#7
ー/ー 少年はカマクラの入り口の方に向いて伏せる犬の様子から周囲に危険はないとふみながらも、万が一に備え小声で犬の名前を呼ぶ。すると人間のそれと違い鋭敏な聴覚を持つ影はすっくと立ちあがり少年へと一目散に駆けてきた。当然影の正体は相棒のタローだった。
「おー、よしよし。ごめんね置いて行ったりして」
目の前で立ち止まった相棒のごわごわとした温かい毛をひとしきりもふり一緒に帰ろうと言うと、コートの裾を噛んで秘密基地へと誘おうとする意図を感じ仕方なく追従する。脱走していたことがばれれば母はもちろん、恐らく父にも大目玉を食らわせられるだろうことは明白なので、目的を達した以上すぐに帰りたかったのだが年下のタローの方がライアンよりもずっと力が強いのだから従わざるを得ない。
引かれるがままに進むともう一つの影の全容が露になる。
それは白熊だった。
正体が判明し少年は足が竦んだが、身じろぎ一つしないので眠っているのかしらとなけなしの勇気を振り絞って近づき目を剥いた。目を釘付けにしたのは白い小山の周囲で池を為す黒々とした血溜まり。源泉を探るべく元を辿ると赤黒い道は白熊の喉元へ繋がっており、その量からして獣がとっくに事切れていることは明らかだった。
「タローがやったの?」
そんなわけがない。少年は胸中で他問自答した。
白熊はこの辺りの頂点捕食者である。野生動物どころか銃を持った人間でも仕留めることは生半可な事ではない。
傍らの犬の頭を撫でてやると、やはり裾を噛んで今度はカマクラへ行くぞと促されているように感じ目を向ける。確かに灯りは消して帰ったはずなのに、内部からはわずかに揺れる微光が漏れていた。
そういえばさっきタローもじっと中を見据えて伏せていたし、もしかすると白熊を撃退したハンターが手負いになり中で休んでいるのではないかと考察し四つん這いになって覗き込むと、そこには村の誰とも違う容姿をした大きな人間が横たわっていた。
「あの、大丈夫ですか?お怪我とかなさってたりしませんか?」
声をかけると中の人間が緩慢に動きだす。
そして謎の人物が寝ぼけた頭で起き上がろうとした結果、その脳天が雪で出来たドーム天井を突き破り、丸屋根に子供の指で開けた小さな空気穴を盛大に拡張した。
「おー、よしよし。ごめんね置いて行ったりして」
目の前で立ち止まった相棒のごわごわとした温かい毛をひとしきりもふり一緒に帰ろうと言うと、コートの裾を噛んで秘密基地へと誘おうとする意図を感じ仕方なく追従する。脱走していたことがばれれば母はもちろん、恐らく父にも大目玉を食らわせられるだろうことは明白なので、目的を達した以上すぐに帰りたかったのだが年下のタローの方がライアンよりもずっと力が強いのだから従わざるを得ない。
引かれるがままに進むともう一つの影の全容が露になる。
それは白熊だった。
正体が判明し少年は足が竦んだが、身じろぎ一つしないので眠っているのかしらとなけなしの勇気を振り絞って近づき目を剥いた。目を釘付けにしたのは白い小山の周囲で池を為す黒々とした血溜まり。源泉を探るべく元を辿ると赤黒い道は白熊の喉元へ繋がっており、その量からして獣がとっくに事切れていることは明らかだった。
「タローがやったの?」
そんなわけがない。少年は胸中で他問自答した。
白熊はこの辺りの頂点捕食者である。野生動物どころか銃を持った人間でも仕留めることは生半可な事ではない。
傍らの犬の頭を撫でてやると、やはり裾を噛んで今度はカマクラへ行くぞと促されているように感じ目を向ける。確かに灯りは消して帰ったはずなのに、内部からはわずかに揺れる微光が漏れていた。
そういえばさっきタローもじっと中を見据えて伏せていたし、もしかすると白熊を撃退したハンターが手負いになり中で休んでいるのではないかと考察し四つん這いになって覗き込むと、そこには村の誰とも違う容姿をした大きな人間が横たわっていた。
「あの、大丈夫ですか?お怪我とかなさってたりしませんか?」
声をかけると中の人間が緩慢に動きだす。
そして謎の人物が寝ぼけた頭で起き上がろうとした結果、その脳天が雪で出来たドーム天井を突き破り、丸屋根に子供の指で開けた小さな空気穴を盛大に拡張した。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
少年はカマクラの入り口の方に向いて伏せる犬の様子から周囲に危険はないとふみながらも、万が一に備え小声で犬の名前を呼ぶ。すると人間のそれと違い鋭敏な聴覚を持つ影はすっくと立ちあがり少年へと一目散に駆けてきた。当然影の正体は相棒のタローだった。
「おー、よしよし。ごめんね置いて行ったりして」
目の前で立ち止まった相棒のごわごわとした温かい毛をひとしきりもふり一緒に帰ろうと言うと、コートの裾を噛んで秘密基地へと誘おうとする意図を感じ仕方なく追従する。脱走していたことがばれれば母はもちろん、恐らく父にも大目玉を食らわせられるだろうことは明白なので、目的を達した以上すぐに帰りたかったのだが年下のタローの方がライアンよりもずっと力が強いのだから従わざるを得ない。
引かれるがままに進むともう一つの影の全容が露になる。
それは白熊だった。
正体が判明し少年は足が竦んだが、身じろぎ一つしないので眠っているのかしらとなけなしの勇気を振り絞って近づき目を剥いた。目を釘付けにしたのは白い小山の周囲で池を為す黒々とした血溜まり。源泉を探るべく元を辿ると赤黒い道は白熊の喉元へ繋がっており、その量からして獣がとっくに事切れていることは明らかだった。
それは白熊だった。
正体が判明し少年は足が竦んだが、身じろぎ一つしないので眠っているのかしらとなけなしの勇気を振り絞って近づき目を剥いた。目を釘付けにしたのは白い小山の周囲で池を為す黒々とした血溜まり。源泉を探るべく元を辿ると赤黒い道は白熊の喉元へ繋がっており、その量からして獣がとっくに事切れていることは明らかだった。
「タローがやったの?」
そんなわけがない。少年は胸中で他問自答した。
白熊はこの辺りの頂点捕食者である。野生動物どころか銃を持った人間でも仕留めることは生半可な事ではない。
白熊はこの辺りの頂点捕食者である。野生動物どころか銃を持った人間でも仕留めることは生半可な事ではない。
傍らの犬の頭を撫でてやると、やはり裾を噛んで今度はカマクラへ行くぞと促されているように感じ目を向ける。確かに灯りは消して帰ったはずなのに、内部からはわずかに揺れる微光が漏れていた。
そういえばさっきタローもじっと中を見据えて伏せていたし、もしかすると白熊を撃退したハンターが手負いになり中で休んでいるのではないかと考察し四つん這いになって覗き込むと、そこには村の誰とも違う容姿をした大きな人間が横たわっていた。
「あの、大丈夫ですか?お怪我とかなさってたりしませんか?」
声をかけると中の人間が緩慢に動きだす。
そして謎の人物が寝ぼけた頭で起き上がろうとした結果、その脳天が雪で出来たドーム天井を突き破り、丸屋根に子供の指で開けた小さな空気穴を盛大に拡張した。
そして謎の人物が寝ぼけた頭で起き上がろうとした結果、その脳天が雪で出来たドーム天井を突き破り、丸屋根に子供の指で開けた小さな空気穴を盛大に拡張した。