朝。町の門の前に立つと、衛兵たちが困った顔で集まっていた。
「最近、近くの森からゴブリンが出てきて……畑や家畜に被害が出てるんですよ。」
そう言って頭を下げられたら、勇者として断れない。
「わかりました。私たちが退治します。」
「り、リサラ様!? いきなり戦闘だなんて……」
「え、えっと……大丈夫ですか?」
「ゴブリンって意外と手強いよ!?油断しちゃだめだ!」
三人が慌てて装備を確認する。
その横で、私は剣を軽く握った。
森に入ると、すぐに気配を感じた。
茂みの向こう、ぎらぎらした目がこちらを覗いている。
「来る……!」
ゴブリンが三匹、木陰から飛び出した。
牙をむき、錆びたナイフを振りかざしている。
「囲まれる前に……っ!」
ガルドが前に出て盾を構え、ユリエルが詠唱を始め、リッドが素早く回り込もうとする。
けれど、なんだろう、この程度なら……。
私は、剣を軽く横薙ぎに振った。
――一閃。
風が鳴り、次の瞬間、三匹のゴブリンが同時に吹っ飛んでいた。
剣の軌跡が光を残し、地面に深く刻まれた線が見える。
「……え?」
「え、えええ!? ゴブリンが……一撃で!?」
「な、なに今の……。」
三人の声が裏返る。私も一瞬ぽかんとした。え、これ、やっぱり召喚特典?
さらに背後から二匹のゴブリンが現れた。
思わずくるりと回転して、剣を逆手に持ち直す。
刃が閃き、二匹はその場に崩れた。
「……つ、強い……。」
「勇者様、すごい……!」
「俺たち、見てるだけだった……。」
私は剣を鞘に収め、肩をすくめた。
「なんか、意外といけるみたい。」
三人はそろって口を開けたまま固まっている。
その顔を見て、なんだかおかしくなって笑いそうになったけど、ちゃんと締めないと。
「町に戻りましょう。これで、しばらくは被害も出ないはず。」
「……はい!」
「す、すごすぎて言葉が……。」
「リサラ様……つよい子、産んでくれそうだな……。」
「えっ、今なんて!?」
「い、いえなんでもないです!!」
リッドが耳まで真っ赤にしながら首をぶんぶん振る。
なんだか胸の奥がくすぐったくて、私は思わず笑ってしまった。
こうして、女勇者リサラが圧倒的な力を見せたゴブリン退治は、町にとっても私たちにとっても忘れられない一日となった。