「こ、ここは……ダンジョン、なのか? 見たこともない透明な結界(自動ドア)に、不思議な冷気(エアコン)……」
少年剣士は警戒心を露わにしながら、カツン、カツンと金属音を響かせて店内に踏み込んできた。
見た目は中学生だが、体には『伝説』という名がつきそうな古びた銀の兜。銀の鎧。そして巨大な剣で武装している。
そして、少年の視線が床にへたり込んでいる母さんに釘付けになる。
現状の母さん:
1.涙目で頬を染めている。
2.シャツのボタンが弾け飛び、はち切れんばかりの胸元が全開。
3.スカートがめくれ上がり、純白の下着が丸見え。
4.俺がその目の前に仁王立ちしている。
少年剣士の碧眼が、カッ! と見開かれた。
「き、貴様ァァァッ!!」
シャラァンッ!
抜剣の音が店内に響き渡る。切っ先がビシッと俺の鼻先に突きつけられた。
「こ、この破廉恥な痴れ者め! かような場所で、無抵抗な少女を辱めるとは!!」
「ち、違います! 誤解です! ていうか少女じゃなくて母さんです!」
両手を挙げて弁解するオレ。
「問答無用! 見ろ、そのあられもない姿を! すでに手籠めにされた後ではないか!」
少年剣士の剣幕に、母さんが「はわわ」と慌てて立ち上がろうとする。
だが、それがさらなる悲劇(ラッキースケベ)の引き金となった。
「ま、待ってお客さん! カズヤくんは悪くないの! ただ私の服がパツパツで……きゃっ!?」
慌てて立ち上がろうとした母さんが、床に散らばったポテチの袋に足を滑らせた。
「あっ」
バランスを崩した母さんの身体が、物理法則を無視した軌道を描いて(なんでそんな動きになるんだ……)少年剣士の方へと倒れ込む。
少年はとっさに剣を引いたが、受け止める体勢までは整っていなかった。
ドスンッ! むにゅんっ!
「ぐっ!?」
「あうぅ……」
二人はもつれ合うようにして床に倒れ込んだ。
上になったのは母さん。下になったのは少年剣士だ。
そして、あろうことか母さんの豊満すぎる双丘が、伝説の兜ごと、ほわっ♥ 顔を包み込む。
「んぐっ!?んぐっ!? んーっ! んーっ!!」
少年剣士のくぐもった悲鳴が、母さんの豊かな胸の谷間の奥から聞こえてくる。
そんな深い谷に落ちたらオレには助けられない。
伝説の兜では防げない、母さんの極上のおっぱい攻撃。禁断の必殺技だ……。
母さんは慌てて起き上がろうとするが、ポテチの油で滑る床と、少年剣士のツルツルした胸当て(プレートメイル)のせいで、思うように力が入らない。
「ご、ごめんなさい! 滑っちゃって……ああっ、また!」ツルンと滑って、パイ肉を押しつける。
「んぐぅううううっ!!(窒息するぅううう!!)」
母さんが身じろぎするたびに、質量たっぷりの果実が もにゅ~♥ もにゅ~♥ と少年の顔面を変形させていく。
それはまさに、男なら誰もが夢見る『パフパフ』の刑。
――だが、今の少年剣士にとっては致死性の高い攻撃(窒息魔法)でしかない。
「母さん!(そして少年も)じっとしてろ! 今助けるから!」
俺は慌てて母さんの脇の下に手を入れ、後ろから引っこ抜くように引き上げた。
スポンッ!!
まるでコルクを抜いたような小気味よい音がして、少年剣士の顔が、凶器から解放される。
同時に、母さんの身体が慣性で俺の胸に飛び込んでくる。
「きゃっ! ……あ、ありがとうカズヤくん」
今度はオレの顔をぽにゅ~♥ と包み込み息子を殺しにかかる。まさに凶器。装備した者のですらコントロールできない呪われた剣(つるぎ)だ。
「い、いいから。とりあえずこれ羽織って!」
俺は自分の制服のジッパーを下ろし、半裸同然の母さんに被せた。
これで凶器の攻撃力を(多少は)減らせる。
ブカブカの俺の制服を着た母さんは、まるで「彼氏の服を借りた彼女」みたいで、それはそれで破壊力が高かったが、今はそれどころではない。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!!」
床に大の字になった少年剣士が、肩で息をしながら天井(蛍光灯)を見上げている。
その顔は茹でダコのように真っ赤で、目はトロンと潤んでいた。
後編へ続く