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『願い事ひとつ』

ー/ー



 夜空に星が流れるのを、私は初めて見た。

 光は細く、あっという間で、願い事を考える時間なんてなかったはずなのに、言葉は自然と口からこぼれた。

「世界が、平和になりますように」

 それは、誰かに教えられた正解だった気がする。

 欲張らず、立派で、間違いのない願い。

 翌朝、ニュースは静かだった。

 爆発音も、緊急速報もない。国境を越える怒号も、誰かを責める言葉も消えていた。

 数日後、人々は気づき始めた。

 争いが起きない。

 武器が使われない。

 誰も、誰かを傷つけようとしない。

 世界は、確かに平和だった。

 ただ、学校は閉まり、病院は沈黙し、街から足音が消えていった。

 信号は誰も待たずに色を変え続け、店のシャッターは上がらないままだった。

 私は最後まで残った子どもだった。

 理由は分からない。偶然か、願いの手違いか。

 空は、あの日と同じように澄んでいる。

 星も、変わらず瞬いている。

 世界は平和だ。

 争う者が、もういないのだから。





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 夜空に星が流れるのを、私は初めて見た。
 光は細く、あっという間で、願い事を考える時間なんてなかったはずなのに、言葉は自然と口からこぼれた。
「世界が、平和になりますように」
 それは、誰かに教えられた正解だった気がする。
 欲張らず、立派で、間違いのない願い。
 翌朝、ニュースは静かだった。
 爆発音も、緊急速報もない。国境を越える怒号も、誰かを責める言葉も消えていた。
 数日後、人々は気づき始めた。
 争いが起きない。
 武器が使われない。
 誰も、誰かを傷つけようとしない。
 世界は、確かに平和だった。
 ただ、学校は閉まり、病院は沈黙し、街から足音が消えていった。
 信号は誰も待たずに色を変え続け、店のシャッターは上がらないままだった。
 私は最後まで残った子どもだった。
 理由は分からない。偶然か、願いの手違いか。
 空は、あの日と同じように澄んでいる。
 星も、変わらず瞬いている。
 世界は平和だ。
 争う者が、もういないのだから。


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