ガールズトーク
ー/ー
「怖いけど、がんばルミミ~⭐︎」
ルミは明るく笑いながら、お決まりの台詞を口にすると、恐る恐る建物の中へ足を踏み入れた。
「…え?なんか今声が聞こえた…?え〜うそ!ヤダヤダあ~!」
「はしゃぐな、落ち着け」
「無〜理〜!」
「いいから落ち着け」
人形の口は、嘘みたいにヌルヌルと動き、明らかにルミに話しかけている。
「口が動っ…喋っ..!」
「ワタシは、呪いの人形と呼ばれる人形。何か聞きたいことはあるか?」
「えっと、じゃぁ…名前は?」
「名前などない」
「質問させといて、ないんだ」
会話が成立してしまった瞬間、ルミの恐怖は急速に薄れていった。
怖いはずなのに、返事が妙に常識的すぎる。
「じゃあ、私がつけてあげる。えーっと…バリカタ!髪がギシギシでバリバリしてるもん!」
「お前…本当に失礼」
「まあまあ、女の子なんだから笑った方が可愛いよ?あ、これあげる!」
ルミは、持っていたイチゴ味のチョコレートを、人形の口元に押し付けた。
「お前、無神経」
「でも、食べてるじゃん」
「お前、呪いの人形が全員不幸を背負っていると思っているだろう?」
「うん。違うの?」
「違うね。そもそも私は呪いの人形などではない」
「え、でも喋ってるじゃん」
「人形は魂が宿りやすいからな。
「あ、いたいた!ルミミさ〜ん!」
ルミとバリカタが和気藹々としているところに、イケメンADがやってきた。
「ルミミさん、ディレクターが呼んでいるので、一旦戻りましょうか!」
「は~い、分かりました!じゃあね、バリカタ!」
「連れてけ」
「ん?」
「私も連れてけ」
「何で?」
「…良き…」
「え?」
「胸がワサワサする」
「ミセス(Mrs.GREEN APPLE)かよ。えっと、どうやって連れていけばいいかな?」
「おんぶしろ」
「ああ、はい。おんぶね」
すっかり恐怖心が抜けたルミは、躊躇なくバリカタを十字架から外して、背中に担いだ。
「よいしょ…」
しかし、グラッと体のバランスを崩して、ルミは前のめりに転んでしまった。
「わわっ!」
すると、少し前を歩いていたADが異変に気づき、すぐに戻ってきた。
「ルミミさん大丈夫ですか?」
「あ、はい!大丈夫です!」
ADに手を差し伸べられ、ルミは支えられながら立ち上がると、双方の顔が自然と近づいて、二人とも少し照れた。
「あの、ありがとうございます…」
「ていうか、ルミミさん。何で人形をおぶっているんですか?」
「あ、何か連れてけって言われて…」
「ルミミさん、人形と喋れるんですか!?」
「あはは…みたいです…」
そんな会話を交わしながら、ルミとバリカタ、そしてADはその場を後にした。
その後。
ルミの膝には、小さな子供が座っていた。
子供はテレビを見ながら、目を三日月のように細めた。
「(私には、あの人の遺伝子が流れている)」
日が暮れた頃。
タレントのルミは、バラエティ番組の心霊ロケに呼ばれていた。
連れて来られたのは、心霊スポットとして噂される、古くて大きな日本家屋だった。
タレントのルミは、バラエティ番組の心霊ロケに呼ばれていた。
連れて来られたのは、心霊スポットとして噂される、古くて大きな日本家屋だった。
「怖いけど、がんばルミミ~⭐︎」
ルミは明るく笑いながら、お決まりの台詞を口にすると、恐る恐る建物の中へ足を踏み入れた。
木の床は軋み、古い障子の隙間からは、頼りなさげに光が漏れ出ている。
「さて…番組に届いたお便りによると、二階に、座敷牢みたいな部屋があるらしく、そこに、小さな子供くらいの日本人形が置かれているとか……。
……あ、多分この先ですね」
ルミが一段、また一段。
……あ、多分この先ですね」
ルミが一段、また一段。
ギシ…ギシ…と踏み鳴らして階段を上った、その瞬間――
「ヒィッ…!」
「ヒィッ…!」
目の前には、十字架に磔にされた、髪の長い日本人形があった。
小さな子供ほどの身長で、髪はキシキシバサバサで、切れ端は不揃い。
無表情な顔はどこか冷たく、ただそこにいるだけで、不気味さを放っていた。
「キャー!こわいー!無理無理!顔が無理ー!」
「キャー!こわいー!無理無理!顔が無理ー!」
「お前…失礼…」
「!!」
人形から低く籠った声が聞こえて気がして、ルミは思わず後ずさった。
「…え?なんか今声が聞こえた…?え〜うそ!ヤダヤダあ~!」
「はしゃぐな、落ち着け」
「無〜理〜!」
「いいから落ち着け」
人形の口は、嘘みたいにヌルヌルと動き、明らかにルミに話しかけている。
「口が動っ…喋っ..!」
「ワタシは、呪いの人形と呼ばれる人形。何か聞きたいことはあるか?」
「えっと、じゃぁ…名前は?」
「名前などない」
「質問させといて、ないんだ」
会話が成立してしまった瞬間、ルミの恐怖は急速に薄れていった。
怖いはずなのに、返事が妙に常識的すぎる。
「(この人形、仕込み?)」
それなら、タレント・ルミミの役割を全うするまでだ。
そう思ったルミは、いつもの調子で人形に絡んでいった。
「じゃあ、私がつけてあげる。えーっと…バリカタ!髪がギシギシでバリバリしてるもん!」
「お前…本当に失礼」
「まあまあ、女の子なんだから笑った方が可愛いよ?あ、これあげる!」
ルミは、持っていたイチゴ味のチョコレートを、人形の口元に押し付けた。
「お前、無神経」
「でも、食べてるじゃん」
「お前、呪いの人形が全員不幸を背負っていると思っているだろう?」
「うん。違うの?」
「違うね。そもそも私は呪いの人形などではない」
「え、でも喋ってるじゃん」
「人形は魂が宿りやすいからな。
元は、肝試し好きの美大生が作って、それっぽく祀られて放置された、無意味で哀れな人形さ…」
「へぇ、可哀想ぉ〜」
「清々しいくらい、心がこもってないな」
「あ、いたいた!ルミミさ〜ん!」
ルミとバリカタが和気藹々としているところに、イケメンADがやってきた。
歩くだけで、清涼感の粒子を振り撒くようなイケメンで、この古民家に一番似合っていない存在だった。
「ルミミさん、ディレクターが呼んでいるので、一旦戻りましょうか!」
「は~い、分かりました!じゃあね、バリカタ!」
「連れてけ」
「ん?」
「私も連れてけ」
「何で?」
「…良き…」
「え?」
「胸がワサワサする」
「ミセス(Mrs.GREEN APPLE)かよ。えっと、どうやって連れていけばいいかな?」
「おんぶしろ」
「ああ、はい。おんぶね」
すっかり恐怖心が抜けたルミは、躊躇なくバリカタを十字架から外して、背中に担いだ。
「よいしょ…」
しかし、グラッと体のバランスを崩して、ルミは前のめりに転んでしまった。
「わわっ!」
すると、少し前を歩いていたADが異変に気づき、すぐに戻ってきた。
「ルミミさん大丈夫ですか?」
「あ、はい!大丈夫です!」
ADに手を差し伸べられ、ルミは支えられながら立ち上がると、双方の顔が自然と近づいて、二人とも少し照れた。
「あの、ありがとうございます…」
「ていうか、ルミミさん。何で人形をおぶっているんですか?」
「あ、何か連れてけって言われて…」
「ルミミさん、人形と喋れるんですか!?」
「あはは…みたいです…」
そんな会話を交わしながら、ルミとバリカタ、そしてADはその場を後にした。
その後。
ルミは自宅でテレビを見ていた。
画面の中では、ルミミが恐怖に震え、おどろおどろしいナレーションが番組を盛り上げていた。
「すると突然、カメラの画面が落ちた。」
『ルミミさん大丈夫ですか!?』
「ADが駆けつけると、人形とルミミが倒れていた。」
「たまに見返したくなるんだよねぇ。
ね、面白い?まだ分かんないか」
ね、面白い?まだ分かんないか」
ルミの膝には、小さな子供が座っていた。
子供はテレビを見ながら、目を三日月のように細めた。
「(私には、あの人の遺伝子が流れている)」
終わり
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
日が暮れた頃。
タレントのルミは、バラエティ番組の心霊ロケに呼ばれていた。
タレントのルミは、バラエティ番組の心霊ロケに呼ばれていた。
連れて来られたのは、心霊スポットとして噂される、古くて大きな日本|家屋《かおく》だった。
「怖いけど、がんばルミミ~⭐︎」
ルミは明るく笑いながら、お決まりの|台詞《せりふ》を口にすると、恐る恐る建物の中へ足を踏み入れた。
木の床は|軋《きし》み、古い障子の隙間からは、頼りなさげに光が|漏《も》れ出ている。
「さて…番組に届いたお便りによると、二階に、|座敷牢《ざしきろう》みたいな部屋があるらしく、そこに、小さな子供くらいの日本人形が置かれているとか……。
……あ、多分この先ですね」
……あ、多分この先ですね」
ルミが一段、また一段。
ギシ…ギシ…と踏み鳴らして階段を上った、その瞬間――
「ヒィッ…!」
目の前には、|十字架《じゅうじか》に|磔《はりつけ》にされた、髪の長い日本人形があった。
小さな子供ほどの身長で、髪はキシキシバサバサで、切れ端は|不揃《ふぞろ》い。
無表情な顔はどこか冷たく、ただそこにいるだけで、不気味さを放っていた。
「キャー!こわいー!無理無理!顔が無理ー!」
「お前…失礼…」
「!!」
人形から低く|籠《こも》った声が聞こえて気がして、ルミは思わず後ずさった。
「…え?なんか今声が聞こえた…?え〜うそ!ヤダヤダあ~!」
「はしゃぐな、落ち着け」
「無〜理〜!」
「いいから落ち着け」
「はしゃぐな、落ち着け」
「無〜理〜!」
「いいから落ち着け」
人形の口は、嘘みたいにヌルヌルと動き、明らかにルミに話しかけている。
「口が動っ…喋っ..!」
「ワタシは、呪いの人形と呼ばれる人形。何か聞きたいことはあるか?」
「えっと、じゃぁ…名前は?」
「名前などない」
「質問させといて、ないんだ」
「ワタシは、呪いの人形と呼ばれる人形。何か聞きたいことはあるか?」
「えっと、じゃぁ…名前は?」
「名前などない」
「質問させといて、ないんだ」
会話が成立してしまった瞬間、ルミの恐怖は急速に薄れていった。
怖いはずなのに、返事が妙に常識的すぎる。
怖いはずなのに、返事が妙に常識的すぎる。
「(この人形、仕込み?)」
それなら、タレント・ルミミの役割を全うするまでだ。
そう思ったルミは、いつもの調子で人形に絡んでいった。
「じゃあ、私がつけてあげる。えーっと…バリカタ!髪がギシギシでバリバリしてるもん!」
「お前…本当に失礼」
「まあまあ、女の子なんだから笑った方が可愛いよ?あ、これあげる!」
「お前…本当に失礼」
「まあまあ、女の子なんだから笑った方が可愛いよ?あ、これあげる!」
ルミは、持っていたイチゴ味のチョコレートを、人形の口元に押し付けた。
「お前、無神経」
「でも、食べてるじゃん」
「お前、呪いの人形が全員不幸を背負っていると思っているだろう?」
「うん。違うの?」
「違うね。そもそも私は呪いの人形などではない」
「え、でも喋ってるじゃん」
「人形は魂が宿りやすいからな。
「でも、食べてるじゃん」
「お前、呪いの人形が全員不幸を背負っていると思っているだろう?」
「うん。違うの?」
「違うね。そもそも私は呪いの人形などではない」
「え、でも喋ってるじゃん」
「人形は魂が宿りやすいからな。
元は、|肝試《きもだめ》し好きの美大生が作って、それっぽく|祀《まつ》られて放置された、無意味で|哀《あわ》れな人形さ…」
「へぇ、可哀想ぉ〜」
「|清々《すがすが》しいくらい、心がこもってないな」
「あ、いたいた!ルミミさ〜ん!」
ルミとバリカタが|和気藹々《わきあいあい》としているところに、イケメンADがやってきた。
歩くだけで、|清涼感《せいりょうかん》の|粒子《りゅうし》を振り|撒《ま》くようなイケメンで、この古民家に一番似合っていない存在だった。
「ルミミさん、ディレクターが呼んでいるので、一旦戻りましょうか!」
「は~い、分かりました!じゃあね、バリカタ!」
「連れてけ」
「ん?」
「私も連れてけ」
「何で?」
「…良き…」
「え?」
「胸がワサワサする」
「ミセス(Mrs.GREEN APPLE)かよ。えっと、どうやって連れていけばいいかな?」
「おんぶしろ」
「ああ、はい。おんぶね」
「は~い、分かりました!じゃあね、バリカタ!」
「連れてけ」
「ん?」
「私も連れてけ」
「何で?」
「…良き…」
「え?」
「胸がワサワサする」
「ミセス(Mrs.GREEN APPLE)かよ。えっと、どうやって連れていけばいいかな?」
「おんぶしろ」
「ああ、はい。おんぶね」
すっかり恐怖心が抜けたルミは、|躊躇《ちゅうちょ》なくバリカタを十字架から外して、背中に担いだ。
「よいしょ…」
しかし、グラッと体のバランスを崩して、ルミは前のめりに転んでしまった。
「わわっ!」
すると、少し前を歩いていたADが異変に気づき、すぐに戻ってきた。
「ルミミさん大丈夫ですか?」
「あ、はい!大丈夫です!」
「あ、はい!大丈夫です!」
ADに手を差し伸べられ、ルミは支えられながら立ち上がると、|双方《そうほう》の顔が自然と近づいて、二人とも少し照れた。
「あの、ありがとうございます…」
「ていうか、ルミミさん。何で人形をおぶっているんですか?」
「あ、何か連れてけって言われて…」
「ルミミさん、人形と喋れるんですか!?」
「あはは…みたいです…」
「ていうか、ルミミさん。何で人形をおぶっているんですか?」
「あ、何か連れてけって言われて…」
「ルミミさん、人形と喋れるんですか!?」
「あはは…みたいです…」
そんな会話を交わしながら、ルミとバリカタ、そしてADはその場を後にした。
その後。
ルミは自宅でテレビを見ていた。
画面の中では、ルミミが恐怖に震え、おどろおどろしいナレーションが番組を盛り上げていた。
「すると突然、カメラの画面が落ちた。」
『ルミミさん大丈夫ですか!?』
「ADが駆けつけると、人形とルミミが倒れていた。」
「たまに見返したくなるんだよねぇ。
ね、面白い?まだ分かんないか」
ね、面白い?まだ分かんないか」
ルミの膝には、小さな子供が座っていた。
子供はテレビを見ながら、目を三日月のように細めた。
「(私には、あの人の遺伝子が流れている)」
終わり