第40話

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ここはウエス国の森の中。ではなく、今から1000年ほど前のエルドランド王国。

勇者エル王子、"竜殺し"の異名を持つオークの戦士ガルム、大魔法使いハック、ヒーラー(回復士)のアンの4人は、エルドランド王の命を受けて魔王ミカエル討伐にむかっていた。
ちなみにガルムは、フィーネが98回目の転生をした時の人物である。

「これで終わりだ!」
ザンッ!
勇者エルの一撃で魔物が倒された。
「エル!今日も絶好調だな!」
ガルムがエルの肩を叩く。
「私の出番が無かったわね。」
アンが笑顔でエルに言う。
「さあ、先を急ごうか。」
ハックが3人を促す。

エルたち4人は魔王の城の間近まで来ていた。魔物の町での情報収集を終えて酒場で夕食を摂りながら情報を整理する。
「この町の魔物は魔王ミカエルを本当に尊敬しているみたいだな。」
ガルムが疲れた顔をして言う。
「確かにそうね。みんな口を揃えて魔王様のお陰って言ってた。」
アンがビールを一口飲んで言う。
「この町の魔物は、魔王に会った事もないようじゃの。魔王の姿についての情報は無かった。」
ハックがつぶやいた。
「魔王ミカエルは魔王の城の2階の王の間にいる。それが分かってれば十分だよ。」
エルが明るく言った。

結局、魔王ミカエルに関する情報はほとんど得られなかった。エルたちはその夜、夜更けまで酒を酌み交わしたのだった。


翌朝。
「あー、頭が痛い。」
ガルムがフラフラと歩いている。
「ガルムは、飲み過ぎよ。大事な戦いが控えてるのに。」
アンが呆れ顔で言う。
「ガルム、シャキッとしろ!」
エルがガルムの背中を叩いた。
「そうじゃぞ、シャキッとせい。」
ハックは、そう言いながらも顔面蒼白だ。
「ハックもだぞ。飲み過ぎだ。」
エルが呆れている。

小川が流れているのを見つけたエルたちは、そこで休憩することにした。
「ガルムとハックは、川で顔を洗って来い。」
エルが言うと、2人は素直に言うことを聞いて、顔を洗い始めた。
「大丈夫かしら?あの2人。」
アンが心配そうに2人を見つめる。
「アンもこの後に備えて休んでくれ。」
エルは周りを警戒しながら言った。
「エルも休んで。あなたがこのパーティのリーダーなんだから、今のうちに体力を回復してもらわないと。」
「ありがとう。アン。」
エルはそう言って、その場に座った。
小川で酔いを覚ましたガルムとハックが戻ってきた。
「もう大丈夫だ、申し訳ない。」
ガルムが頭を下げる。
「わしも復活した、すまんかったの。」
ハックはエルとアンの顔を見て言う。
「2人とも頼りにしてるよ。」
エルが、笑って言った。
「さあ、魔王の城に行きましょう!」
アンが気合いを込めて言った。


魔物の町を出てしばらく進むと、荒涼とした大地が広がっていた。
空には暗雲が立ち込め、重苦しい空気が足取りを重くさせる。

「ここは一体なんなんだ。歩いてるだけで重苦しい。」
ガルムがつぶやく。
「この先に魔王の城があるんだ。足を前にだせ、ガルム。」
エルは、真っ直ぐ前を見据えている。
「そういえば、魔物が出ないわね。」
アンが言うと、
「魔王を恐れて出て来ないのかも知れないのう。」
ハックが考えながら言った。
「とにかく魔王ミカエルの城はもうすぐだ、頑張ろう。」
エルが他の3人を鼓舞した。


歩くこと数時間。
荒野が終わり、ゴツゴツとした岩山が現れた。その頂上には禍々しい漆黒の城がそびえ立っている。


「今日は、ここで野営しよう。」
エルが言うと、皆が荷物を下ろして座り込んだ。
「魔王の気配をビンビン感じるな。」
ガルムが言う。
「出来るだけ体を休めて、決戦に備えましょう。」
アンは一口水を飲んで言った。
「賢者の石、賢者の杖、賢者の盾も揃っておる。アンには負担をかけることになるが、しっかりサポートするからの。」
ハックが荷物を確認しながら言った。

魔王ミカエルの封印には、賢者の石、賢者の杖、賢者の盾の3つの道具と転生者が必要になる。ヒーラーのアンが転生者であり、魔王封印の成否の鍵を握る存在だ。


その夜。
何もない荒野をアンは眠れずに眺めていた。
「眠れないのか?」
エルがアンの横に座った。
「うん。明日のことを考えたら眠れなくって。」
「僕らが支えるから大丈夫。アンは自分がすべきことをすれば良い。」
「私、怖くてたまらないの。」
「僕らが必ず君を守る。安心して。」
エルはアンを抱きしめた。
「少しこのままでいて。」
「わかった。」
2人はしばらくそのまま抱き合っていた。


翌朝。
「痛ててて、体が痛いな。」
ガルムが腰を押さえながら立ち上がった。
「さて、いくかの。」
ハックも立ち上がる。
「さあ、行きましょう!」
アンが伸びをしている。
「みんな。行こう!」
エルが皆んなに言った。

岩山には頂上の城まで細い道が出来ている。足を滑らせないように慎重に歩を進めていく。
漆黒の魔王城が近づいてきた。
「これが魔王の城......」
アンが息を呑んだ。
扉は開け放たれている。
「よし!皆んな準備はいいか?」
「もちろん!」
エルの問いかけにガルムが応える。


「さあ!行くぞ!」
エルたちは魔王の城に足を踏み入れた。




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みんなのリアクション

ここはウエス国の森の中。ではなく、今から1000年ほど前のエルドランド王国。
勇者エル王子、"竜殺し"の異名を持つオークの戦士ガルム、大魔法使いハック、ヒーラー(回復士)のアンの4人は、エルドランド王の命を受けて魔王ミカエル討伐にむかっていた。
ちなみにガルムは、フィーネが98回目の転生をした時の人物である。
「これで終わりだ!」
ザンッ!
勇者エルの一撃で魔物が倒された。
「エル!今日も絶好調だな!」
ガルムがエルの肩を叩く。
「私の出番が無かったわね。」
アンが笑顔でエルに言う。
「さあ、先を急ごうか。」
ハックが3人を促す。
エルたち4人は魔王の城の間近まで来ていた。魔物の町での情報収集を終えて酒場で夕食を摂りながら情報を整理する。
「この町の魔物は魔王ミカエルを本当に尊敬しているみたいだな。」
ガルムが疲れた顔をして言う。
「確かにそうね。みんな口を揃えて魔王様のお陰って言ってた。」
アンがビールを一口飲んで言う。
「この町の魔物は、魔王に会った事もないようじゃの。魔王の姿についての情報は無かった。」
ハックがつぶやいた。
「魔王ミカエルは魔王の城の2階の王の間にいる。それが分かってれば十分だよ。」
エルが明るく言った。
結局、魔王ミカエルに関する情報はほとんど得られなかった。エルたちはその夜、夜更けまで酒を酌み交わしたのだった。
翌朝。
「あー、頭が痛い。」
ガルムがフラフラと歩いている。
「ガルムは、飲み過ぎよ。大事な戦いが控えてるのに。」
アンが呆れ顔で言う。
「ガルム、シャキッとしろ!」
エルがガルムの背中を叩いた。
「そうじゃぞ、シャキッとせい。」
ハックは、そう言いながらも顔面蒼白だ。
「ハックもだぞ。飲み過ぎだ。」
エルが呆れている。
小川が流れているのを見つけたエルたちは、そこで休憩することにした。
「ガルムとハックは、川で顔を洗って来い。」
エルが言うと、2人は素直に言うことを聞いて、顔を洗い始めた。
「大丈夫かしら?あの2人。」
アンが心配そうに2人を見つめる。
「アンもこの後に備えて休んでくれ。」
エルは周りを警戒しながら言った。
「エルも休んで。あなたがこのパーティのリーダーなんだから、今のうちに体力を回復してもらわないと。」
「ありがとう。アン。」
エルはそう言って、その場に座った。
小川で酔いを覚ましたガルムとハックが戻ってきた。
「もう大丈夫だ、申し訳ない。」
ガルムが頭を下げる。
「わしも復活した、すまんかったの。」
ハックはエルとアンの顔を見て言う。
「2人とも頼りにしてるよ。」
エルが、笑って言った。
「さあ、魔王の城に行きましょう!」
アンが気合いを込めて言った。
魔物の町を出てしばらく進むと、荒涼とした大地が広がっていた。
空には暗雲が立ち込め、重苦しい空気が足取りを重くさせる。
「ここは一体なんなんだ。歩いてるだけで重苦しい。」
ガルムがつぶやく。
「この先に魔王の城があるんだ。足を前にだせ、ガルム。」
エルは、真っ直ぐ前を見据えている。
「そういえば、魔物が出ないわね。」
アンが言うと、
「魔王を恐れて出て来ないのかも知れないのう。」
ハックが考えながら言った。
「とにかく魔王ミカエルの城はもうすぐだ、頑張ろう。」
エルが他の3人を鼓舞した。
歩くこと数時間。
荒野が終わり、ゴツゴツとした岩山が現れた。その頂上には禍々しい漆黒の城がそびえ立っている。
「今日は、ここで野営しよう。」
エルが言うと、皆が荷物を下ろして座り込んだ。
「魔王の気配をビンビン感じるな。」
ガルムが言う。
「出来るだけ体を休めて、決戦に備えましょう。」
アンは一口水を飲んで言った。
「賢者の石、賢者の杖、賢者の盾も揃っておる。アンには負担をかけることになるが、しっかりサポートするからの。」
ハックが荷物を確認しながら言った。
魔王ミカエルの封印には、賢者の石、賢者の杖、賢者の盾の3つの道具と転生者が必要になる。ヒーラーのアンが転生者であり、魔王封印の成否の鍵を握る存在だ。
その夜。
何もない荒野をアンは眠れずに眺めていた。
「眠れないのか?」
エルがアンの横に座った。
「うん。明日のことを考えたら眠れなくって。」
「僕らが支えるから大丈夫。アンは自分がすべきことをすれば良い。」
「私、怖くてたまらないの。」
「僕らが必ず君を守る。安心して。」
エルはアンを抱きしめた。
「少しこのままでいて。」
「わかった。」
2人はしばらくそのまま抱き合っていた。
翌朝。
「痛ててて、体が痛いな。」
ガルムが腰を押さえながら立ち上がった。
「さて、いくかの。」
ハックも立ち上がる。
「さあ、行きましょう!」
アンが伸びをしている。
「みんな。行こう!」
エルが皆んなに言った。
岩山には頂上の城まで細い道が出来ている。足を滑らせないように慎重に歩を進めていく。
漆黒の魔王城が近づいてきた。
「これが魔王の城......」
アンが息を呑んだ。
扉は開け放たれている。
「よし!皆んな準備はいいか?」
「もちろん!」
エルの問いかけにガルムが応える。
「さあ!行くぞ!」
エルたちは魔王の城に足を踏み入れた。