第33話 予想外の襲撃
ー/ー
復活したブラナはクロナを連れて、アジトから脱出を図る。
その頃、アジトの入口でいぶり出す作戦を実行しているホッパーの方に動きがあった。
「うん?」
「どうしたんだよ」
「もうそういうことはやめて、移動した方がよさそうだ」
「なんでだい?」
シュヴァルツはホッパーに対して、移動を提案している。だが、ホッパーは疑問を呈している。
「分からない。だが、俺の勘が告げているんだ。そんなことをしていては無駄だと」
「……勘はいいんだが、どこへ移動しようっていうんだ」
「ちょっと待ってくれ」
ホッパーに聞き返されて、シュヴァルツを少し集中する。
だが、その結論は意外と早かった。
「あっちだ。すぐにでも移動するぞ」
「はあ、分かったよ」
よくは分からないが、ホッパーは作戦を中止して、シュヴァルツに従って移動を始める。
薄気味悪い場所を移動していくので、ホッパーは少し怖がっている。だが、シュヴァルツはまったく気にかけていない。
今のシュヴァルツの中にはクロナを殺すという考えしかないのである。
道中襲いくる魔物たちが出てくるが、シュヴァルツはまったく寄せ付けずに撃退していく。その様子を見て、ホッパーの方がびびっているくらいだった。
(まったくなんだっていうんだ。剣に迷いはないし、この森の魔物どもをあっさりと斬り捨てている。こいつは、関わっちゃいけないやつに関わってしまったか?)
傭兵ギルドの偉い方であるホッパーですら、今のシュヴァルツに恐怖を感じているようだった。
そのくらい、シュヴァルツの剣は鋭さを持っているのである。
「近い」
シュヴァルツはそう言うと、歩を緩める。
その目には、山から顔を出そうとする何かの姿が目に入った。
ガキーン!
金属のぶつかり合う音が響き渡る。
「ちっ、会いたくもない人がいましたね」
女性の声が響き渡る。
「その声は……、ブラナか」
ホッパーが反応する。
だが、次の瞬間、ホッパーの顔が凍り付いた。
「おい、なんだ、その姿は……!」
ホッパーが驚くのは無理もない。ブラナの下半身がクモになっていたのだから。
「うるさいですね、ホッパー。私の姿を見るなり、何を驚いているのですか」
「驚くなって方が無理だ。お前、魔物になったのか?!」
「ふん、そんなことなどどうでもいいのです。私はお嬢様を守るために生まれ変わったのですからね!」
「なんだと?!」
「まったく、どうしてここを見つけられたのですかね、シュヴァルツ坊ちゃま!」
短剣を思い切り振って、シュヴァルツを遠ざける。
ブラナの後ろからは、クロナと蟲たちがぞろぞろと姿を見せる。
「見つけたぞ、魔族め! よくも俺の妹のふりをしてくれたものだな!」
「お、お兄様?!」
シュヴァルツの姿を見て、クロナが大声で叫んでしまう。
「兄と呼ぶな、この魔族が!」
クロナの反応に、シュヴァルツは表情を歪めて叫んでいる。
「そ、そんな……」
あれだけ仲のよかったシュヴァルツから怒鳴り声を浴びせられて、クロナは怯んでしまう。
「さあ、蟲たちはお嬢様を守って下さいよ。ホッパーは実力はありますが、意外と怖がりですからね。あいつのことはあなたたちに任せます」
『分かった。女、お前はどうするつもりだ?』
「私ですか?」
アサシンスパイダーの問い掛けに、ブラナは笑っている。
「私は、シュヴァルツ坊ちゃまと戦います。並々ならぬ力を感じますから、あなたたちでは厳しいでしょう」
「ブラナ、気をつけて下さいね」
クロナに気遣われて、ブラナはにこりと笑っている。
「コークロッチヌス子爵様には負けましたけれど、まだ未熟なシュヴァルツ坊ちゃまならば、私でもどうにかなるでしょう」
ブラナはそういうものの、体が少し震えている。
さすがのブラナも、シュヴァルツと戦うのは厳しいということなのだろう。なにせ屋敷にいる間にかなり接していたから、その隠された実力というものには薄々勘付いているからだ。暗殺者というのはそういうものなのである。
「まったく、狙ったものは逃さない。どっかのウルフのような方々ですね」
「うるさい! 魔性に堕ちたやつが何を言っている。お前もその魔族ともども、俺の剣の錆にしてくれる!」
シュヴァルツが剣を構え直すと、ブラナも覚悟を決めたようである。
「お嬢様のために生まれ変わった私の力、試したいとは思っておりましたが、その相手が坊ちゃまとはね。何とも皮肉なものですが、お嬢様を殺されるわけには参りません。全力でいきますよ!」
「返り討ちにしてくれる!」
クロナが怯える目の前で、ブラナとシュヴァルツという、大事な人たちの戦いが始まった。
『聖女様、よそ見をしている場合ではありませんよ! こちらも来ます!』
アサシンスパイダーが叫ぶと、クロナは慌てて防御魔法を展開する。
ガキン!
金属音が響き渡り、何かが弾き飛ばされたようである。
「ちっ、隙を狙ったつもりだったが、やっぱり一筋縄じゃいかねえな……」
声がした方を見ると、そこにいたのはホッパーだった。
自分を狙う刺客との戦い。クロナはどうやら逃げられないようだった。
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その頃、アジトの入口でいぶり出す作戦を実行しているホッパーの方に動きがあった。
「うん?」
「どうしたんだよ」
「もうそういうことはやめて、移動した方がよさそうだ」
「なんでだい?」
シュヴァルツはホッパーに対して、移動を提案している。だが、ホッパーは疑問を呈している。
「分からない。だが、俺の勘が告げているんだ。そんなことをしていては無駄だと」
「……勘はいいんだが、どこへ移動しようっていうんだ」
「ちょっと待ってくれ」
ホッパーに聞き返されて、シュヴァルツを少し集中する。
だが、その結論は意外と早かった。
「あっちだ。すぐにでも移動するぞ」
「はあ、分かったよ」
よくは分からないが、ホッパーは作戦を中止して、シュヴァルツに従って移動を始める。
薄気味悪い場所を移動していくので、ホッパーは少し怖がっている。だが、シュヴァルツはまったく気にかけていない。
今のシュヴァルツの中にはクロナを殺すという考えしかないのである。
道中襲いくる魔物たちが出てくるが、シュヴァルツはまったく寄せ付けずに撃退していく。その様子を見て、ホッパーの方がびびっているくらいだった。
(まったくなんだっていうんだ。剣に迷いはないし、この森の魔物どもをあっさりと斬り捨てている。こいつは、関わっちゃいけないやつに関わってしまったか?)
傭兵ギルドの偉い方であるホッパーですら、今のシュヴァルツに恐怖を感じているようだった。
そのくらい、シュヴァルツの剣は鋭さを持っているのである。
「近い」
シュヴァルツはそう言うと、歩を緩める。
その目には、山から顔を出そうとする何かの姿が目に入った。
ガキーン!
金属のぶつかり合う音が響き渡る。
「ちっ、会いたくもない人がいましたね」
女性の声が響き渡る。
「その声は……、ブラナか」
ホッパーが反応する。
だが、次の瞬間、ホッパーの顔が凍り付いた。
「おい、なんだ、その姿は……!」
ホッパーが驚くのは無理もない。ブラナの下半身がクモになっていたのだから。
「うるさいですね、ホッパー。私の姿を見るなり、何を驚いているのですか」
「驚くなって方が無理だ。お前、魔物になったのか?!」
「ふん、そんなことなどどうでもいいのです。私はお嬢様を守るために生まれ変わったのですからね!」
「なんだと?!」
「まったく、どうしてここを見つけられたのですかね、シュヴァルツ坊ちゃま!」
短剣を思い切り振って、シュヴァルツを遠ざける。
ブラナの後ろからは、クロナと蟲たちがぞろぞろと姿を見せる。
「見つけたぞ、魔族め! よくも俺の妹のふりをしてくれたものだな!」
「お、お兄様?!」
シュヴァルツの姿を見て、クロナが大声で叫んでしまう。
「兄と呼ぶな、この魔族が!」
クロナの反応に、シュヴァルツは表情を歪めて叫んでいる。
「そ、そんな……」
あれだけ仲のよかったシュヴァルツから怒鳴り声を浴びせられて、クロナは怯んでしまう。
「さあ、蟲たちはお嬢様を守って下さいよ。ホッパーは実力はありますが、意外と怖がりですからね。あいつのことはあなたたちに任せます」
『分かった。女、お前はどうするつもりだ?』
「私ですか?」
アサシンスパイダーの問い掛けに、ブラナは笑っている。
「私は、シュヴァルツ坊ちゃまと戦います。並々ならぬ力を感じますから、あなたたちでは厳しいでしょう」
「ブラナ、気をつけて下さいね」
クロナに気遣われて、ブラナはにこりと笑っている。
「コークロッチヌス子爵様には負けましたけれど、まだ未熟なシュヴァルツ坊ちゃまならば、私でもどうにかなるでしょう」
ブラナはそういうものの、体が少し震えている。
さすがのブラナも、シュヴァルツと戦うのは厳しいということなのだろう。なにせ屋敷にいる間にかなり接していたから、その隠された実力というものには薄々勘付いているからだ。暗殺者というのはそういうものなのである。
「まったく、狙ったものは逃さない。どっかのウルフのような方々ですね」
「うるさい! 魔性に堕ちたやつが何を言っている。お前もその魔族ともども、俺の剣の錆にしてくれる!」
シュヴァルツが剣を構え直すと、ブラナも覚悟を決めたようである。
「お嬢様のために生まれ変わった私の力、試したいとは思っておりましたが、その相手が坊ちゃまとはね。何とも皮肉なものですが、お嬢様を殺されるわけには参りません。全力でいきますよ!」
「返り討ちにしてくれる!」
クロナが怯える目の前で、ブラナとシュヴァルツという、大事な人たちの戦いが始まった。
『聖女様、よそ見をしている場合ではありませんよ! こちらも来ます!』
アサシンスパイダーが叫ぶと、クロナは慌てて防御魔法を展開する。
ガキン!
金属音が響き渡り、何かが弾き飛ばされたようである。
「ちっ、隙を狙ったつもりだったが、やっぱり一筋縄じゃいかねえな……」
声がした方を見ると、そこにいたのはホッパーだった。
自分を狙う刺客との戦い。クロナはどうやら逃げられないようだった。