3 サファリパーク
ー/ー 烏丸さん(推し)は座席フロアの階段を、何人かの就活生に声をかけながらのぼっていた。
(あれ? 思ってたのと、ちょっと違う)
ダイヤを拾う、なんて響きから、おとぎ話の舞踏会を想像していたロマンティストな私。
ところが
「君はうちが第一志望?」
「え、は、はい」
「少し間があいたな。嘘はだめだ」
「あ、す、すいません……」
「俺は瞬発力を見ているんだ。いい加減学習しろ」
彼が何かを尋ねるたびに焼け野原が広がっていく。
死屍累々を踏み越えながら、近づいてくる彼の、容赦ないジャッジメントタイムに場の空気は盛り上がるどころかお通夜状態。誰かの囁き声が聞こえてきた。
「……バカ。目を合わせるな! 食われるぞ!」
「怖いよー」
まるで猛獣呼ばわりだ。
私は両目を見開いた。
(私、間違ってた。ここは舞踏会なんかじゃない。サファリパークだったんだわ)
ヒグマやライオン、そしてトラなど、野生動物に目がない私。
烏丸怜という猛獣を前に震え上がっている就活生は、彼と同じくサバンナの住人なのだろう。
そんな中、私は特等席から猛獣の強さ、たくましさ、トータル的なビューティーを安全圏から堪能できるツアー客。
(なんという眼福……来てよかった)
多くの就活生たちがうつむいている中、私はかっと目を見開いて、美しい姿を網膜に焼き付けようとした。
と……。
烏丸さんが、私を見た。
一瞬で息が止まるかと思った。
天然記念物な猛獣と、窓ガラスごしに目が合うイメージ。
それくらい彼の視線は今まで感じたことがないほどのエネルギーを放っていた。
「あ……」
全身の血が頬へと上がっていく。
そして次の瞬間……。
ピロリロリロリ~
突然、場違いな大音量が、至近距離で鳴り響く。スマホの通知音である。
イメージの窓ガラスが一気に割れ、守られていたはずの生身の体が唐突に外界へと投げ出された気分になる。
前の人たちが一斉に振り返る。咎めるような、同情するような複雑な視線を一気に浴びた。
(えっ? 私!?)
私は両目を見開いた。
(あれ? 思ってたのと、ちょっと違う)
ダイヤを拾う、なんて響きから、おとぎ話の舞踏会を想像していたロマンティストな私。
ところが
「君はうちが第一志望?」
「え、は、はい」
「少し間があいたな。嘘はだめだ」
「あ、す、すいません……」
「俺は瞬発力を見ているんだ。いい加減学習しろ」
彼が何かを尋ねるたびに焼け野原が広がっていく。
死屍累々を踏み越えながら、近づいてくる彼の、容赦ないジャッジメントタイムに場の空気は盛り上がるどころかお通夜状態。誰かの囁き声が聞こえてきた。
「……バカ。目を合わせるな! 食われるぞ!」
「怖いよー」
まるで猛獣呼ばわりだ。
私は両目を見開いた。
(私、間違ってた。ここは舞踏会なんかじゃない。サファリパークだったんだわ)
ヒグマやライオン、そしてトラなど、野生動物に目がない私。
烏丸怜という猛獣を前に震え上がっている就活生は、彼と同じくサバンナの住人なのだろう。
そんな中、私は特等席から猛獣の強さ、たくましさ、トータル的なビューティーを安全圏から堪能できるツアー客。
(なんという眼福……来てよかった)
多くの就活生たちがうつむいている中、私はかっと目を見開いて、美しい姿を網膜に焼き付けようとした。
と……。
烏丸さんが、私を見た。
一瞬で息が止まるかと思った。
天然記念物な猛獣と、窓ガラスごしに目が合うイメージ。
それくらい彼の視線は今まで感じたことがないほどのエネルギーを放っていた。
「あ……」
全身の血が頬へと上がっていく。
そして次の瞬間……。
ピロリロリロリ~
突然、場違いな大音量が、至近距離で鳴り響く。スマホの通知音である。
イメージの窓ガラスが一気に割れ、守られていたはずの生身の体が唐突に外界へと投げ出された気分になる。
前の人たちが一斉に振り返る。咎めるような、同情するような複雑な視線を一気に浴びた。
(えっ? 私!?)
私は両目を見開いた。
みんなのリアクション
まだリアクションはありません。最初の一歩を踏み出しましょう!
烏丸さん(推し)は座席フロアの階段を、何人かの就活生に声をかけながらのぼっていた。
(あれ? 思ってたのと、ちょっと違う)
ダイヤを拾う、なんて響きから、おとぎ話の舞踏会を想像していたロマンティストな私。
ところが
ところが
「君はうちが第一志望?」
「え、は、はい」
「少し間があいたな。嘘はだめだ」
「あ、す、すいません……」
「俺は瞬発力を見ているんだ。いい加減学習しろ」
「え、は、はい」
「少し間があいたな。嘘はだめだ」
「あ、す、すいません……」
「俺は瞬発力を見ているんだ。いい加減学習しろ」
彼が何かを尋ねるたびに焼け野原が広がっていく。
死屍累々を踏み越えながら、近づいてくる彼の、容赦ないジャッジメントタイムに場の空気は盛り上がるどころかお通夜状態。誰かの囁き声が聞こえてきた。
死屍累々を踏み越えながら、近づいてくる彼の、容赦ないジャッジメントタイムに場の空気は盛り上がるどころかお通夜状態。誰かの囁き声が聞こえてきた。
「……バカ。目を合わせるな! 食われるぞ!」
「怖いよー」
「怖いよー」
まるで猛獣呼ばわりだ。
私は両目を見開いた。
私は両目を見開いた。
(私、間違ってた。ここは舞踏会なんかじゃない。サファリパークだったんだわ)
ヒグマやライオン、そしてトラなど、野生動物に目がない私。
烏丸怜という猛獣を前に震え上がっている就活生は、彼と同じくサバンナの住人なのだろう。
そんな中、私は特等席から猛獣の強さ、たくましさ、トータル的なビューティーを安全圏から堪能できるツアー客。
烏丸怜という猛獣を前に震え上がっている就活生は、彼と同じくサバンナの住人なのだろう。
そんな中、私は特等席から猛獣の強さ、たくましさ、トータル的なビューティーを安全圏から堪能できるツアー客。
(なんという眼福……来てよかった)
多くの就活生たちがうつむいている中、私はかっと目を見開いて、美しい姿を網膜に焼き付けようとした。
と……。
烏丸さんが、私を見た。
一瞬で息が止まるかと思った。
天然記念物な猛獣と、窓ガラスごしに目が合うイメージ。
それくらい彼の視線は今まで感じたことがないほどのエネルギーを放っていた。
一瞬で息が止まるかと思った。
天然記念物な猛獣と、窓ガラスごしに目が合うイメージ。
それくらい彼の視線は今まで感じたことがないほどのエネルギーを放っていた。
「あ……」
全身の血が頬へと上がっていく。
そして次の瞬間……。
ピロリロリロリ~
突然、場違いな大音量が、至近距離で鳴り響く。スマホの通知音である。
イメージの窓ガラスが一気に割れ、守られていたはずの生身の体が唐突に外界へと投げ出された気分になる。
イメージの窓ガラスが一気に割れ、守られていたはずの生身の体が唐突に外界へと投げ出された気分になる。
前の人たちが一斉に振り返る。咎めるような、同情するような複雑な視線を一気に浴びた。
(えっ? 私!?)
私は両目を見開いた。