#5
ー/ー「ライアン!降りてらっしゃーい!」
「はーい!」
少年が母の声に応え一階に降りると、子供や犬よりもしっかり叱られたのかしょぼくれる父親と、腹の内の物を出し終えスッキリした顔の母親がリビングに戻っていた。
「折角お祭りがやってるんだから皆で少しだけ観に行きましょ?」
「私は書斎で研究をし」
「さ、ん、に、ん、で。あなた~?今何か言ったかしら~?そうそう、もちろんタローも一緒だから三人と一匹ね」
少年も二階で一人になりたかったが異論の出せる雰囲気でなく、三人と一匹で少しだけ広場の祭りに顔を出す事になった。外国では人だらけの祭りに犬を連れて歩くのは憚られるが、これが村の普通である。思い出は家族みんなで共有するべきだし、家族に犬も人もない。流石にアルコールは犬にとって毒なので与えないが、味の濃い屋台飯くらいは貰えるので村の犬たちも嬉々として着いて来るし、他の犬と挨拶がてら鼻を突き合わせもする。
少年は仕方ないと笑顔を繕い、両親に続いて家を出た。
昨年振りの夜の祭り会場は夕方でも賑やかだったが輪をかけて騒がしく、老若男女関係なく歌い踊りその場に足を踏み入れただけで酔いそうなほど酒の匂いが充満していた。広場の中央に置かれていた樽を置いただけの立ち飲み席は端に寄せられ、中央でジョッキ片手にダンスを踊る皆の顔は晴れやかで、セイウチの肉で気を紛らわせているライアンですら釣られて肩が揺れてしまうほどだった。
「ククウェアだ!ククウェアが出たぞー!」
刹那広場に充満していた笑い声が消失。
不満のどよめきの中に時折交じる悪態の中、我先にと祭り会場を出る波に流された少年はなんとか両親を見つけ共に家路を急ぐ。道中で耳に入って来た家に戻るのを厭がる子供達を諭す文言は、いつからいるのか、何頭いるのかも分からない十本足の白熊が出たのだから祭りがお開きになっても仕方がないというものばかりだった。
少年は父親がドアの錠を下ろしたあたりでタローが付いて来ていない事に気が付き相談したが、「タローは賢いからきっと大丈夫」と扉は開けてもらえず、ライフル片手にリビングから玄関を見張る父親の目をかいくぐる事など出来るはずもなく、相棒を案じる少年は自室へ渋々と上って行った。
「はーい!」
少年が母の声に応え一階に降りると、子供や犬よりもしっかり叱られたのかしょぼくれる父親と、腹の内の物を出し終えスッキリした顔の母親がリビングに戻っていた。
「折角お祭りがやってるんだから皆で少しだけ観に行きましょ?」
「私は書斎で研究をし」
「さ、ん、に、ん、で。あなた~?今何か言ったかしら~?そうそう、もちろんタローも一緒だから三人と一匹ね」
少年も二階で一人になりたかったが異論の出せる雰囲気でなく、三人と一匹で少しだけ広場の祭りに顔を出す事になった。外国では人だらけの祭りに犬を連れて歩くのは憚られるが、これが村の普通である。思い出は家族みんなで共有するべきだし、家族に犬も人もない。流石にアルコールは犬にとって毒なので与えないが、味の濃い屋台飯くらいは貰えるので村の犬たちも嬉々として着いて来るし、他の犬と挨拶がてら鼻を突き合わせもする。
少年は仕方ないと笑顔を繕い、両親に続いて家を出た。
昨年振りの夜の祭り会場は夕方でも賑やかだったが輪をかけて騒がしく、老若男女関係なく歌い踊りその場に足を踏み入れただけで酔いそうなほど酒の匂いが充満していた。広場の中央に置かれていた樽を置いただけの立ち飲み席は端に寄せられ、中央でジョッキ片手にダンスを踊る皆の顔は晴れやかで、セイウチの肉で気を紛らわせているライアンですら釣られて肩が揺れてしまうほどだった。
「ククウェアだ!ククウェアが出たぞー!」
刹那広場に充満していた笑い声が消失。
不満のどよめきの中に時折交じる悪態の中、我先にと祭り会場を出る波に流された少年はなんとか両親を見つけ共に家路を急ぐ。道中で耳に入って来た家に戻るのを厭がる子供達を諭す文言は、いつからいるのか、何頭いるのかも分からない十本足の白熊が出たのだから祭りがお開きになっても仕方がないというものばかりだった。
少年は父親がドアの錠を下ろしたあたりでタローが付いて来ていない事に気が付き相談したが、「タローは賢いからきっと大丈夫」と扉は開けてもらえず、ライフル片手にリビングから玄関を見張る父親の目をかいくぐる事など出来るはずもなく、相棒を案じる少年は自室へ渋々と上って行った。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
「ライアン!降りてらっしゃーい!」
「はーい!」
「はーい!」
少年が母の声に応え一階に降りると、子供や犬よりもしっかり叱られたのかしょぼくれる父親と、腹の内の物を出し終えスッキリした顔の母親がリビングに戻っていた。
「折角お祭りがやってるんだから皆で少しだけ観に行きましょ?」
「私は書斎で研究をし」
「さ、ん、に、ん、で。あなた~?今何か言ったかしら~?そうそう、もちろんタローも一緒だから三人と一匹ね」
「私は書斎で研究をし」
「さ、ん、に、ん、で。あなた~?今何か言ったかしら~?そうそう、もちろんタローも一緒だから三人と一匹ね」
少年も二階で一人になりたかったが異論の出せる雰囲気でなく、三人と一匹で少しだけ広場の祭りに顔を出す事になった。外国では人だらけの祭りに犬を連れて歩くのは憚られるが、これが村の普通である。思い出は家族みんなで共有するべきだし、家族に犬も人もない。流石にアルコールは犬にとって毒なので与えないが、味の濃い屋台飯くらいは貰えるので村の犬たちも嬉々として着いて来るし、他の犬と挨拶がてら鼻を突き合わせもする。
少年は仕方ないと笑顔を繕い、両親に続いて家を出た。
昨年振りの夜の祭り会場は夕方でも賑やかだったが輪をかけて騒がしく、老若男女関係なく歌い踊りその場に足を踏み入れただけで酔いそうなほど酒の匂いが充満していた。広場の中央に置かれていた樽を置いただけの立ち飲み席は端に寄せられ、中央でジョッキ片手にダンスを踊る皆の顔は晴れやかで、セイウチの肉で気を紛らわせているライアンですら釣られて肩が揺れてしまうほどだった。
昨年振りの夜の祭り会場は夕方でも賑やかだったが輪をかけて騒がしく、老若男女関係なく歌い踊りその場に足を踏み入れただけで酔いそうなほど酒の匂いが充満していた。広場の中央に置かれていた樽を置いただけの立ち飲み席は端に寄せられ、中央でジョッキ片手にダンスを踊る皆の顔は晴れやかで、セイウチの肉で気を紛らわせているライアンですら釣られて肩が揺れてしまうほどだった。
「ククウェアだ!ククウェアが出たぞー!」
刹那広場に充満していた笑い声が消失。
不満のどよめきの中に時折交じる悪態の中、我先にと祭り会場を出る波に流された少年はなんとか両親を見つけ共に家路を急ぐ。道中で耳に入って来た家に戻るのを厭がる子供達を諭す文言は、いつからいるのか、何頭いるのかも分からない十本足の白熊が出たのだから祭りがお開きになっても仕方がないというものばかりだった。
不満のどよめきの中に時折交じる悪態の中、我先にと祭り会場を出る波に流された少年はなんとか両親を見つけ共に家路を急ぐ。道中で耳に入って来た家に戻るのを厭がる子供達を諭す文言は、いつからいるのか、何頭いるのかも分からない十本足の白熊が出たのだから祭りがお開きになっても仕方がないというものばかりだった。
少年は父親がドアの錠を下ろしたあたりでタローが付いて来ていない事に気が付き相談したが、「タローは賢いからきっと大丈夫」と扉は開けてもらえず、ライフル片手にリビングから玄関を見張る父親の目をかいくぐる事など出来るはずもなく、相棒を案じる少年は自室へ渋々と上って行った。