第四話 組み手
ー/ー「てりゃあああああ!!」
「とりゃああああああ!!」
森の静寂が破れ、アデルの甲高い声が跳ね返った。
朝の木漏れ日が揺れ、湿った土が足裏でしなる。
アデルの小さな拳と蹴りが、まるで暴風のようにパニアへ降り注ぐ。
だが老人は終始笑顔のまま。
指一本で弾いたり、腰をひねって避けたり、紙一重ですり抜ける。
「いいぞ〜アデル。動きが自然になってきたの〜」
「クソ!全然あたらねぇ!!なんで視線誘導してんのに引っかからないんだよ!!」
アデルの額には汗が浮かび、息は荒い。
それでも足は止まらない。
小柄な体に宿る“負けん気”が、止めるという選択を許さない。
「アデルよ、視線誘導はの〜……たまには本当に見た方向へ打たんと効かんぞ」
パニアは余裕の声で助言しながら、アデルの攻撃を片手で受け流す。
「本当に狙ってるのか、それともフェイントなのか……相手に考えさせるんじゃ。そうすりゃ動きが鈍る。攻撃も通る」
「む、むかつく……!なんでそんな涼しい顔してんだよ!!」
アデルの動きがさらに加速する。
呼吸のリズムが変わり、踏み込みが鋭くなる。
老人の目が、わずかに細まる。
(……おお。成長が早いのう)
アデルの拳が伸び切ったその瞬間。
パニアの姿がふっと消えた。
「!? どこ――」
パンッ!!!
乾いた破裂音が森に響く。
パニアの両手がアデルの顔の前で叩かれ、アデルは思わず目を強く閉じた。
「……はい、これが“ねこだまし”じゃ」
アデルは硬直したまま口を開いた。
「こ、こすい……!!」
「技と言うのは全部こすいんじゃよ。覚えておけ」
パニアはひょいと背を向ける。
「さて、飯の準備でもするかの~」
「ちょ、待てよパニア爺ーー!!まだやれるっての!!」
「腹は減っとらんのか〜? あれだけ暴れてたじゃろ」
アデルの腹がぐぅぅと鳴る。
「……ちょっとだけ、減ってる……!」
「ほれ見い。まずは飯じゃ」
「今そんな気分じゃねぇし!」
「わしが腹減った」
「なんでだよ!!」
パニアは焚き火の準備を始める。
手際が異様に良い。木を組み、魔石で火をつけ、煙が真っ直ぐ上に伸びる。
アデルはブツブツ文句を言いながらも隣に座る。
「アデルよ。飯を食ったら、お主に“特別な技”を教えたいんじゃ」
アデルの体がビクリと跳ねる。
「……技!?」
「そうじゃ。ただし、かな〜り集中せんと出来ん」
「なんでそれを先に言わねぇんだよ!!」
「先に言ったら落ち着かんじゃろ」
「くそじじい……!!」
アデルは文句を言いながらも、目は輝いていた。
⸻
パニアが捌き始めた肉は、ビックボアのもの。
焚き火の音がパチパチと鳴り、肉の脂が落ちる度に香ばしい匂いが立つ。
「いっただきまぁぁぁす!!」
アデルは勢いよくかぶりつく。
「うめぇぇぇ!!!!!」
周囲の鳥が驚いて飛び立つほどの声だ。
パニアは苦笑しつつも、どこか嬉しそうに目を細めていた。
アデルは食べ終えると即座に寝落ちした。
「まったく……寝るのも早いのう」
パニアはアデルの横顔を見つめる。
無邪気な寝息。小さな拳を握ったままの寝姿。
その瞬間、パニアの心に――黒い影が差した。
・
・
・
血に濡れた森。
命乞いする男。
冷たい命令。
逆らえない自分。
振り下ろした拳。
砕ける骨。
飛び散る赤。
水たまりに映ったのは――
処刑人の顔をした自分だった。
・
・
・
「――ッ!!」
パニアは飛び起き、大きく肩で息をした。
汗が額から滴る。
「……久しぶりに……ひどい夢じゃ……」
アデルはまだ眠っている。
その顔を見て、パニアは静かに立ち上がった。
川の水をすくい、顔に叩きつける。
(アデルには……絶対に悟らせん)
冷水で顔を洗い続け、心を落ち着けていると――
アデルの大声でパニアは現実に戻った。
「ふあぁぁぁ!!よく寝たーー!」
「もう起きたんか。まったく元気じゃの」
「パニア爺!昨日の技、早く教えてくれ!!」
アデルは老人の服を引っ張る。
「服を引っ張るでない。落ち着け、場所を移動するぞ」
パニアは走り出し、アデルも慌てて後を追う。
朝の光が木々の間を流れ、足元の草がしなる。
アデルの息遣いが荒くなり、額に汗が滲む。
「ほ〜う。この速度について来れるとはの〜」
「余裕だし!これは気合いだし!」
「ちなみにあと二時間、このペースで行くが?」
アデルの顔が引き攣る。
「な……めるな……オレは……最強……っ」
「声が小さいぞ、アデル〜」
「うるせえーー!!」
パニアは笑いながら走り続ける。
そして――足を止めた。
巨大な岩があった。
灰色の巨塊で、苔が部分的に生え、堂々と構えている。
「アデルよ。よく見ておけ」
パニアは岩に指を添えた。
次の瞬間――
ドンッ!!!
岩が拳形に抉れ、丸く穴が空いた。
アデルは声を失う。
「どうじゃアデル。すごいじゃろ。
これが“ペガルイム・プルス”じゃ」
アデルの心は爆発した。
「はやく教えろーーーー!!!!!」
巨大な岩に空いた“拳型の穴”を前に、アデルは目を見開いたまま固まっていた。
拳は触れていない。
なのに岩の中心だけが、えぐられたように吹き飛んでいる。
「……なんだよ……これ……」
喉からかすれた声が漏れた。
パニアは、岩についた自分の指跡を軽くなぞるように触り、振り返った。
「アデルよ、これが“至近距離殴り(ペガルイム・プルス)”じゃ」
「……どうやったんだよ!!オレにもできるのか!?早く教えろよパニア爺!」
少年は感情のまま地面を蹴り、パニアの両肩に手を置く。
異様な興奮で身体を震わせている。
「落ち着けい。順番に教えるから離すんじゃ」
アデルは慌てて手を放した。
パニアはそこらの木をへし折り、太い幹を短い台に加工した。
木肌の匂いがふわりと漂い、アデルはゴクリと唾を飲む。
「この台の上に石を置く。まずはこれじゃ」
パニアは地面から拳大の石を拾い上げ、ポンと乗せた。
「まずは、これを砕いてみい」
「いきなり!? やり方を教えろよ!」
パニアは笑いながらアデルの腕を持つ。
「右腕を前に出すんじゃ。人差し指は軽く石に触れる程度でよい」
アデルは言われた通りに姿勢を整える。
だが、肩には無駄な力が入り、背筋は反り返り気味だ。
気合いだけは百人前だが、形はまだまだ。
「肩の力を抜け。背筋はまっすぐじゃ。反っとると逆に力が逃げてしまう」
「こ、こうか?」
「それじゃ。左右の足は軽く開いて、膝はほんの少し曲げるんじゃ」
アデルは姿勢を整え、拳を握り直す。
胸の前に漂う空気が、わずかに震えたような気がした。
「よし!やるぞパニア爺!」
「うむ。打ってみい」
アデルは息を吸い、肩を引き、後ろ足を蹴る。
「ペガルイム・プルス!!」
バンッ!
石は……ただ前に飛んだだけだった。
「なんでだよぉぉぉぉ!!」
アデルは頭を抱える。
パニアは鼻を鳴らし、アデルの背中を軽く叩いた。
「打ち方は悪くはない。じゃが“芯”が通っておらん。マナを拳に集中させるんじゃよ」
「オレ魔法使えねぇんだぞ!?そんなオレにマナなんてあるのか!?」
「誰しも体内にはマナがある。問題は“感じ取れるかどうか”じゃ」
パニアはアデルの胸に軽く手をあてる。
「目を閉じて深く息を吸え。森の音を聞くんじゃ」
アデルはゆっくりと目を閉じた。
最初は焦りで呼吸が荒い。
だが、森の音が徐々にアデルを包み込んでいく。
鳥のさえずり。
草のざわめき。
川のせせらぎ。
風が肌を撫で、汗を冷ます。
しばらくすると――
――ドクン。
心臓の音が指先まで響くように感じた。
熱が流れ、拳に集まっていく。
じんじんとした温かさが、拳から腕、胸へと繋がる。
「……きてる……何か……ある……!」
アデルが拳を握りしめると、わずかに空気が揺れた。
「いける!!パニア爺!!」
「やってみい」
アデルは全力で前に踏み込み、拳を引き絞る。
「ペガルイム・プルス!!!」
ボンッ!!
石が粉々に砕け、塵となって風に舞った。
「……っしゃああああああああ!!やったぞ!!パニア爺!!オレ、できたぞ!!」
アデルは拳を突き上げ、全身で喜びを表現していた。
パニアは思わず口をあんぐり開ける。
(……嘘じゃろ……二回目で?)
普通なら数週間はかかる技。
それを五歳の子供が数分でやってのける。
「アデルよ……やはり……お主は規格外じゃ……」
だがアデルは老人の衝撃に気づかず、興奮のまま岩の破片を拾い上げた。
「パニア爺!!もっとでかいの砕くぞ!!次はあの石でいいよな!!」
「お、おう……落ち着けいアホ……」
しかしアデルは聞いていない。
もう次の石へ走りだしていた。
⸻
◆ 二週間後
森の静寂を破るように――
ズガァァァン!!!
巨石に丸い穴が空き、破片が雨のように周囲へ散った。
粉塵が朝の光を反射し、黄金の霧のように広がる。
アデルは拳を握り、胸を張って振り向く。
「パニア爺!!見ただろ!?一メートルの岩、貫通できたぞ!!」
パニアは腕を組み、ふむ、と深く頷いた。
(……早い。本当に早すぎる。
常識を越えた成長じゃ)
アデルはこの二週間、休むことを知らなかった。
食べて、寝て、起きて、打つ。
失敗を笑い、成功を叫び、倒れても必ず立ち上がった。
そして今、幼い身で“技を完成”させた。
「パニア爺!!ちょっと行ってくる!!」
アデルは嬉しさのあまり森の奥へ走りだした。
「アデル?!どこへ行くんじゃ!」
返事はない。
少し経つと――森の奥から、
ピギャアァァァァ!!
という悲鳴が響いた。
パニアの顔が青ざめる。
「まさか……!」
数分後。
アデルが巨大なビックボアを肩に担いで戻ってきた。
その体は二メートル級。
毛は逆立ち、牙は太く、重量は大人二人分はある。
アデルはケロッと笑っていた。
「パニア爺!リベンジしてきた!!」
「……アデルよ……お主、ビックボアと戦ったのか……?」
「当たり前だろ!!前に負けたしな!!今のオレなら絶対勝てると思ったんだ!!」
パニアはビックボアの腹を見る。
そこには――
拳の形に深くへこんだ痕が残っていた。
「一撃で……倒したのか……?」
「おう!!攻撃は一発も食らってねぇ!!余裕だったぞ!!」
パニアは天を仰いだ。
(実戦で完成させたんか……この子は……化け物か……?)
だが同時に誇りも込み上げた。
アデルは胸を張って言った。
「パニア爺!!オレもう島出れるだろ!?
強いし!!最強だし!!オレはもっと強い奴と戦いたい!!」
パニアはゆっくり息を吸い、アデルに向き直った。
パニアは一度目を伏せ、それからアデルを真っ直ぐ見返した。
「アデルよ。この世界のことを、ほとんど話しておらんかったな」
「……なんの話だ?」
アデルは久しぶりに見るパニアの真剣な顔に、自然と口を閉じた。
「この世界はのう、早くても十三歳にならんと、冒険には出られんのじゃよ」
「なんでだよ」
アデルは即座に噛みつく。
「この世界の偉い人たちが決めた“決まり”じゃ。
アデルはまだ五歳。しかも、悪い人間は多くおる。
その辺をフラフラ歩いておったら、人攫いに連れていかれるわい」
「十三歳って、まだまだじゃん!!
オレ、早く最強の男になりたいんだ!! そんなルール知らん!!」
地面を思い切り蹴る。
その音に、近くの鳥が一羽、驚いて飛び立った。
パニアは息をひとつ吐いてから、静かに続ける。
「アデルよ。早く島を出たい気持ちはわかる。
だが“最強”を証明するには、どうする?」
問いかけられ、アデルは唇を噛む。
「片っ端から強い奴と戦うか?
それとも、魔物だけをひたすら倒して回るか?」
パニアは首を振った。
「どれも、分かりやすいようで、実は分かりづらい。
じゃが、ひとつだけ“誰の目にもわかる証明方法”がある」
風が、一瞬静まったように感じた。
アデルが目を上げる。
「……なんだよ、それ」
パニアは、空のずっと先を見つめるようにして告げる。
「塔の攻略じゃ」
「塔?」
「塔は、この世界で二十基ある。
そのすべてを攻略すれば、“どんな願い事でも叶えられる”と聞いておる。
その偉業を成し遂げた者は、攻略者として、世界に名を轟かせることになるじゃろうな」
アデルの目が、さらに鋭く光る。
「塔の攻略? そんなの簡単そうだな!! オレなら余裕でできるぜ!!」
「何を思って余裕かましておるのか分からんがの……」
パニアは口の端をわずかに上げる。
「三十年間、今だに新しい攻略者が現れておらん。
三十年前には攻略者がいたが、それでも片手で数えるくらいじゃ」
「ただビビって挑戦してないだけじゃねーのか? 弱い奴が多いんだな」
アデルは鼻を鳴らす。
パニアは首を横に振った。
「それは分からん。じゃが、アデルだけでは塔に挑むことはできん」
「どういうことだよ、パニア爺。オレだけでは塔に挑めないって」
「塔はのう、元々“聖女の試練場”として造られたものじゃ。
聖女がおらんと、扉すら開かん。
逆に言えば、聖女がいれば塔に入れる。……それだけじゃ」
アデルは眉をひそめる。
「聖女ってなんだ?」
パニアは、知っている範囲をかいつまんで話して聞かせた。
神の加護を受けたとされる存在であること。
各地に生まれ、塔に挑むかどうかは本人次第であること。
誰かの願いを叶えるためではなく、自分の役目や信念のために塔へ入ること。
ひと通り聞き終えると、アデルはむしろ顔を明るくした。
「じゃあ、聖女って奴と仲間になればいいんだな!」
「まあ、そういうことじゃの〜。塔に挑むなら、それしか方法はない」
「パニア爺。塔を全部攻略すると、どんな願い事も叶えられるんだよな!」
「ああ、叶えられると聞いた」
アデルは空を見上げる。
「それなら、みんな聖女についていく奴、めちゃくちゃ多いんじゃねえのか?
他の奴らも、叶えたい願い事、沢山あるだろうし」
「願い事は、一人一回きりしかできんらしいぞ。
確かにアデルの言う通り、聖女の仲間になろうとする者は多いかもしれん。
じゃがな、実際は“そこまで多くはない”んじゃよ」
「なんでだ?」
「塔がある場所は、どこも“普通の人間 が簡単に行ける場所”ではないからじゃ」
パニアは指を一本立てて見せた。
「ここから近い場所にある塔だと、“トートル諸島”に一基あるらしい。
だが、その塔が聳え立つ周囲は、深い森になっておるそうじゃ。
常に薄く霧が出ていてな。空から、時々、岩くらいの大きさの“水”が落ちてくるらしい」
「なんだそりゃ!!」
アデルは思わず素っ頓狂な声を出す。
「岩くらいの水ってなんだよ……」
「さあな。わしも実際に見たわけではない。
ただ、塔の周りはどこも危険な場所が多い、というのは事実らしい」
パニアは静かに続ける。
「だからのう。塔に着く前に死んでしまうこともあるんじゃ。
塔を攻略したからといって、お金が手に入るわけでもない。
死ぬリスクばかり高い。
そういう理由もあって、旅に出る者自体が、元々そう多くはないのじゃ」
アデルは黙って聞いていた。
「それだったら冒険者ギルドに入って、自分に合った依頼を選び、
それをこなして生きていった方がよっぽど安全で、お金になるわい」
パニアは、そこで少し意地悪そうに笑った。
「どうじゃアデル。怖くなったか?」
アデルは、ほんの少しだけ目を閉じ――
そして胸を張った。
「へっ、怖いって感情はオレにはねーよ!
今はワクワクが止まらねーだけだ! オレはこの島しか知らない。
でかい水が落ちてくる森なんて、一回見てみたいしな!」
口元が、少年らしく大きく笑みに変わる。
「だから余計に楽しみでしかない!
この島の外はすげー場所なんだな!
パニア爺の話聞いたら、ますます島から出たくなったぞ!!」
パニアは肩の力を少しだけ抜いた。
「一旦落ち着くのじゃ、アデル。
お主は今、五歳。十三になるまで――あと八年ある。
旅に出られるような歳になるまで、この島で今よりもっと強くなるんじゃ。
わしが徹底的にアデルを鍛え、強くさせるからの!」
“今よりもっと強くなる”
その言葉が、アデルの胸にしっかりと刻まれる。
しばらく黙っていたが、やがて大きく息を吐き出した。
「……パニア爺。わかったよ」
アデルは握りこぶしを天に突き上げる。
「このワクワク感を、八年後までとっとく!!」
パニアは笑い、自然と構えを取った。
「よし。なら、今できることをやろうかの」
アデルも同じ構えを取る。
拳を握り、地面を踏みしめる。
目の前にいるのは、自分を拾い、育ててくれた男。
そしていつか越えると決めた、最初の壁。
「パニア爺……行くぞ!」
「かかってこい、アデル」
朝の光が、二人の影を長く伸ばした。
拳と拳がぶつかり合う音が、
再び森に響き渡る。
――叫び島の少年アデルは、この小さな島で拳を磨きながら、
まだ見ぬ塔と、まだ見ぬ世界と、まだ見ぬ“聖女”を夢見る。
その先に待つものが、祝福か、それとも試練か――
今の彼は、まだ知らない。
だが一つだけ、はっきりしている。
彼は必ず島を出る。十三歳になったその日、笑って拳を掲げて。
物語は、静かに、しかし確実に、塔へ向かって動き始めていた。
「とりゃああああああ!!」
森の静寂が破れ、アデルの甲高い声が跳ね返った。
朝の木漏れ日が揺れ、湿った土が足裏でしなる。
アデルの小さな拳と蹴りが、まるで暴風のようにパニアへ降り注ぐ。
だが老人は終始笑顔のまま。
指一本で弾いたり、腰をひねって避けたり、紙一重ですり抜ける。
「いいぞ〜アデル。動きが自然になってきたの〜」
「クソ!全然あたらねぇ!!なんで視線誘導してんのに引っかからないんだよ!!」
アデルの額には汗が浮かび、息は荒い。
それでも足は止まらない。
小柄な体に宿る“負けん気”が、止めるという選択を許さない。
「アデルよ、視線誘導はの〜……たまには本当に見た方向へ打たんと効かんぞ」
パニアは余裕の声で助言しながら、アデルの攻撃を片手で受け流す。
「本当に狙ってるのか、それともフェイントなのか……相手に考えさせるんじゃ。そうすりゃ動きが鈍る。攻撃も通る」
「む、むかつく……!なんでそんな涼しい顔してんだよ!!」
アデルの動きがさらに加速する。
呼吸のリズムが変わり、踏み込みが鋭くなる。
老人の目が、わずかに細まる。
(……おお。成長が早いのう)
アデルの拳が伸び切ったその瞬間。
パニアの姿がふっと消えた。
「!? どこ――」
パンッ!!!
乾いた破裂音が森に響く。
パニアの両手がアデルの顔の前で叩かれ、アデルは思わず目を強く閉じた。
「……はい、これが“ねこだまし”じゃ」
アデルは硬直したまま口を開いた。
「こ、こすい……!!」
「技と言うのは全部こすいんじゃよ。覚えておけ」
パニアはひょいと背を向ける。
「さて、飯の準備でもするかの~」
「ちょ、待てよパニア爺ーー!!まだやれるっての!!」
「腹は減っとらんのか〜? あれだけ暴れてたじゃろ」
アデルの腹がぐぅぅと鳴る。
「……ちょっとだけ、減ってる……!」
「ほれ見い。まずは飯じゃ」
「今そんな気分じゃねぇし!」
「わしが腹減った」
「なんでだよ!!」
パニアは焚き火の準備を始める。
手際が異様に良い。木を組み、魔石で火をつけ、煙が真っ直ぐ上に伸びる。
アデルはブツブツ文句を言いながらも隣に座る。
「アデルよ。飯を食ったら、お主に“特別な技”を教えたいんじゃ」
アデルの体がビクリと跳ねる。
「……技!?」
「そうじゃ。ただし、かな〜り集中せんと出来ん」
「なんでそれを先に言わねぇんだよ!!」
「先に言ったら落ち着かんじゃろ」
「くそじじい……!!」
アデルは文句を言いながらも、目は輝いていた。
⸻
パニアが捌き始めた肉は、ビックボアのもの。
焚き火の音がパチパチと鳴り、肉の脂が落ちる度に香ばしい匂いが立つ。
「いっただきまぁぁぁす!!」
アデルは勢いよくかぶりつく。
「うめぇぇぇ!!!!!」
周囲の鳥が驚いて飛び立つほどの声だ。
パニアは苦笑しつつも、どこか嬉しそうに目を細めていた。
アデルは食べ終えると即座に寝落ちした。
「まったく……寝るのも早いのう」
パニアはアデルの横顔を見つめる。
無邪気な寝息。小さな拳を握ったままの寝姿。
その瞬間、パニアの心に――黒い影が差した。
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血に濡れた森。
命乞いする男。
冷たい命令。
逆らえない自分。
振り下ろした拳。
砕ける骨。
飛び散る赤。
水たまりに映ったのは――
処刑人の顔をした自分だった。
・
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「――ッ!!」
パニアは飛び起き、大きく肩で息をした。
汗が額から滴る。
「……久しぶりに……ひどい夢じゃ……」
アデルはまだ眠っている。
その顔を見て、パニアは静かに立ち上がった。
川の水をすくい、顔に叩きつける。
(アデルには……絶対に悟らせん)
冷水で顔を洗い続け、心を落ち着けていると――
アデルの大声でパニアは現実に戻った。
「ふあぁぁぁ!!よく寝たーー!」
「もう起きたんか。まったく元気じゃの」
「パニア爺!昨日の技、早く教えてくれ!!」
アデルは老人の服を引っ張る。
「服を引っ張るでない。落ち着け、場所を移動するぞ」
パニアは走り出し、アデルも慌てて後を追う。
朝の光が木々の間を流れ、足元の草がしなる。
アデルの息遣いが荒くなり、額に汗が滲む。
「ほ〜う。この速度について来れるとはの〜」
「余裕だし!これは気合いだし!」
「ちなみにあと二時間、このペースで行くが?」
アデルの顔が引き攣る。
「な……めるな……オレは……最強……っ」
「声が小さいぞ、アデル〜」
「うるせえーー!!」
パニアは笑いながら走り続ける。
そして――足を止めた。
巨大な岩があった。
灰色の巨塊で、苔が部分的に生え、堂々と構えている。
「アデルよ。よく見ておけ」
パニアは岩に指を添えた。
次の瞬間――
ドンッ!!!
岩が拳形に抉れ、丸く穴が空いた。
アデルは声を失う。
「どうじゃアデル。すごいじゃろ。
これが“ペガルイム・プルス”じゃ」
アデルの心は爆発した。
「はやく教えろーーーー!!!!!」
巨大な岩に空いた“拳型の穴”を前に、アデルは目を見開いたまま固まっていた。
拳は触れていない。
なのに岩の中心だけが、えぐられたように吹き飛んでいる。
「……なんだよ……これ……」
喉からかすれた声が漏れた。
パニアは、岩についた自分の指跡を軽くなぞるように触り、振り返った。
「アデルよ、これが“至近距離殴り(ペガルイム・プルス)”じゃ」
「……どうやったんだよ!!オレにもできるのか!?早く教えろよパニア爺!」
少年は感情のまま地面を蹴り、パニアの両肩に手を置く。
異様な興奮で身体を震わせている。
「落ち着けい。順番に教えるから離すんじゃ」
アデルは慌てて手を放した。
パニアはそこらの木をへし折り、太い幹を短い台に加工した。
木肌の匂いがふわりと漂い、アデルはゴクリと唾を飲む。
「この台の上に石を置く。まずはこれじゃ」
パニアは地面から拳大の石を拾い上げ、ポンと乗せた。
「まずは、これを砕いてみい」
「いきなり!? やり方を教えろよ!」
パニアは笑いながらアデルの腕を持つ。
「右腕を前に出すんじゃ。人差し指は軽く石に触れる程度でよい」
アデルは言われた通りに姿勢を整える。
だが、肩には無駄な力が入り、背筋は反り返り気味だ。
気合いだけは百人前だが、形はまだまだ。
「肩の力を抜け。背筋はまっすぐじゃ。反っとると逆に力が逃げてしまう」
「こ、こうか?」
「それじゃ。左右の足は軽く開いて、膝はほんの少し曲げるんじゃ」
アデルは姿勢を整え、拳を握り直す。
胸の前に漂う空気が、わずかに震えたような気がした。
「よし!やるぞパニア爺!」
「うむ。打ってみい」
アデルは息を吸い、肩を引き、後ろ足を蹴る。
「ペガルイム・プルス!!」
バンッ!
石は……ただ前に飛んだだけだった。
「なんでだよぉぉぉぉ!!」
アデルは頭を抱える。
パニアは鼻を鳴らし、アデルの背中を軽く叩いた。
「打ち方は悪くはない。じゃが“芯”が通っておらん。マナを拳に集中させるんじゃよ」
「オレ魔法使えねぇんだぞ!?そんなオレにマナなんてあるのか!?」
「誰しも体内にはマナがある。問題は“感じ取れるかどうか”じゃ」
パニアはアデルの胸に軽く手をあてる。
「目を閉じて深く息を吸え。森の音を聞くんじゃ」
アデルはゆっくりと目を閉じた。
最初は焦りで呼吸が荒い。
だが、森の音が徐々にアデルを包み込んでいく。
鳥のさえずり。
草のざわめき。
川のせせらぎ。
風が肌を撫で、汗を冷ます。
しばらくすると――
――ドクン。
心臓の音が指先まで響くように感じた。
熱が流れ、拳に集まっていく。
じんじんとした温かさが、拳から腕、胸へと繋がる。
「……きてる……何か……ある……!」
アデルが拳を握りしめると、わずかに空気が揺れた。
「いける!!パニア爺!!」
「やってみい」
アデルは全力で前に踏み込み、拳を引き絞る。
「ペガルイム・プルス!!!」
ボンッ!!
石が粉々に砕け、塵となって風に舞った。
「……っしゃああああああああ!!やったぞ!!パニア爺!!オレ、できたぞ!!」
アデルは拳を突き上げ、全身で喜びを表現していた。
パニアは思わず口をあんぐり開ける。
(……嘘じゃろ……二回目で?)
普通なら数週間はかかる技。
それを五歳の子供が数分でやってのける。
「アデルよ……やはり……お主は規格外じゃ……」
だがアデルは老人の衝撃に気づかず、興奮のまま岩の破片を拾い上げた。
「パニア爺!!もっとでかいの砕くぞ!!次はあの石でいいよな!!」
「お、おう……落ち着けいアホ……」
しかしアデルは聞いていない。
もう次の石へ走りだしていた。
⸻
◆ 二週間後
森の静寂を破るように――
ズガァァァン!!!
巨石に丸い穴が空き、破片が雨のように周囲へ散った。
粉塵が朝の光を反射し、黄金の霧のように広がる。
アデルは拳を握り、胸を張って振り向く。
「パニア爺!!見ただろ!?一メートルの岩、貫通できたぞ!!」
パニアは腕を組み、ふむ、と深く頷いた。
(……早い。本当に早すぎる。
常識を越えた成長じゃ)
アデルはこの二週間、休むことを知らなかった。
食べて、寝て、起きて、打つ。
失敗を笑い、成功を叫び、倒れても必ず立ち上がった。
そして今、幼い身で“技を完成”させた。
「パニア爺!!ちょっと行ってくる!!」
アデルは嬉しさのあまり森の奥へ走りだした。
「アデル?!どこへ行くんじゃ!」
返事はない。
少し経つと――森の奥から、
ピギャアァァァァ!!
という悲鳴が響いた。
パニアの顔が青ざめる。
「まさか……!」
数分後。
アデルが巨大なビックボアを肩に担いで戻ってきた。
その体は二メートル級。
毛は逆立ち、牙は太く、重量は大人二人分はある。
アデルはケロッと笑っていた。
「パニア爺!リベンジしてきた!!」
「……アデルよ……お主、ビックボアと戦ったのか……?」
「当たり前だろ!!前に負けたしな!!今のオレなら絶対勝てると思ったんだ!!」
パニアはビックボアの腹を見る。
そこには――
拳の形に深くへこんだ痕が残っていた。
「一撃で……倒したのか……?」
「おう!!攻撃は一発も食らってねぇ!!余裕だったぞ!!」
パニアは天を仰いだ。
(実戦で完成させたんか……この子は……化け物か……?)
だが同時に誇りも込み上げた。
アデルは胸を張って言った。
「パニア爺!!オレもう島出れるだろ!?
強いし!!最強だし!!オレはもっと強い奴と戦いたい!!」
パニアはゆっくり息を吸い、アデルに向き直った。
パニアは一度目を伏せ、それからアデルを真っ直ぐ見返した。
「アデルよ。この世界のことを、ほとんど話しておらんかったな」
「……なんの話だ?」
アデルは久しぶりに見るパニアの真剣な顔に、自然と口を閉じた。
「この世界はのう、早くても十三歳にならんと、冒険には出られんのじゃよ」
「なんでだよ」
アデルは即座に噛みつく。
「この世界の偉い人たちが決めた“決まり”じゃ。
アデルはまだ五歳。しかも、悪い人間は多くおる。
その辺をフラフラ歩いておったら、人攫いに連れていかれるわい」
「十三歳って、まだまだじゃん!!
オレ、早く最強の男になりたいんだ!! そんなルール知らん!!」
地面を思い切り蹴る。
その音に、近くの鳥が一羽、驚いて飛び立った。
パニアは息をひとつ吐いてから、静かに続ける。
「アデルよ。早く島を出たい気持ちはわかる。
だが“最強”を証明するには、どうする?」
問いかけられ、アデルは唇を噛む。
「片っ端から強い奴と戦うか?
それとも、魔物だけをひたすら倒して回るか?」
パニアは首を振った。
「どれも、分かりやすいようで、実は分かりづらい。
じゃが、ひとつだけ“誰の目にもわかる証明方法”がある」
風が、一瞬静まったように感じた。
アデルが目を上げる。
「……なんだよ、それ」
パニアは、空のずっと先を見つめるようにして告げる。
「塔の攻略じゃ」
「塔?」
「塔は、この世界で二十基ある。
そのすべてを攻略すれば、“どんな願い事でも叶えられる”と聞いておる。
その偉業を成し遂げた者は、攻略者として、世界に名を轟かせることになるじゃろうな」
アデルの目が、さらに鋭く光る。
「塔の攻略? そんなの簡単そうだな!! オレなら余裕でできるぜ!!」
「何を思って余裕かましておるのか分からんがの……」
パニアは口の端をわずかに上げる。
「三十年間、今だに新しい攻略者が現れておらん。
三十年前には攻略者がいたが、それでも片手で数えるくらいじゃ」
「ただビビって挑戦してないだけじゃねーのか? 弱い奴が多いんだな」
アデルは鼻を鳴らす。
パニアは首を横に振った。
「それは分からん。じゃが、アデルだけでは塔に挑むことはできん」
「どういうことだよ、パニア爺。オレだけでは塔に挑めないって」
「塔はのう、元々“聖女の試練場”として造られたものじゃ。
聖女がおらんと、扉すら開かん。
逆に言えば、聖女がいれば塔に入れる。……それだけじゃ」
アデルは眉をひそめる。
「聖女ってなんだ?」
パニアは、知っている範囲をかいつまんで話して聞かせた。
神の加護を受けたとされる存在であること。
各地に生まれ、塔に挑むかどうかは本人次第であること。
誰かの願いを叶えるためではなく、自分の役目や信念のために塔へ入ること。
ひと通り聞き終えると、アデルはむしろ顔を明るくした。
「じゃあ、聖女って奴と仲間になればいいんだな!」
「まあ、そういうことじゃの〜。塔に挑むなら、それしか方法はない」
「パニア爺。塔を全部攻略すると、どんな願い事も叶えられるんだよな!」
「ああ、叶えられると聞いた」
アデルは空を見上げる。
「それなら、みんな聖女についていく奴、めちゃくちゃ多いんじゃねえのか?
他の奴らも、叶えたい願い事、沢山あるだろうし」
「願い事は、一人一回きりしかできんらしいぞ。
確かにアデルの言う通り、聖女の仲間になろうとする者は多いかもしれん。
じゃがな、実際は“そこまで多くはない”んじゃよ」
「なんでだ?」
「塔がある場所は、どこも“普通の人間 が簡単に行ける場所”ではないからじゃ」
パニアは指を一本立てて見せた。
「ここから近い場所にある塔だと、“トートル諸島”に一基あるらしい。
だが、その塔が聳え立つ周囲は、深い森になっておるそうじゃ。
常に薄く霧が出ていてな。空から、時々、岩くらいの大きさの“水”が落ちてくるらしい」
「なんだそりゃ!!」
アデルは思わず素っ頓狂な声を出す。
「岩くらいの水ってなんだよ……」
「さあな。わしも実際に見たわけではない。
ただ、塔の周りはどこも危険な場所が多い、というのは事実らしい」
パニアは静かに続ける。
「だからのう。塔に着く前に死んでしまうこともあるんじゃ。
塔を攻略したからといって、お金が手に入るわけでもない。
死ぬリスクばかり高い。
そういう理由もあって、旅に出る者自体が、元々そう多くはないのじゃ」
アデルは黙って聞いていた。
「それだったら冒険者ギルドに入って、自分に合った依頼を選び、
それをこなして生きていった方がよっぽど安全で、お金になるわい」
パニアは、そこで少し意地悪そうに笑った。
「どうじゃアデル。怖くなったか?」
アデルは、ほんの少しだけ目を閉じ――
そして胸を張った。
「へっ、怖いって感情はオレにはねーよ!
今はワクワクが止まらねーだけだ! オレはこの島しか知らない。
でかい水が落ちてくる森なんて、一回見てみたいしな!」
口元が、少年らしく大きく笑みに変わる。
「だから余計に楽しみでしかない!
この島の外はすげー場所なんだな!
パニア爺の話聞いたら、ますます島から出たくなったぞ!!」
パニアは肩の力を少しだけ抜いた。
「一旦落ち着くのじゃ、アデル。
お主は今、五歳。十三になるまで――あと八年ある。
旅に出られるような歳になるまで、この島で今よりもっと強くなるんじゃ。
わしが徹底的にアデルを鍛え、強くさせるからの!」
“今よりもっと強くなる”
その言葉が、アデルの胸にしっかりと刻まれる。
しばらく黙っていたが、やがて大きく息を吐き出した。
「……パニア爺。わかったよ」
アデルは握りこぶしを天に突き上げる。
「このワクワク感を、八年後までとっとく!!」
パニアは笑い、自然と構えを取った。
「よし。なら、今できることをやろうかの」
アデルも同じ構えを取る。
拳を握り、地面を踏みしめる。
目の前にいるのは、自分を拾い、育ててくれた男。
そしていつか越えると決めた、最初の壁。
「パニア爺……行くぞ!」
「かかってこい、アデル」
朝の光が、二人の影を長く伸ばした。
拳と拳がぶつかり合う音が、
再び森に響き渡る。
――叫び島の少年アデルは、この小さな島で拳を磨きながら、
まだ見ぬ塔と、まだ見ぬ世界と、まだ見ぬ“聖女”を夢見る。
その先に待つものが、祝福か、それとも試練か――
今の彼は、まだ知らない。
だが一つだけ、はっきりしている。
彼は必ず島を出る。十三歳になったその日、笑って拳を掲げて。
物語は、静かに、しかし確実に、塔へ向かって動き始めていた。
ーーーーー
この世界では曜日が存在します。風、火、水、土、雷、氷、光となっています。月曜日、火曜日、、、みたいな感じです。
光の日は聖光神レナウスが始めて人間に光のマナを与えた日です、なので光の日になると、世界中の人々がが教会に行って祈りを捧げます。
光の日は聖光神レナウスが始めて人間に光のマナを与えた日です、なので光の日になると、世界中の人々がが教会に行って祈りを捧げます。
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