表示設定
表示設定
目次 目次




第39話 第一次特別攻撃隊

ー/ー



「あなたの協力なしに地球圏の防衛は不可能でした。深く感謝しています。どうかこれからもよい関係を続けてくださるとうれしいわ」と瑠璃子。

「私は(あるじ)に従うのみです。これまでも、これからも。あなた方を信用することなど、到底できません」とリコ。

「これまでのことを水に流してほしいとは言いません。でも私が、あなたたちに敵意を持っているわけではないことを分かってほしいの」と瑠璃子。

「そのような言葉を真に受けることはできない」とリコ。「それよりも用件を聞きたい」

「わかったわ」と瑠璃子。「第一次特別攻撃隊のことよ」

「報告した通りだ」とリコ。

「試験航行からそのまま出撃してしまったなんてありえないわ」と瑠璃子。「詳しい事情を聞かせてほしいの」

「私は主の命に従ったのみだ」とリコ。

「一言も挨拶なしなんて、ひどすぎるじゃない!」と瑠璃子。「しかもひとりぼっちだなんて」

「そういう作戦だと主は言っていた」リコ。

「あなたは気がついていたはずだ」と桐子。「あの子が出撃することを」

「ええ。もちろん」とリコ。「だから弾薬や燃料などに不足はありません」

「どういうつもり!」と瞳。「あれほど念を押したはずです。私たちがつくまで出撃させないでと」

「だから出撃を早めたと主人は言っていた」とリコ。「あなたたちを同行させないためだと」

「おまえを絶対に許さない!」と桐子。

「結構です」とリコ。「それから、主から、あなたたちへの伝言を言付かっています。三人のお姉様へ、あなたたちを連れて行くことはできません。ぼくを四人に分割した理由を思い出してください。ぼくが何を守ろうとしているかを考えてください。そして残った三人のぼくをかわいがってあげてください。とても楽しかったです。ありがとう。さようなら。とのことです」

「何よそれ!」と瑠璃子は崩れ落ちるように床に手をついた。桐子がとっさに後ろから瑠璃子の体を支えた。瞳が桐子に寄りかかりながら肩を震わせた。

「私だって辛かった。主人を一人で見送ることが、どれほど悲しいことだったか。ご主人様、私とてお供したかったのですよ」とリコは身をかがめて悠木にすがった。

「辛い思いをさせてすまなかった」と悠木。

「もう、離れたくはありません」とリコ。

「悠木、あなたを鳥かごに入れてでも勝手にさせないわ」と瑠璃子。「もう一人でどこにも行かせない!」

「リコ、悠木を返してちょうだい!」と瞳。「その子は私たちの弟なのよ!」

「出撃前に主人が遺言されました。残りの三人の主人に仕えて守ってくれと。私は我が主の命に従っているのです」とリコ。「我が主から一歩たりとも離れません」

「お姉さん、リコ、気持ちはとてもうれしいよ」と悠木。「でも少し声が大きすぎて、みんな心配しているみたいだよ」

 朝風の士官が困った顔をして取り囲んでいた。

「あなたたち、聞いていたの?」と瑠璃子。

「ホール中に声が響いてました」と恵子。

「場所を変えましょう」と瑠璃子。



スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む 第40話 物質化


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



「あなたの協力なしに地球圏の防衛は不可能でした。深く感謝しています。どうかこれからもよい関係を続けてくださるとうれしいわ」と瑠璃子。
「私は|主《あるじ》に従うのみです。これまでも、これからも。あなた方を信用することなど、到底できません」とリコ。
「これまでのことを水に流してほしいとは言いません。でも私が、あなたたちに敵意を持っているわけではないことを分かってほしいの」と瑠璃子。
「そのような言葉を真に受けることはできない」とリコ。「それよりも用件を聞きたい」
「わかったわ」と瑠璃子。「第一次特別攻撃隊のことよ」
「報告した通りだ」とリコ。
「試験航行からそのまま出撃してしまったなんてありえないわ」と瑠璃子。「詳しい事情を聞かせてほしいの」
「私は主の命に従ったのみだ」とリコ。
「一言も挨拶なしなんて、ひどすぎるじゃない!」と瑠璃子。「しかもひとりぼっちだなんて」
「そういう作戦だと主は言っていた」リコ。
「あなたは気がついていたはずだ」と桐子。「あの子が出撃することを」
「ええ。もちろん」とリコ。「だから弾薬や燃料などに不足はありません」
「どういうつもり!」と瞳。「あれほど念を押したはずです。私たちがつくまで出撃させないでと」
「だから出撃を早めたと主人は言っていた」とリコ。「あなたたちを同行させないためだと」
「おまえを絶対に許さない!」と桐子。
「結構です」とリコ。「それから、主から、あなたたちへの伝言を言付かっています。三人のお姉様へ、あなたたちを連れて行くことはできません。ぼくを四人に分割した理由を思い出してください。ぼくが何を守ろうとしているかを考えてください。そして残った三人のぼくをかわいがってあげてください。とても楽しかったです。ありがとう。さようなら。とのことです」
「何よそれ!」と瑠璃子は崩れ落ちるように床に手をついた。桐子がとっさに後ろから瑠璃子の体を支えた。瞳が桐子に寄りかかりながら肩を震わせた。
「私だって辛かった。主人を一人で見送ることが、どれほど悲しいことだったか。ご主人様、私とてお供したかったのですよ」とリコは身をかがめて悠木にすがった。
「辛い思いをさせてすまなかった」と悠木。
「もう、離れたくはありません」とリコ。
「悠木、あなたを鳥かごに入れてでも勝手にさせないわ」と瑠璃子。「もう一人でどこにも行かせない!」
「リコ、悠木を返してちょうだい!」と瞳。「その子は私たちの弟なのよ!」
「出撃前に主人が遺言されました。残りの三人の主人に仕えて守ってくれと。私は我が主の命に従っているのです」とリコ。「我が主から一歩たりとも離れません」
「お姉さん、リコ、気持ちはとてもうれしいよ」と悠木。「でも少し声が大きすぎて、みんな心配しているみたいだよ」
 朝風の士官が困った顔をして取り囲んでいた。
「あなたたち、聞いていたの?」と瑠璃子。
「ホール中に声が響いてました」と恵子。
「場所を変えましょう」と瑠璃子。