表示設定
表示設定
目次 目次




第5話:ゴブリン退治と、勇者の本気

ー/ー



朝。町の門の前に立つと、衛兵たちが困った顔で集まっていた。

「最近、近くの森からゴブリンが出てきて……畑や家畜に被害が出てるんですよ。」

そう言って頭を下げられたら、勇者として断れない。

「わかりました。私たちが退治します。」

「り、リサラ様!? いきなり戦闘だなんて……」

「え、えっと……大丈夫ですか?」

「ゴブリンって意外と手強いよ!?油断しちゃだめだ!」

三人が慌てて装備を確認する。

その横で、私は剣を軽く握った。

森に入ると、すぐに気配を感じた。

茂みの向こう、ぎらぎらした目がこちらを覗いている。

「来る……!」

ゴブリンが三匹、木陰から飛び出した。

牙をむき、錆びたナイフを振りかざしている。

「囲まれる前に……っ!」

ガルドが前に出て盾を構え、ユリエルが詠唱を始め、リッドが素早く回り込もうとする。

けれど、なんだろう、この程度なら……。

私は、剣を軽く横薙ぎに振った。

――一閃。

風が鳴り、次の瞬間、三匹のゴブリンが同時に吹っ飛んでいた。

剣の軌跡が光を残し、地面に深く刻まれた線が見える。

「……え?」

「え、えええ!? ゴブリンが……一撃で!?」

「な、なに今の……。」

三人の声が裏返る。私も一瞬ぽかんとした。え、これ、やっぱり召喚特典?

さらに背後から二匹のゴブリンが現れた。

思わずくるりと回転して、剣を逆手に持ち直す。

刃が閃き、二匹はその場に崩れた。

「……つ、強い……。」

「勇者様、すごい……!」

「俺たち、見てるだけだった……。」

私は剣を鞘に収め、肩をすくめた。

「なんか、意外といけるみたい。」


三人はそろって口を開けたまま固まっている。

その顔を見て、なんだかおかしくなって笑いそうになったけど、ちゃんと締めないと。

「町に戻りましょう。これで、しばらくは被害も出ないはず。」

「……はい!」

「す、すごすぎて言葉が……。」

「リサラ様……つよい子、産んでくれそうだな……。」

「えっ、今なんて!?」

「い、いえなんでもないです!!」

リッドが耳まで真っ赤にしながら首をぶんぶん振る。

なんだか胸の奥がくすぐったくて、私は思わず笑ってしまった。

こうして、女勇者リサラが圧倒的な力を見せたゴブリン退治は、町にとっても私たちにとっても忘れられない一日となった。


スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む 第6話:報酬とクッキーと、次の旅路


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



朝。町の門の前に立つと、衛兵たちが困った顔で集まっていた。
「最近、近くの森からゴブリンが出てきて……畑や家畜に被害が出てるんですよ。」
そう言って頭を下げられたら、勇者として断れない。
「わかりました。私たちが退治します。」
「り、リサラ様!? いきなり戦闘だなんて……」
「え、えっと……大丈夫ですか?」
「ゴブリンって意外と手強いよ!?油断しちゃだめだ!」
三人が慌てて装備を確認する。
その横で、私は剣を軽く握った。
森に入ると、すぐに気配を感じた。
茂みの向こう、ぎらぎらした目がこちらを覗いている。
「来る……!」
ゴブリンが三匹、木陰から飛び出した。
牙をむき、錆びたナイフを振りかざしている。
「囲まれる前に……っ!」
ガルドが前に出て盾を構え、ユリエルが詠唱を始め、リッドが素早く回り込もうとする。
けれど、なんだろう、この程度なら……。
私は、剣を軽く横薙ぎに振った。
――一閃。
風が鳴り、次の瞬間、三匹のゴブリンが同時に吹っ飛んでいた。
剣の軌跡が光を残し、地面に深く刻まれた線が見える。
「……え?」
「え、えええ!? ゴブリンが……一撃で!?」
「な、なに今の……。」
三人の声が裏返る。私も一瞬ぽかんとした。え、これ、やっぱり召喚特典?
さらに背後から二匹のゴブリンが現れた。
思わずくるりと回転して、剣を逆手に持ち直す。
刃が閃き、二匹はその場に崩れた。
「……つ、強い……。」
「勇者様、すごい……!」
「俺たち、見てるだけだった……。」
私は剣を鞘に収め、肩をすくめた。
「なんか、意外といけるみたい。」
三人はそろって口を開けたまま固まっている。
その顔を見て、なんだかおかしくなって笑いそうになったけど、ちゃんと締めないと。
「町に戻りましょう。これで、しばらくは被害も出ないはず。」
「……はい!」
「す、すごすぎて言葉が……。」
「リサラ様……つよい子、産んでくれそうだな……。」
「えっ、今なんて!?」
「い、いえなんでもないです!!」
リッドが耳まで真っ赤にしながら首をぶんぶん振る。
なんだか胸の奥がくすぐったくて、私は思わず笑ってしまった。
こうして、女勇者リサラが圧倒的な力を見せたゴブリン退治は、町にとっても私たちにとっても忘れられない一日となった。