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@77話

ー/ー





 調べた結果『消し炭』はカカオマス、カカオバターなどの成分の他、レシチン、ビタミン、アミノ酸、脂肪酸……凡そチョコレートを形成する物しか検出されなかった。


 


 異臭と感じたのは、どうやらプラシーボ効果、つまりは思い込みだったようだ。


 


 


 


「おかしい……食べ物だったとは」


「ま、開けた時チョコっぽかったものね」


「……」


 


 考え込む恭吾。ふと恋実に視線を向けると、恋実が皮肉たっぷりの笑顔を落としてくる。


 


 


「何だか随分、おモテになって羨ましいですわねぇ~」


 


 


 そう言われて初めて我に返る。人生で母親からも、もらったことのないバレンタインチョコ。それが目の前にある。ベルトコンベアーによる大量生産ではないチョコレートがここに。


 


 


 


「お、俺の時代……俺の時代が来たのか? ようやく人類は俺の価値に気付いた……そう受け取っていい、よな?」


 


 恋実を見上げると、恋実はゆっくり優しく目を閉じ、それでいて口は強く真一文字に結ばれ、その意思を確実に伝えるように大きくかぶりを振った。


 


 


 暗い色を基調とした理科室の壁は恭吾の絶望に同調し、希望を打ち砕くのであった。


 


 


 


 


「恋実……この数字の羅列は何か分かるかね?」


「恭吾は分からないの?」


「……うーん」


 


 恭吾はチラッと恋実に目を配り、手紙に凝視するが言葉は出ない。


 


 


「愛の要素……授業で2学年全員が知ることとなったエーリッヒ・フロムの4つの要素……4で割れる数でもなければ和・差・積をしても意味がない。消し炭が暗号のヒントと踏んでいたのだが……そして『He:56・20・22・7』……彼……男子の出席番号でもなく……まさかのバレンタインデーに男から……?」


 恭吾は思わず身震いし、それを振り払うように首を振った。


「じゃあもう一つの手紙の『K』は?」


 


「これは『より』が付いているから差出人のイニシャルを表しているのは間違いないだろう」


 


「見当は?」


「実は俺の決めた的山可愛いランキングトップ5は、全員『K』なんだ……」


 


 


 何たる偶然、何たる事実……恋実はこの奇妙な偶然に唖然とするしかなかった。




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 調べた結果『消し炭』はカカオマス、カカオバターなどの成分の他、レシチン、ビタミン、アミノ酸、脂肪酸……凡そチョコレートを形成する物しか検出されなかった。
 異臭と感じたのは、どうやらプラシーボ効果、つまりは思い込みだったようだ。
「おかしい……食べ物だったとは」
「ま、開けた時チョコっぽかったものね」
「……」
 考え込む恭吾。ふと恋実に視線を向けると、恋実が皮肉たっぷりの笑顔を落としてくる。
「何だか随分、おモテになって羨ましいですわねぇ~」
 そう言われて初めて我に返る。人生で母親からも、もらったことのないバレンタインチョコ。それが目の前にある。ベルトコンベアーによる大量生産ではないチョコレートがここに。
「お、俺の時代……俺の時代が来たのか? ようやく人類は俺の価値に気付いた……そう受け取っていい、よな?」
 恋実を見上げると、恋実はゆっくり優しく目を閉じ、それでいて口は強く真一文字に結ばれ、その意思を確実に伝えるように大きくかぶりを振った。
 暗い色を基調とした理科室の壁は恭吾の絶望に同調し、希望を打ち砕くのであった。
「恋実……この数字の羅列は何か分かるかね?」
「恭吾は分からないの?」
「……うーん」
 恭吾はチラッと恋実に目を配り、手紙に凝視するが言葉は出ない。
「愛の要素……授業で2学年全員が知ることとなったエーリッヒ・フロムの4つの要素……4で割れる数でもなければ和・差・積をしても意味がない。消し炭が暗号のヒントと踏んでいたのだが……そして『He:56・20・22・7』……彼……男子の出席番号でもなく……まさかのバレンタインデーに男から……?」
 恭吾は思わず身震いし、それを振り払うように首を振った。
「じゃあもう一つの手紙の『K』は?」
「これは『より』が付いているから差出人のイニシャルを表しているのは間違いないだろう」
「見当は?」
「実は俺の決めた的山可愛いランキングトップ5は、全員『K』なんだ……」
 何たる偶然、何たる事実……恋実はこの奇妙な偶然に唖然とするしかなかった。