君が好きだ。
ー/ー はぁ、もう無理だ。
俺にはきっと希望はない。神様も俺を応援してくれなかった。
信じることで救われるとか、そんなこと、やっぱり噓だったんだ。
俺は、俺なりに努力したのに。そうやって小鳥遊のことを考え始めると、泣きそうになる。
だから、もう忘れることにした。なにもかも。
「絵の具」
「あ」
俺の発言と同時に小鳥遊の口から声が漏れていた。
あぁ、ほら、やっぱり。忘れたんだろ。そのために俺は二つも持ってきてあげたんだ、なのに。
―でも、そんなこと、小鳥遊には言えなくて。
こうやって小鳥遊のために何かやってることも周りのみんなは知らないんだろうな、
きっとこの先誰も俺の努力を認めてくれない。
俺の本当の姿を見てもらえないんだろうな。
きっと―小鳥遊にも。
誰も分かってくれない。親にさえ。
小鳥遊の方を見る。小鳥遊は絶望感に満ち溢れた顔で俺のことを見ていた。少し小刻みに震えながら。
やっぱ、小鳥遊は俺のことが怖くて、近寄りたくなくて
大嫌いなんだろうな。
もう、いいや。きっと俺に小鳥遊は振り向いてくれない。
いつもどうり、偉そうに、最低最悪な奴っぽく。小鳥遊を上目遣いに見て
「なに?小鳥遊忘れたの?お前なら忘れそうって期待してたんだけどマジで当たったw」
と。俺は正直言って泣きそうだった。なんで、こんなことしないといけないんだろう。
こんなことしてたら小鳥遊に嫌われる。
俺だってそんなこと最初から分かってる。
分かってるけど、そんな俺自身さえ、みんなには分かってもらえていない。
ただの問題児で絶対に近寄らないほうがいい最低最悪で人の気持ちを考えられない人間、と。
思われているんだろうな。
「忘れちゃった…あはは」
小鳥遊は俺にそう言った。はずだった。
―なんだろう、なんか、奇妙な違和感がした。
その声がまるで―俺に向けられた言葉だと感じなかった。
小鳥遊の視線は俺の方に向いているのに、ここにはいない誰かさんに言っているようで、俺なんか―いないみたいに聞こえた。
多分、さっきからマイナスのことばかり考えていたからだ。小鳥遊には振り向いてもらえないとかいう。
うん、きっとそうだ。
でもこの小鳥遊の言葉が俺の未来を左右する言葉だとはなんて今の俺には分かるはずがなかった。
本当は、俺が貸してあげるよ、って言いたい。
どうしても、言いたい。
だけど、そんなこと出来ない。
心の中ではそう思っているのに、俺の口からはその思いとは逆の言葉が出ていた。
「小鳥遊は終わったなw先生に説教されるwおもろすぎ!」
こんなんじゃ、ダメだ。
俺は性格を変えたいのに。これじゃまるで、俺には見えない、もう一人の自分みたいだ。
誰かに、制限されてるみたいに。俺の体を自分で操れない。
「小鳥遊wマジでお疲れ様」
俺の口からするするとひどい言葉が出てゆく。
残念ながら、俺はこれからずっと嫌われるんだ。この俺の発言を制限している、性格を変えろと言う、俺の人生を勝手に決めている―親のせいで。
―「瞬月ふざけんなよ!」俺の耳に届いたのは、そんな一颯の声だった。
「だいたいさぁ、人を馬鹿にするのってサイテーだと思うんだよね、個人の意見だけど」
あぁ、ほら、やっぱり。ほかの人は誰も知らない。俺が今こうやって思っているその感情も、顔に出しちゃいけないから。
一颯は今、俺のことを睨みつけている。一颯が俺を嫌っていることが分かる。分かってしまう。
一颯から俺に向けられている視線に、嫌悪が滲んでいたから。
でも、一颯からの視線や、一颯の発言より、なによりも目に飛び込んできたのは―。
「は、一颯何言ってんの」
俺は何事もなかったように、少しも傷ついていないみたいに振舞った。小鳥遊にダサいと思われないように。
―小鳥遊。好きだよ。
これが俺の言いたい言葉。
ずっと、そうだった。
―俺の気持ちは一生変わらない。
小鳥遊が、好きだ。
でも、俺がさっき一番気になったこと、あの、一颯が発言した時の、頬を桜色に染めている小鳥遊の顔。
それが、頭から離れない。
「だから、これ以上穂希を傷つけんなって言ってんだよ」
一颯は俺に対してそう言った。誰かさんが嫌な思いをするとか、そういうことを全く考えていないみたいに、しれっと。
意味、分かんない。
「へっ」
小鳥遊が一颯の発言に対して反応した。俺の発言に対しては何にも反応してくれない癖に。それも、一颯の時は少し頬を赤らめてるのに、俺の時は青ざめた顔して。この世の終わりが来たみたいな顔して。
穂稀。一颯はそう言った。
俺は小鳥遊と呼ぶだけでドキドキしてしまうのに。なんで、一颯が小鳥遊の事呼び捨てにしてんだ。俺の一生の夢と言っても過言ではないような事を一颯は簡単に。
俺だって小鳥遊のこと下の名前で呼びたいのに。
ほんと、意味わかんねぇ。
グラウンドの隅にあるコンクリートの壁に寄りかかり、俺は絶望感に満ち溢れていた。
目の前には広大なグラウンドが広がっている。いつもは男子友達と走り回って薄々このグラウンド狭いなとか思っていたのに今は、ものすごく広く感じる。どこまでも続く草原のように。
―「おい、一颯こいつに気でもあるわけ?」
俺の中の悪魔がそう言った後の記憶はあまりない。
ただ頭には俺の方に向けられている小鳥遊の顔が浮かんでいた。
冷え切ったような青い顔、怯えている顔、俺のことが嫌いということをはっきりと主張しているあの顔が。それとその顔にはっきりと怒りが滲んでいたことも。
なんで、だろう。俺はこの先も小鳥遊に嫌われるのだろうか。うん、多分そう。
いや、絶対だ。さっきの小鳥遊の顔が答えだ。
「はぁ」自然とため息が漏れる。そんなため息と同時に目の奥が熱くなる。
こんなことには慣れているはずなのに。
今回だけはもう、我慢できない。
最愛の人に嫌われていることがその人に聞かなくてもはっきりと分かる。それは、俺が小鳥遊に心の底から嫌われているから。
残念ながらもう一颯にはとっくに負けているようだ。小鳥遊の行動と、その顔から。
そう思うとなぜか視界が歪んで目から透明な水が流れ落ちる。
一度流れ出した涙はもう止まらなくて、授業の始まりのチャイムが鳴ったのにも気づかなかった。
俺にはきっと希望はない。神様も俺を応援してくれなかった。
信じることで救われるとか、そんなこと、やっぱり噓だったんだ。
俺は、俺なりに努力したのに。そうやって小鳥遊のことを考え始めると、泣きそうになる。
だから、もう忘れることにした。なにもかも。
「絵の具」
「あ」
俺の発言と同時に小鳥遊の口から声が漏れていた。
あぁ、ほら、やっぱり。忘れたんだろ。そのために俺は二つも持ってきてあげたんだ、なのに。
―でも、そんなこと、小鳥遊には言えなくて。
こうやって小鳥遊のために何かやってることも周りのみんなは知らないんだろうな、
きっとこの先誰も俺の努力を認めてくれない。
俺の本当の姿を見てもらえないんだろうな。
きっと―小鳥遊にも。
誰も分かってくれない。親にさえ。
小鳥遊の方を見る。小鳥遊は絶望感に満ち溢れた顔で俺のことを見ていた。少し小刻みに震えながら。
やっぱ、小鳥遊は俺のことが怖くて、近寄りたくなくて
大嫌いなんだろうな。
もう、いいや。きっと俺に小鳥遊は振り向いてくれない。
いつもどうり、偉そうに、最低最悪な奴っぽく。小鳥遊を上目遣いに見て
「なに?小鳥遊忘れたの?お前なら忘れそうって期待してたんだけどマジで当たったw」
と。俺は正直言って泣きそうだった。なんで、こんなことしないといけないんだろう。
こんなことしてたら小鳥遊に嫌われる。
俺だってそんなこと最初から分かってる。
分かってるけど、そんな俺自身さえ、みんなには分かってもらえていない。
ただの問題児で絶対に近寄らないほうがいい最低最悪で人の気持ちを考えられない人間、と。
思われているんだろうな。
「忘れちゃった…あはは」
小鳥遊は俺にそう言った。はずだった。
―なんだろう、なんか、奇妙な違和感がした。
その声がまるで―俺に向けられた言葉だと感じなかった。
小鳥遊の視線は俺の方に向いているのに、ここにはいない誰かさんに言っているようで、俺なんか―いないみたいに聞こえた。
多分、さっきからマイナスのことばかり考えていたからだ。小鳥遊には振り向いてもらえないとかいう。
うん、きっとそうだ。
でもこの小鳥遊の言葉が俺の未来を左右する言葉だとはなんて今の俺には分かるはずがなかった。
本当は、俺が貸してあげるよ、って言いたい。
どうしても、言いたい。
だけど、そんなこと出来ない。
心の中ではそう思っているのに、俺の口からはその思いとは逆の言葉が出ていた。
「小鳥遊は終わったなw先生に説教されるwおもろすぎ!」
こんなんじゃ、ダメだ。
俺は性格を変えたいのに。これじゃまるで、俺には見えない、もう一人の自分みたいだ。
誰かに、制限されてるみたいに。俺の体を自分で操れない。
「小鳥遊wマジでお疲れ様」
俺の口からするするとひどい言葉が出てゆく。
残念ながら、俺はこれからずっと嫌われるんだ。この俺の発言を制限している、性格を変えろと言う、俺の人生を勝手に決めている―親のせいで。
―「瞬月ふざけんなよ!」俺の耳に届いたのは、そんな一颯の声だった。
「だいたいさぁ、人を馬鹿にするのってサイテーだと思うんだよね、個人の意見だけど」
あぁ、ほら、やっぱり。ほかの人は誰も知らない。俺が今こうやって思っているその感情も、顔に出しちゃいけないから。
一颯は今、俺のことを睨みつけている。一颯が俺を嫌っていることが分かる。分かってしまう。
一颯から俺に向けられている視線に、嫌悪が滲んでいたから。
でも、一颯からの視線や、一颯の発言より、なによりも目に飛び込んできたのは―。
「は、一颯何言ってんの」
俺は何事もなかったように、少しも傷ついていないみたいに振舞った。小鳥遊にダサいと思われないように。
―小鳥遊。好きだよ。
これが俺の言いたい言葉。
ずっと、そうだった。
―俺の気持ちは一生変わらない。
小鳥遊が、好きだ。
でも、俺がさっき一番気になったこと、あの、一颯が発言した時の、頬を桜色に染めている小鳥遊の顔。
それが、頭から離れない。
「だから、これ以上穂希を傷つけんなって言ってんだよ」
一颯は俺に対してそう言った。誰かさんが嫌な思いをするとか、そういうことを全く考えていないみたいに、しれっと。
意味、分かんない。
「へっ」
小鳥遊が一颯の発言に対して反応した。俺の発言に対しては何にも反応してくれない癖に。それも、一颯の時は少し頬を赤らめてるのに、俺の時は青ざめた顔して。この世の終わりが来たみたいな顔して。
穂稀。一颯はそう言った。
俺は小鳥遊と呼ぶだけでドキドキしてしまうのに。なんで、一颯が小鳥遊の事呼び捨てにしてんだ。俺の一生の夢と言っても過言ではないような事を一颯は簡単に。
俺だって小鳥遊のこと下の名前で呼びたいのに。
ほんと、意味わかんねぇ。
グラウンドの隅にあるコンクリートの壁に寄りかかり、俺は絶望感に満ち溢れていた。
目の前には広大なグラウンドが広がっている。いつもは男子友達と走り回って薄々このグラウンド狭いなとか思っていたのに今は、ものすごく広く感じる。どこまでも続く草原のように。
―「おい、一颯こいつに気でもあるわけ?」
俺の中の悪魔がそう言った後の記憶はあまりない。
ただ頭には俺の方に向けられている小鳥遊の顔が浮かんでいた。
冷え切ったような青い顔、怯えている顔、俺のことが嫌いということをはっきりと主張しているあの顔が。それとその顔にはっきりと怒りが滲んでいたことも。
なんで、だろう。俺はこの先も小鳥遊に嫌われるのだろうか。うん、多分そう。
いや、絶対だ。さっきの小鳥遊の顔が答えだ。
「はぁ」自然とため息が漏れる。そんなため息と同時に目の奥が熱くなる。
こんなことには慣れているはずなのに。
今回だけはもう、我慢できない。
最愛の人に嫌われていることがその人に聞かなくてもはっきりと分かる。それは、俺が小鳥遊に心の底から嫌われているから。
残念ながらもう一颯にはとっくに負けているようだ。小鳥遊の行動と、その顔から。
そう思うとなぜか視界が歪んで目から透明な水が流れ落ちる。
一度流れ出した涙はもう止まらなくて、授業の始まりのチャイムが鳴ったのにも気づかなかった。
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