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第40話 物質化

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 朝風の士官たちは基地内の居住区へ移動するため、マグレブの客車に乗り込んだ。向かい合わせの二列シートに悠木、リコ、サキ、瞳が座った。

「リコさんはきれいな方ですね」とサキ。

「どこぞの好きものの魔術師がつくったのよ」と瞳。

「愛の証として(あるじ)から頂いたの。この体」とリコ。

「体をもらうって?」とサキ。

「その人は人間じゃないのよ。肉体は作り物で、心は物の怪よ」と瞳。

「この体は作り物ではなくて、主と私の愛の結晶です」とリコ。

「体を作るのですか?」とサキ。

「そうよ。この世で最高の魔術師のみが可能な、生命の物質化という芸術なのよ。そしてこの世で主から肉体を頂いたのは私のみ」とリコ。

「白猫にも体を作ってあげてたわよ、この子」と瞳。

「白猫は無事だったのですか?」とリコ。

「ああ、地上で石に閉じ込められていた。だから、助け出して側にいてもらったんだ」と悠木。

「主の慈悲心が伝わってきます。今でも白猫は達者でしょうか?」とリコ。

「地上の私たちの家で、この子の第三分身体の面倒を見てもらっているわ」と瞳。

「そう。あなたたち、それほど悪い人たちではないようね」とリコ。

「やっとわかってくれたのかしら。つんつんされて少し傷ついたわ」と瞳。

「ごめんなさい。あなたのような高位の神に接するのは初めてで、少し緊張してしまって」とリコ。「神からはいつも汚いもののように扱われているから」

「それは申し訳なかったわね」と瞳。「ところで私、女王に約束したの。悠木を分割する許しを得る代わりに、悠木と死ぬって。約束を果たさせてもらえないかしら」

「そんなことはさせない」と悠木。

「リコ、考えておいて」と瞳。

 目的地に到着してマグレブが止まり、瞳が座席から立ち上がった。


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 朝風の士官たちは基地内の居住区へ移動するため、マグレブの客車に乗り込んだ。向かい合わせの二列シートに悠木、リコ、サキ、瞳が座った。
「リコさんはきれいな方ですね」とサキ。
「どこぞの好きものの魔術師がつくったのよ」と瞳。
「愛の証として|主《あるじ》から頂いたの。この体」とリコ。
「体をもらうって?」とサキ。
「その人は人間じゃないのよ。肉体は作り物で、心は物の怪よ」と瞳。
「この体は作り物ではなくて、主と私の愛の結晶です」とリコ。
「体を作るのですか?」とサキ。
「そうよ。この世で最高の魔術師のみが可能な、生命の物質化という芸術なのよ。そしてこの世で主から肉体を頂いたのは私のみ」とリコ。
「白猫にも体を作ってあげてたわよ、この子」と瞳。
「白猫は無事だったのですか?」とリコ。
「ああ、地上で石に閉じ込められていた。だから、助け出して側にいてもらったんだ」と悠木。
「主の慈悲心が伝わってきます。今でも白猫は達者でしょうか?」とリコ。
「地上の私たちの家で、この子の第三分身体の面倒を見てもらっているわ」と瞳。
「そう。あなたたち、それほど悪い人たちではないようね」とリコ。
「やっとわかってくれたのかしら。つんつんされて少し傷ついたわ」と瞳。
「ごめんなさい。あなたのような高位の神に接するのは初めてで、少し緊張してしまって」とリコ。「神からはいつも汚いもののように扱われているから」
「それは申し訳なかったわね」と瞳。「ところで私、女王に約束したの。悠木を分割する許しを得る代わりに、悠木と死ぬって。約束を果たさせてもらえないかしら」
「そんなことはさせない」と悠木。
「リコ、考えておいて」と瞳。
 目的地に到着してマグレブが止まり、瞳が座席から立ち上がった。