「……行って良し……あ、もうストーカーみたいなことすんなよ」
「わ、分かったよ……」
走り去る松岡。その後ろ姿を見て、可哀そうじゃないが可哀そうに感じるのは日本人の美徳であろうか?
盗人にも三分の理……『裁く』とは恭吾が考えていた以上に単純ではないことを知る。
松岡の影が薄く長く伸びて、一つ『何か』が終わりを告げたのを感じさせていた。
「パンツありがと~」
松岡がこちらを振り返って大きく手を振る。
時巻は一瞬、殺意を感じ身構えた。そしてその殺気が誰からのものかを知って構えを解いた……時巻は悟ったように一人だけ微笑んだ。
「恭吾も保健室、行こうっ」
恋実が口火を切る。
「じゃ、俺も部活行くね。恭吾、学ラン頼んだよ!」
「ちゃんとお前が荒らした分の花壇も、もみ消しておくからさ」
「ははは、俺はちゃんと飛び越したよ」
「…………サンキュな……」
今回のこれは二人の絆を深めた……それはきっと恭吾と時巻だけではあるまい……。
校舎に戻って保健室へと向かう恭吾に恋実が付き添っている。国語教官室の前を通ると恭吾が立ち止まる。
「どうしたの?」
「シッ……優香ちゃんの声がした……」