ゴブリン退治を終え、私たちは町の門をくぐった。
門番の人たちが拍手で迎えてくれるのを見て、思わず頬が緩む。
「勇者様、皆さま、本当にありがとうございました!」
衛兵隊長らしき人が頭を下げる。
そして、懐から重そうな袋を取り出した。
「これはささやかですが、報酬でございます。」
袋を開けると、銀貨がぎっしり。おお、異世界で初めてのお金!
「わぁ……こんなに……!」
「すごい! これで宿代も賄える!」
「……ちょっといい装備も買えるな。」
さっそく市場へ繰り出すと、カラフルな布のテントや屋台が並び、活気にあふれていた。
剣士ガルドは真剣な顔で剣を吟味し、リッドは新しい短剣を手に取り、ユリエルは魔導書をひとしきり眺めてから何冊か購入した。
「リサラ様、これ、どうです? 防具としても軽くて丈夫らしいです。」
「へえ、ありがとう。じゃあ、これにしようかな。」
買い物を終えたあと、南通りの噂の菓子屋に寄った。
甘い香りが店の外まで漂っていて、思わず胸が高鳴る。
「わぁ……クッキーがいっぱい!」
「こ、こんなに種類があるのか……」
「うわ、これもおいしそう!」
テーブル席に腰を下ろし、クッキーをひとつ手に取ってかじると、サクッとした食感のあとにほろりと甘さが広がった。
「……美味しい。」
「これは……疲れが吹き飛ぶな。」
「うん……俺、こんなの初めて食べた。」
甘さにほっと息をついたところで、ガルドが真剣な顔をした。
「で、これからのことだが……。」
「婚活の話じゃなくて、旅の話をしよう。」
ユリエルがすかさず付け加える。私は苦笑いしながらうなずいた。
「魔王を倒すなら、その前に四天王的なやつがいるはずよね。ゲームとかだとだいたいそうだし。」
「情報ならある。北の山に“氷の牙”って呼ばれる将がいるって聞いた。」
ユリエルが地図を広げる。
そこには山脈の奥に小さな赤い印がついていた。
「じゃあまずはそこを目指すのね?」
「おう! そいつを倒せば、王都への道も開けるだろう!」ガルドが拳を握る。
「……山って、盗賊的に罠とか多いから気をつけような。」リッドが少し緊張した顔で言う。
「よし……じゃあ決まりね!」私はクッキーをもう一口かじってから、三人を見渡した。
「まずは四天王のひとり、“氷の牙”を探しに行くわよ!」
「「「おーっ!!」」」
こうして、甘いクッキーの余韻を胸に、私たちは新たな目標を胸に宿を後にした。勇者リサラと童貞三勇士の旅は、まだまだ続く――。