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第27話 母娘

ー/ー



「瞳とやら、そなたの父はどうした」と女王。

「父とは?」と瞳。

「そなたが何の転生か、予が知らぬとでも思っておるのか?」と女王。

 瞳は何も答えなかった。

「わが夫に頼らぬでも、そなたの父はどうした、戦馬鹿(いくさばか)の弟どもはどうしたのじゃ。今、戦うべき者どもはいくらでもおるはずであろう」と女王。

「父はおりませぬ」と瞳。

「どういうことじゃ?」と女王。

「旅から帰っておりません」と瞳。

「旅じゃと?」と女王。

「宇宙への旅に出ました。他の知的生命と接触するために」と瞳。

「それは、オリオン座宙域のことかえ?」と女王。

「はい」と瞳。

「それは敵の侵入経路の……」と桐子。

「敵と接触したのだな。そしてこの太陽系のことを知られたのか」と女王。

「おそらく」と瞳。

「ひどい欺瞞じゃな。喧嘩を売りに行って返り討ちにあったことを隠して、被害者ぶるなど神のやることとは思えぬ」と女王。

「そんな……、地之神々は何も聞いておらぬ……」と桐子。

「それはお気の毒だったな」と女王。

「父は悪くありません! 増えすぎた人たちを植民させるための星を探していたのです」と瞳。

「それで異星生物の侵略を招いて、人口を減らしておれば世話無いわ」と女王。

「そもそもあなたが悪いのですよ、お母様」と瞳。

「え?」と桐子。

「開き直りよって、何が言いたいのじゃ」と瞳。

「あなたが地上の人間を皆殺しにすると悪態をついたから、真に受けた父が人間の世話を焼いてこんなことになったのです。そもそも地上の人々を守り育むのはあなたの役割ではないですか!」と瞳。

「何を知ったようなことを言う。あの男は病の治療中の私の姿を見て逃げ出したのじゃ。あれほど見るなと言っておいたにもかかわらずじゃ!」と女王。

「父は自分の好奇心を押さえられない人なのです。それくらい許してあげなさいよ。妻なんだから!」と瞳。

「何を言うか小娘が! あの男はわらわを化け物と罵ったのじゃ! あろうことか、わらわが冥界から出られぬように大岩で蓋をしたのじゃ。許せる道理がなかろう!」

「だからと言って、三千年も冥界に引きこもっているなんて頭がおかしいんじゃないの! いい加減に出てきなさいよ。挙句の果てに、お前の父はどうした? ですって、こっちの方がびっくりよ!」と瞳。

「言わせておけば……」と女王。

「お姉様! あなたはアカリお姉様ではないのですか!」とクク公爵。

「あなたたちは、もしかしてククリ姫とタタリ姫?」と瞳。

「タタリです! お会いしたかったです。アカリお姉様」とタタ卿。

「懐かしゅうございます。アカリお姉様!」とクク公爵。

「ま……まさか冥界の女王がイササ之ナミ様だったとは……」と桐子。

「馴れ合いはせぬ。会見はこれまでじゃ。わが夫は連れて帰るぞ」と女王。

「治療器を壊しても無駄です。悠木の肉体の破片は他にもありますから。骨のひとかけらになっても戦うという誓いがある限り、悠木は私たちの元に帰ってきます」と瞳。

「不埒な!もう勝手にするがよい。ククとタタも帰ってこなくてよいぞ。人間に名を明かすような愚か者は、もはや娘ではないわ」と女王。

「女王陛下、悠木君の分割をどうかお許しください」と瑠璃子。

「必ず敵を殲滅せよ」と女王。

「かしこまりました」と瑠璃子。



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「瞳とやら、そなたの父はどうした」と女王。
「父とは?」と瞳。
「そなたが何の転生か、予が知らぬとでも思っておるのか?」と女王。
 瞳は何も答えなかった。
「わが夫に頼らぬでも、そなたの父はどうした、|戦馬鹿《いくさばか》の弟どもはどうしたのじゃ。今、戦うべき者どもはいくらでもおるはずであろう」と女王。
「父はおりませぬ」と瞳。
「どういうことじゃ?」と女王。
「旅から帰っておりません」と瞳。
「旅じゃと?」と女王。
「宇宙への旅に出ました。他の知的生命と接触するために」と瞳。
「それは、オリオン座宙域のことかえ?」と女王。
「はい」と瞳。
「それは敵の侵入経路の……」と桐子。
「敵と接触したのだな。そしてこの太陽系のことを知られたのか」と女王。
「おそらく」と瞳。
「ひどい欺瞞じゃな。喧嘩を売りに行って返り討ちにあったことを隠して、被害者ぶるなど神のやることとは思えぬ」と女王。
「そんな……、地之神々は何も聞いておらぬ……」と桐子。
「それはお気の毒だったな」と女王。
「父は悪くありません! 増えすぎた人たちを植民させるための星を探していたのです」と瞳。
「それで異星生物の侵略を招いて、人口を減らしておれば世話無いわ」と女王。
「そもそもあなたが悪いのですよ、お母様」と瞳。
「え?」と桐子。
「開き直りよって、何が言いたいのじゃ」と瞳。
「あなたが地上の人間を皆殺しにすると悪態をついたから、真に受けた父が人間の世話を焼いてこんなことになったのです。そもそも地上の人々を守り育むのはあなたの役割ではないですか!」と瞳。
「何を知ったようなことを言う。あの男は病の治療中の私の姿を見て逃げ出したのじゃ。あれほど見るなと言っておいたにもかかわらずじゃ!」と女王。
「父は自分の好奇心を押さえられない人なのです。それくらい許してあげなさいよ。妻なんだから!」と瞳。
「何を言うか小娘が! あの男はわらわを化け物と罵ったのじゃ! あろうことか、わらわが冥界から出られぬように大岩で蓋をしたのじゃ。許せる道理がなかろう!」
「だからと言って、三千年も冥界に引きこもっているなんて頭がおかしいんじゃないの! いい加減に出てきなさいよ。挙句の果てに、お前の父はどうした? ですって、こっちの方がびっくりよ!」と瞳。
「言わせておけば……」と女王。
「お姉様! あなたはアカリお姉様ではないのですか!」とクク公爵。
「あなたたちは、もしかしてククリ姫とタタリ姫?」と瞳。
「タタリです! お会いしたかったです。アカリお姉様」とタタ卿。
「懐かしゅうございます。アカリお姉様!」とクク公爵。
「ま……まさか冥界の女王がイササ之ナミ様だったとは……」と桐子。
「馴れ合いはせぬ。会見はこれまでじゃ。わが夫は連れて帰るぞ」と女王。
「治療器を壊しても無駄です。悠木の肉体の破片は他にもありますから。骨のひとかけらになっても戦うという誓いがある限り、悠木は私たちの元に帰ってきます」と瞳。
「不埒な!もう勝手にするがよい。ククとタタも帰ってこなくてよいぞ。人間に名を明かすような愚か者は、もはや娘ではないわ」と女王。
「女王陛下、悠木君の分割をどうかお許しください」と瑠璃子。
「必ず敵を殲滅せよ」と女王。
「かしこまりました」と瑠璃子。