第63話

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ここはウエス国の森の奥深く。

「夜の森は危険だよ。安全なところに案内するよ。」
小さな妖精がふわふわしながらリリィたちに言った。
「新しい冒険の予感がする!」
リリィは目を輝かせて妖精に着いていく。フィーネたちも後に続く。

暗い森の中をしばらく歩くとぼんやりと明るい場所に出た。
真ん中に立っている一本の木がキラキラと輝いている。
「ここが入り口だよ。」
妖精が立ち止まった。
「何処に繋がっているの?」
フィーネが尋ねる。
「精霊の国よ!」
妖精が手を上げるとキラキラした粉が振り撒かれた。粉が木に掛かると、木の幹が扉のように開いた。

ギギギィ...

「うわぁー!」
リリィが声を上げる。
「凄いキー!」
「凄いキキー!」
モックとドンキーも歓声を上げた。
扉の向こうには、長閑な田園風景が広がっている。
「さぁ!どうぞ、お入りください。」
妖精に促されて、リリィたちは扉の中に入った。

そこは、別世界だった。

空は明るく晴れ渡り、綺麗な野原が地平線の向こうまで続いている。爽やかな風が草花の甘い香りを運んでくる。
野原の一角には、林が広がり、木の上には小さなツリーハウスが無数に連なっていた。

「これは美しいな。」
イブがため息混じりに呟いた。
「凄いな!ここは!我慢できないぞ!」
ハクが見る見るうちに竜の姿に変わり、空高く舞い上がった。楽しそうに空を泳いでいる。

「すごーい!きれー!たのしー!」
リリィの目の輝きが更に増している。
「リリィ、くれぐれも無茶はしないでね。」
フィーネが釘を刺す。
「大丈夫。フィーネ、私もう大人だよ!」
「だから、心配なのよ。」
フィーネは、呆れて呟いた。

「さあ、皆さん。里の長の所にご案内します!」
妖精がリリィたちに言った。
「わかったわ。みんな、行きましょう。」
フィーネを先頭に妖精に着いていく。
林の中に入って行くと、その中心に他のツリーハウスよりも一回り大きな家が見えた。
一際キラキラと輝いている。
案内してくれた妖精が、家の中に声をかける。
「里長様。客人を連れて参りました。」
すると、家の中から声がした。
「ご苦労様。今行きます。」
玄関の扉が開き、中から年老いた妖精が出て来た。小さな身体ながらも威厳を放つその里長は、フィーネたちを見て、柔らかい微笑みを見せた。

「本日は、突然大人数で押し掛けてしまい申し訳ございません。」
フィーネは膝を折り、頭を下げた。
「頭を上げてください。エルフ殿。」
里長は、優しい口調で話す。
「私たちは、一晩だけこちらにお世話になったら直ぐに帰ります。」
フィーネが里長に言うと、
「一晩とは言わず、どうぞゆっくりして行ってくださいね。」
そう言ってニッコリと微笑んだ。
「エリー、客人を寝床にご案内して。」
「畏まりました。皆様、私について来てください。」
案内の妖精ーエリーーは、フィーネたちを先に促した。
「里長様、感謝します。」
フィーネは、里長に会釈をして、エリーについて行った。

林の中を少し歩くと、広い場所に出た。
「客人用の布団は、そちらに用意してあります。食事は後でお持ちしますね。お寛ぎください。」
エリーは、そう言うと林の中に消えた。

「また、面倒くさいことに巻き込まれたわね。」
フィーネがため息混じりに言った。
「ねぇ、モック、ドンキー、探検に行こう!」
「探検キー!」
「探検キキー!」
リリィたちは新しい冒険に胸をときめかせている。
「あまり遠くまで行かないでね。」
フィーネは、そう言うと横になった。
「ぼくも少し散歩に行くかな?」
イブは立ち上がって、林に入っていった。

「探検、探検。たのしー!」
リリィは、林を抜けて花畑を歩いている。
「お花きれいだキー!」
「きれいキキー!」
リリィたちが歩いていると、小さなゲートが見えた。「試練の門」と書いてあるようだ。
その時、リリィの頭の中に声が響いた。
「女神の魂を持つ者よ。試練を乗り越え、その力を解放するのです。」
「誰なの!?試練って何?」
「門の中に答えはあります。」
「門の中...」
リリィは、少し考えて決意した。
「モック、ドンキー。二人はフィーネの所に戻って。」
「キー。」「キキー。」
モックとドンキーはリリィに言われた通りフィーネの所に戻った。
「これは私の試練。私も強くなりたい!」
リリィは、そう呟くと門の中に一歩、足を踏み入れた。
嫌な気配を感じて後ろを振り返ると、そこには高い壁があった。
「出られない!!」
前に進むしかなさそうだ。リリィは意を決して先に進むことにした。

周りは鬱蒼とした森に包まれていて、天然の迷路のようになっている。しかし、不思議と恐怖は感じない。
「試練って何だろう?」
リリィは、ドンドン先に進む。



その頃、フィーネは微睡の中にいた。
「妖精の淹れた紅茶は美味しいわ...むにゃむにゃ...」

リリィが独りで試練に立ち向かおうとしていることなど知る由も無かった。




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みんなのリアクション

ここはウエス国の森の奥深く。
「夜の森は危険だよ。安全なところに案内するよ。」
小さな妖精がふわふわしながらリリィたちに言った。
「新しい冒険の予感がする!」
リリィは目を輝かせて妖精に着いていく。フィーネたちも後に続く。
暗い森の中をしばらく歩くとぼんやりと明るい場所に出た。
真ん中に立っている一本の木がキラキラと輝いている。
「ここが入り口だよ。」
妖精が立ち止まった。
「何処に繋がっているの?」
フィーネが尋ねる。
「精霊の国よ!」
妖精が手を上げるとキラキラした粉が振り撒かれた。粉が木に掛かると、木の幹が扉のように開いた。
ギギギィ...
「うわぁー!」
リリィが声を上げる。
「凄いキー!」
「凄いキキー!」
モックとドンキーも歓声を上げた。
扉の向こうには、長閑な田園風景が広がっている。
「さぁ!どうぞ、お入りください。」
妖精に促されて、リリィたちは扉の中に入った。
そこは、別世界だった。
空は明るく晴れ渡り、綺麗な野原が地平線の向こうまで続いている。爽やかな風が草花の甘い香りを運んでくる。
野原の一角には、林が広がり、木の上には小さなツリーハウスが無数に連なっていた。
「これは美しいな。」
イブがため息混じりに呟いた。
「凄いな!ここは!我慢できないぞ!」
ハクが見る見るうちに竜の姿に変わり、空高く舞い上がった。楽しそうに空を泳いでいる。
「すごーい!きれー!たのしー!」
リリィの目の輝きが更に増している。
「リリィ、くれぐれも無茶はしないでね。」
フィーネが釘を刺す。
「大丈夫。フィーネ、私もう大人だよ!」
「だから、心配なのよ。」
フィーネは、呆れて呟いた。
「さあ、皆さん。里の長の所にご案内します!」
妖精がリリィたちに言った。
「わかったわ。みんな、行きましょう。」
フィーネを先頭に妖精に着いていく。
林の中に入って行くと、その中心に他のツリーハウスよりも一回り大きな家が見えた。
一際キラキラと輝いている。
案内してくれた妖精が、家の中に声をかける。
「里長様。客人を連れて参りました。」
すると、家の中から声がした。
「ご苦労様。今行きます。」
玄関の扉が開き、中から年老いた妖精が出て来た。小さな身体ながらも威厳を放つその里長は、フィーネたちを見て、柔らかい微笑みを見せた。
「本日は、突然大人数で押し掛けてしまい申し訳ございません。」
フィーネは膝を折り、頭を下げた。
「頭を上げてください。エルフ殿。」
里長は、優しい口調で話す。
「私たちは、一晩だけこちらにお世話になったら直ぐに帰ります。」
フィーネが里長に言うと、
「一晩とは言わず、どうぞゆっくりして行ってくださいね。」
そう言ってニッコリと微笑んだ。
「エリー、客人を寝床にご案内して。」
「畏まりました。皆様、私について来てください。」
案内の妖精ーエリーーは、フィーネたちを先に促した。
「里長様、感謝します。」
フィーネは、里長に会釈をして、エリーについて行った。
林の中を少し歩くと、広い場所に出た。
「客人用の布団は、そちらに用意してあります。食事は後でお持ちしますね。お寛ぎください。」
エリーは、そう言うと林の中に消えた。
「また、面倒くさいことに巻き込まれたわね。」
フィーネがため息混じりに言った。
「ねぇ、モック、ドンキー、探検に行こう!」
「探検キー!」
「探検キキー!」
リリィたちは新しい冒険に胸をときめかせている。
「あまり遠くまで行かないでね。」
フィーネは、そう言うと横になった。
「ぼくも少し散歩に行くかな?」
イブは立ち上がって、林に入っていった。
「探検、探検。たのしー!」
リリィは、林を抜けて花畑を歩いている。
「お花きれいだキー!」
「きれいキキー!」
リリィたちが歩いていると、小さなゲートが見えた。「試練の門」と書いてあるようだ。
その時、リリィの頭の中に声が響いた。
「女神の魂を持つ者よ。試練を乗り越え、その力を解放するのです。」
「誰なの!?試練って何?」
「門の中に答えはあります。」
「門の中...」
リリィは、少し考えて決意した。
「モック、ドンキー。二人はフィーネの所に戻って。」
「キー。」「キキー。」
モックとドンキーはリリィに言われた通りフィーネの所に戻った。
「これは私の試練。私も強くなりたい!」
リリィは、そう呟くと門の中に一歩、足を踏み入れた。
嫌な気配を感じて後ろを振り返ると、そこには高い壁があった。
「出られない!!」
前に進むしかなさそうだ。リリィは意を決して先に進むことにした。
周りは鬱蒼とした森に包まれていて、天然の迷路のようになっている。しかし、不思議と恐怖は感じない。
「試練って何だろう?」
リリィは、ドンドン先に進む。
その頃、フィーネは微睡の中にいた。
「妖精の淹れた紅茶は美味しいわ...むにゃむにゃ...」
リリィが独りで試練に立ち向かおうとしていることなど知る由も無かった。