(違う! 私が期待していたのと全然違う!)
楓乃はこんな展開を想像していなかった。隼人はクラクラと立ち眩むほどの衝撃を受け、『目が覚めた』と言わんばかりの表情の後、目の前の楓乃の存在に気付いて笑顔を向ける……はずであった。
(舞羽……やっぱり舞羽の存在がいけないのね……こうなったら舞羽の前で遊馬に……)
遊馬の目の前で言うことで、舞羽を傷つけたい、そのお門違いの恨みが楓乃を突き動かす。
フラフラと隼人には目もくれず教室を出る楓乃。
「楓乃!」
慌てて追いかけて教室を出て楓乃の肩を掴む。そして振り向いた楓乃に、またしても、たじろいでしまう。何も言わない隼人の手が、楓乃の肩から離れると、そのまま立ち去っていったのだった。
一方、舞羽は落ち着きを取り戻してきていた。美都が根気よく舞羽に話しかけるこることで、狭く閉ざされた視野が回復された。
今まで舞羽と舞香の真ん中に居たことが、舞香への湧きあがった不信を払拭させたのだった。
数日が過ぎ、全てが落ち着きを取り戻してきていた。