように素早く近づいては離れていく。
「くっ……素早い!」
「追い込めばいい!」
私たちは四人で連携を取りながら追いかけた。
だが奴は、左へ右へと翻弄し、私は枝を避けながら必死で追う。
が、次の瞬間――
「うわっ!」
足元の根っこに躓き、体勢を崩した私。
そのままガルドとぶつかり、彼の胸に思わず抱きつくような形で倒れ込んだ。
「だ、大丈夫ですか!?」
「ご、ごめん!」
ガルドの腕が私の背に回っていて、顔が近い。
……いやいやいや、戦闘中だし!
真っ赤になりつつ、すぐに体勢を立て直した。
「しっかりして、リサラ様!」
「……う、うん!」
集中し直し、最後はリッドの罠が決まり、リーダーは捕縛された。
残ったコボルトたちは散り散りになり、森に静けさが戻る。
「やったな!」
「これで村も安心だな。」
私たちはほっと息をつき、村へ帰還した。
――その夜。
「で、部屋割りどうするんです?」とリッド。
「昨日はガルドだったし……次は俺だ!」とユリエルが静かに宣言する。
「いや、俺だって……!」結局、ユリエルとリッドのじゃんけん対決が始まった。
結果―― 「よし、俺の勝ちだ。」ユリエルが眼鏡を押し上げて小さく笑う。
荷物を持って部屋に入るとき、ユリエルが後ろから来て…… 「っと、足元が……!」 「きゃっ!」足がもつれたユリエルが、私を抱きとめようとして逆にベッドに押し倒す形に。
 顔が近い。息が触れる。
気づけば――
「……っ!」  ほんの一瞬、彼の唇が私の唇に触れた。キス、だった。
「ご、ごめんなさい!! 今のは……事故で……。」
「……っ……!」
胸がどきどきして、うまく言葉が出ない。
ユリエルも顔を赤くして眼鏡を直しながら立ち上がる。
その後はお互い変に意識し合ってしまい、布団に入っても眠れなかった。
窓の外では夜風がやさしく木々を揺らすだけなのに、心臓の音がやけに大きく感じられる。
「……こんなのも、悪くない……かもね。」
小さな声で呟き、私は目を閉じたけれど、今夜はなかなか眠れそうになかった。