「おじさんっ」
「まだ帰れる場所があるのなら、もう行きなさい」
「おじさんっ、あのね……」
「音色ちゃん……おじさんに弱音を吐き出したところで何も解決はしないんだよ……残念だけれど……」
音色は小春の力ない姿に胸が痛んだ……自分ばっかりがこの川に辛さを投げ捨てて、また歩き出せればいいと思っていた自分に気付かされる。
今日はおじさんの話を聞こう。そうすることでまた、自分も立ち直れるかもしれない。『誰かの人生を学ぶ』それは成長だ。
「おじさん……今日は私、少しお金を持ってるんだ! だから今日は少し私に奢らせて。いい立ち飲み屋さん知ってるんだ」
音色はそう言ってお財布を見せた。瑞稀にプレゼントしてもらった白色が可愛い二つ折りの財布だ。
もう涙は止まった。ニッコリ小春に微笑む。その笑顔はおじさんを優しく包む。
釣られて小春も、笑った……。
「遠慮はしないからな……」
「もちろん!」
二人は川沿いを歩いて行く……。仲の良い親子のように寄り添って。