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ー/ー 気がつくと、私は暗闇の中でうずくまっていた。
目を開けているのか閉じているのかさえ判然としない、漆黒の闇。
全身にみっちりと空気がまとわりついているような感覚を得る。しかし、不思議と不快感は無い。
むしろ、とても心地よい。
フカフカの羽毛布団にくるまっている時の、夢うつつのあの感じ。
微かに、停車中のエンジン音のようなものが絶えず聞こえる。
エンジン…そう、私は車を運転していた。
こんなところにいる場合ではない。
用事は忘れてしまったが、私には向かわねばならない場所が確かにあったはず。
出してくれ!
手足を伸ばそうにも、狭くて伸ばせない。 やっとのことで、叩いたり蹴ったりしてみても、全く手応えを感じない。
いよいよ、羽毛布団に包まれて狭い箱にでも押し込められているのかもしれない。
おーい!
必死に叫んでみるも、密度が高いせいか、はたまた羽毛布団のせいなのか、全く空気を震わせることができない。
とにかく、ここを早く出よう。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
依然として、同じ状態のままで、うつらうつらしている。相変わらず、エンジンのような重低音も鳴り響いている。
ふと見上げてみる。
あれは何だ?針の先ほどの白い点。
ここへ来てから初めて見る白…光?
出口だ!
暗闇で分からなかったが、外へと続く通路に繋がっているのかもしれない。
私は、少しずつ光の方へ体を動かした。
しかし、通路は想像以上に狭く、全く動かない。
ところが、諦めずに身をよじらせていると、ほんのわずか、光の点が大きくなった。
エンジン音に混じって、遠くの方からザワザワと何か聞こえてきた。
光の向こうからだろうか?
少しずつ、少しずつ…。
止まったり、戻ったりしながら、私は徐々に光を大きくしていった。
それに伴って、エンジン音は小さくなり、ザワザワ音がより一層、強くなってきた。
頭が痛い。潰れそうだ。
通り道に体がすっぽりとはまってしまい、もう光の大きさを確認することすらできない。
あとちょっと、もう少し。
うーん…。
はっ!
何とか頭は出すことができた。
しかし、目が効かない。
長い間、暗い場所にいたせいか、像を形造れず、ただぼんやりとした白い光しか認識できない。
いや、そんなことはもう、どうでもいい。
肩さえ出れば…。
ずるっ!
出たぞーーー!
あまりの嬉しさに思わずそう叫んでしまった…つもりだった。
目と同様に長らく使っていなかったせいか、私の口は言葉にならない絶叫を発するばかりだ。
次の瞬間、ある言葉を聞いて、私は愕然とした。
「おめでとうございます!元気な男の子ですよ」
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
気がつくと、私は暗闇の中でうずくまっていた。
目を開けているのか閉じているのかさえ判然としない、漆黒の闇。
全身にみっちりと空気がまとわりついているような感覚を得る。しかし、不思議と不快感は無い。
むしろ、とても心地よい。
フカフカの羽毛布団にくるまっている時の、夢うつつのあの感じ。
微かに、停車中のエンジン音のようなものが絶えず聞こえる。
エンジン…そう、私は車を運転していた。
こんなところにいる場合ではない。
用事は忘れてしまったが、私には向かわねばならない場所が確かにあったはず。
出してくれ!
手足を伸ばそうにも、狭くて伸ばせない。 やっとのことで、叩いたり蹴ったりしてみても、全く手応えを感じない。
いよいよ、羽毛布団に包まれて狭い箱にでも押し込められているのかもしれない。
おーい!
必死に叫んでみるも、密度が高いせいか、はたまた羽毛布団のせいなのか、全く空気を震わせることができない。
とにかく、ここを早く出よう。
どれくらいの時間が経ったのだろう。
依然として、同じ状態のままで、うつらうつらしている。相変わらず、エンジンのような重低音も鳴り響いている。
ふと見上げてみる。
あれは何だ?針の先ほどの白い点。
ここへ来てから初めて見る白…光?
出口だ!
暗闇で分からなかったが、外へと続く通路に繋がっているのかもしれない。
私は、少しずつ光の方へ体を動かした。
しかし、通路は想像以上に狭く、全く動かない。
ところが、諦めずに身をよじらせていると、ほんのわずか、光の点が大きくなった。
エンジン音に混じって、遠くの方からザワザワと何か聞こえてきた。
光の向こうからだろうか?
少しずつ、少しずつ…。
止まったり、戻ったりしながら、私は徐々に光を大きくしていった。
それに伴って、エンジン音は小さくなり、ザワザワ音がより一層、強くなってきた。
頭が痛い。潰れそうだ。
通り道に体がすっぽりとはまってしまい、もう光の大きさを確認することすらできない。
あとちょっと、もう少し。
うーん…。
はっ!
何とか頭は出すことができた。
しかし、目が効かない。
長い間、暗い場所にいたせいか、像を形造れず、ただぼんやりとした白い光しか認識できない。
いや、そんなことはもう、どうでもいい。
肩さえ出れば…。
ずるっ!
出たぞーーー!
あまりの嬉しさに思わずそう叫んでしまった…つもりだった。
目と同様に長らく使っていなかったせいか、私の口は言葉にならない絶叫を発するばかりだ。
次の瞬間、ある言葉を聞いて、私は愕然とした。
「おめでとうございます!元気な男の子ですよ」