表示設定
表示設定
目次 目次




@78話

ー/ー





「3位の蒲池さん、5位の北野さんは違うと考える」


 


「どうして?」


「彼氏がいるからだ」


 


「異論もあるけど、ま、いいわ」


 


 恋実は女子のイニシャル『K』を頭に思い浮かべながら答える。彼氏がいたってバレンタインのチョコを贈る人だっている。好意の有無、好きの大小に関係なく……。


 


 


「異論?」


 


 恭吾のそんな疑問符には応える気も起きない。矛盾ある感情は方程式の解のように明確に整然としていない。


 恭吾に説明しても理屈は通らない。


 


「4位は誰なの?」


 


 


「4位は剣持さんだ」


 


 不服ながらも恋実の方の質問の答えを優先させた辺り、恭吾も自身の質問が論点ではないことを理解している。


 


 


「確かに可愛いわね。で剣持さんの可能性は?」


「剣持さんの可能性もほぼないと思う」


 


「何故?」


 


「彼女は去年俺が肥溜めに落ちたのを知っている。それ以来俺の半径3m以内に近づいたことがない。恐らく俺は嫌われている」


 


「それは……間違いなさそうね」


 


 ここは二人の意見が一致した。互いに目を合わせて頷き合う。


 


 


 


「2位は?」


 


 1位は分かり切った答えだと恋実も知っている。


 


 


「2位もあり得ない……」


「それはな……」


「俺は1位の優香ちゃんじゃないかと、そう信じている!」


 


 興奮で恋実の言葉に被せてくる恭吾。


 


 


「何てことだ~チョコ、優香ちゃんのチョコを今すぐ食べなくては!」


 


 


 可愛く包まれてる方を掴むと、一心不乱に包みを開ける。ラッピングを奇麗に剝がそうとしているが、焦っていて所々破けていく……。


 もう我慢ならないと半ば強引にこじ開けると、三日ぶりの食料にありついた豚のように口にほおばる。


 


 


「うまい! うまいっ! うん、うまいっ!!」


「……もう~」


 


 チョコ菓子の虜にされたように無我夢中の恭吾に言葉を失い、緊張感から解放された恋実は只々見守っているのだった。




スタンプを贈って作者を応援しよう!

次のエピソードへ進む @79話 三角形理論


みんなのリアクション



おすすめ作品を読み込み中です…



「3位の蒲池さん、5位の北野さんは違うと考える」
「どうして?」
「彼氏がいるからだ」
「異論もあるけど、ま、いいわ」
 恋実は女子のイニシャル『K』を頭に思い浮かべながら答える。彼氏がいたってバレンタインのチョコを贈る人だっている。好意の有無、好きの大小に関係なく……。
「異論?」
 恭吾のそんな疑問符には応える気も起きない。矛盾ある感情は方程式の解のように明確に整然としていない。
 恭吾に説明しても理屈は通らない。
「4位は誰なの?」
「4位は剣持さんだ」
 不服ながらも恋実の方の質問の答えを優先させた辺り、恭吾も自身の質問が論点ではないことを理解している。
「確かに可愛いわね。で剣持さんの可能性は?」
「剣持さんの可能性もほぼないと思う」
「何故?」
「彼女は去年俺が肥溜めに落ちたのを知っている。それ以来俺の半径3m以内に近づいたことがない。恐らく俺は嫌われている」
「それは……間違いなさそうね」
 ここは二人の意見が一致した。互いに目を合わせて頷き合う。
「2位は?」
 1位は分かり切った答えだと恋実も知っている。
「2位もあり得ない……」
「それはな……」
「俺は1位の優香ちゃんじゃないかと、そう信じている!」
 興奮で恋実の言葉に被せてくる恭吾。
「何てことだ~チョコ、優香ちゃんのチョコを今すぐ食べなくては!」
 可愛く包まれてる方を掴むと、一心不乱に包みを開ける。ラッピングを奇麗に剝がそうとしているが、焦っていて所々破けていく……。
 もう我慢ならないと半ば強引にこじ開けると、三日ぶりの食料にありついた豚のように口にほおばる。
「うまい! うまいっ! うん、うまいっ!!」
「……もう~」
 チョコ菓子の虜にされたように無我夢中の恭吾に言葉を失い、緊張感から解放された恋実は只々見守っているのだった。