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第28話 噂

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 地球の衛星軌道で待機していた朝霧の士官たちは、本部とのリモート会議で瑠璃子司令らの幹部が艦に戻ってくることを知らされた。到着は昼食の後だと聞き、士官たちは食堂に移動した。

「艦長たちはハブ空港からシャトルに乗ったと連絡があったわ」と副艦長の恵子。

「本当に回復したのかしら。体がばらばらだったのに……」と航海士の綾子。

「溶けかけてたっていう方が正しいわ」と恵子。

「機密事項よ」と軍医の涼子。

「そうだけど。心配だわ」と恵子。

「どういうこと?」と涼子。

「涼子さん、本当にあんな状態から治療なんてできるの?」と恵子。

「肉体をもとに戻すことはできるわ」と涼子。

「でも、それはクローンと変わらないはずです」と綾子。

「理屈なんて知らないわ。私は回復したから艦長に復帰するとしか聞いてないわ」と涼子。

「艦長が帰ってくるって本当ですか!」と遅れて食堂に入ってきた砲雷長の早苗。

「本当よ」と恵子。

「きゃー!」と早苗。

「はしゃがないで」と恵子。

「本物なのでしょうか」と機関長の舞。

「本物って、どういうこと?」と恵子。

「別に作ってあったクローンとか」と通信士のエリカ。

「さあ、私には分からないわ」の恵子。「そういえば、佐々木中尉が地上でお会いしたらしいわよ。聞いてみたら」

「佐々木中尉ですか、ちょっとわたし苦手かな」とエリカ。

 エリカは航空隊隊長の佐々木孝子が一人で食事をしているテーブルに近づいて声をかけた。
「佐々木中尉殿、お話ししてもよろしいでしょうか」

「いいわよ。何よ、改まって」と航空隊隊長の孝子。

「艦長に地上でお会いしたと聞きました。それで詳しいことを教えてもらえないか思って」とエリカ。

「会ったわよ」と孝子。

「それで、変わりなかったのでしょうか? 本当に回復されたのかどうか心配で」とエリカ。

「普段と変わらなかったわよ。瞳さんや桐子さんたちと一緒で」と孝子。

「ご家族ぐるみのお付き合いでしょうか?」とエリカ。

「まさか、航空隊の訓練よ。稽古をつけてもらったの」と孝子。

「そんなに回復を?」とエリカ。

「ええ。新型機のテストで飛んでるときはご機嫌だったけど、地上ではかなり不機嫌だったわよ」と孝子。

「不機嫌って、いつものふてくされた感じでしょうか」と恵子が横から口をはさんだ。

「もっと深刻な感じよ。よくわからないけど治療法か何かでもめたらしいわ」と孝子。

「何か気をつけた方がよいこととかないかしら?」と恵子。

「噂だと、体を四分割されたって」と孝子。

「四つに切ってサイボーグ化するという意味でしょうか?」とエリカ。

「一人の艦長を、四人にするという意味よ。意識を持ったまま」と孝子。

「できるんですか、そんなこと?」と舞。

「無理やりやって、艦長を怒らせちゃったらしいわ。都市伝説っぽい噂話だけど」孝子。

「でも、艦長とあのお姉様方ならあり得るかも」と綾子。

 食堂に悠木の副官のサキが顔を出した。「幹部が乗っているランチが着きます」

「みんな、準備をして!」と恵子。



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 地球の衛星軌道で待機していた朝霧の士官たちは、本部とのリモート会議で瑠璃子司令らの幹部が艦に戻ってくることを知らされた。到着は昼食の後だと聞き、士官たちは食堂に移動した。
「艦長たちはハブ空港からシャトルに乗ったと連絡があったわ」と副艦長の恵子。
「本当に回復したのかしら。体がばらばらだったのに……」と航海士の綾子。
「溶けかけてたっていう方が正しいわ」と恵子。
「機密事項よ」と軍医の涼子。
「そうだけど。心配だわ」と恵子。
「どういうこと?」と涼子。
「涼子さん、本当にあんな状態から治療なんてできるの?」と恵子。
「肉体をもとに戻すことはできるわ」と涼子。
「でも、それはクローンと変わらないはずです」と綾子。
「理屈なんて知らないわ。私は回復したから艦長に復帰するとしか聞いてないわ」と涼子。
「艦長が帰ってくるって本当ですか!」と遅れて食堂に入ってきた砲雷長の早苗。
「本当よ」と恵子。
「きゃー!」と早苗。
「はしゃがないで」と恵子。
「本物なのでしょうか」と機関長の舞。
「本物って、どういうこと?」と恵子。
「別に作ってあったクローンとか」と通信士のエリカ。
「さあ、私には分からないわ」の恵子。「そういえば、佐々木中尉が地上でお会いしたらしいわよ。聞いてみたら」
「佐々木中尉ですか、ちょっとわたし苦手かな」とエリカ。
 エリカは航空隊隊長の佐々木孝子が一人で食事をしているテーブルに近づいて声をかけた。
「佐々木中尉殿、お話ししてもよろしいでしょうか」
「いいわよ。何よ、改まって」と航空隊隊長の孝子。
「艦長に地上でお会いしたと聞きました。それで詳しいことを教えてもらえないか思って」とエリカ。
「会ったわよ」と孝子。
「それで、変わりなかったのでしょうか? 本当に回復されたのかどうか心配で」とエリカ。
「普段と変わらなかったわよ。瞳さんや桐子さんたちと一緒で」と孝子。
「ご家族ぐるみのお付き合いでしょうか?」とエリカ。
「まさか、航空隊の訓練よ。稽古をつけてもらったの」と孝子。
「そんなに回復を?」とエリカ。
「ええ。新型機のテストで飛んでるときはご機嫌だったけど、地上ではかなり不機嫌だったわよ」と孝子。
「不機嫌って、いつものふてくされた感じでしょうか」と恵子が横から口をはさんだ。
「もっと深刻な感じよ。よくわからないけど治療法か何かでもめたらしいわ」と孝子。
「何か気をつけた方がよいこととかないかしら?」と恵子。
「噂だと、体を四分割されたって」と孝子。
「四つに切ってサイボーグ化するという意味でしょうか?」とエリカ。
「一人の艦長を、四人にするという意味よ。意識を持ったまま」と孝子。
「できるんですか、そんなこと?」と舞。
「無理やりやって、艦長を怒らせちゃったらしいわ。都市伝説っぽい噂話だけど」孝子。
「でも、艦長とあのお姉様方ならあり得るかも」と綾子。
 食堂に悠木の副官のサキが顔を出した。「幹部が乗っているランチが着きます」
「みんな、準備をして!」と恵子。